交通事故の示談交渉|妥当な慰謝料をもらうためのポイントは?
交通事故に遭い、治療等も終わって損害額が確定すると、加害者側と示談交渉を行い、慰謝料や賠償金の金額を決めます。
交通事故の示談交渉の流れは?
妥当な慰謝料金額を獲得するためのポイントは?
示談交渉に時効はある?
この記事では、交通事故の示談に関するこうした疑問にお答えしています。
交通事故の示談交渉|流れとポイントを解説!
①示談前の準備
示談交渉が始まるまでにしておくべき準備は、以下の通りです。
示談前の準備
- 領収書等の整理
- 請求したい慰謝料・賠償金額の計算
- 弁護士への相談の検討
交通事故の示談交渉では、入通院や治療で実際に必要になった費用の請求も行われます。
その時にはその出費を証明するための資料が必要となりますので、レシートや領収書などはきちんと保管しておいてください。
また、示談交渉では加害者側から慰謝料や賠償金の金額を提示されますが、被害者側でも請求したい金額を計算しておいてください。
また、交通事故の示談交渉に臨むにあたり、弁護士に交渉を依頼するかどうかも検討してみてください。
弁護士に示談交渉を依頼するメリットとしては、以下のものがあります。
弁護士に依頼するメリット
- 被害者だけでは主張できない慰謝料金額(弁護士基準)を提示できる
- 加害者側に主張を受け入れてもらいやすくなる
- 示談中や示談後にトラブルが起きた時にも対処してもらえる
- 交渉にかかる手間や精神的ダメージを緩和できる
弁護士に相談するにあたっては、弁護士費用が気にかかるという方もいらっしゃると思います。
しかし、無料で法律相談を受け付けている法律事務所も多いですし、弁護士費用特約を使うと実質無料で弁護士に依頼することができます。
以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
②示談開始
示談は、加害者側の保険会社からの連絡で始まることが多いです。
具体的には、加害者側の保険会社から慰謝料・賠償金の提示額を記載した書類が届きます。
その内容を受け入れる場合は署名・捺印して返送、増額交渉などをする場合には、そこから交渉開始となります。
交渉は基本的に電話やFAXなどで行われます。
ポイント
示談交渉で加害者側の保険会社が提示してくる金額は、妥当な金額に比べると大幅に低額であることが多いです。
提示された金額が高額に思えても、交通事故の慰謝料としては低額であるということもあるので、すぐに提示額を受け入れるのではなく、一度弁護士に問い合わせてみることをお勧めします。
③示談成立、示談書への署名・捺印
交渉を経て示談が成立したら、加害者側保険会社から示談書が届きます。
示談書には主に、
- 当事者の情報
- 事故状況
- 示談交渉で合意した内容
が記載されています。
この内容を確認して、問題なければ署名・捺印をして返送します。
もし記載内容に間違いがある場合には、加害者側の保険会社に連絡を入れましょう。
④慰謝料・賠償金の振り込み
交通事故の示談が成立し、示談書に署名・捺印をして返送し、それが加害者側の保険会社に届くと、事務処理が行われます。
この事務処理が終わると、加害者側の保険会社から交通事故の慰謝料、賠償金が振り込まれます。
振込までは、示談が成立してから2週間程度と言われています。
ただし、弁護士を立てて示談交渉をした場合には、慰謝料・賠償金はまず弁護士に業務上の銀行に振り込まれます。
その後、被害者の口座に振り込まれるので、その分タイムロスが生じる場合があります。
交通事故の示談交渉に時効はある?
示談交渉に時効はある?
交通事故の示談交渉自体には、時効はありません。
ただ、加害者側に対する損害賠償請求権には時効があります。
時効が来てしまうと、加害者側に対して慰謝料や賠償金を請求する権利が無くなってしまうので、それまでに示談を成立させておく必要があります。
損害賠償請求権の消滅時効は、事故の形態によって異なりますので、ご紹介していきます。
①けがのみの場合
交通事故に遭いけがをした場合、損害賠償請求権の消滅時効は
「事故発生日~3年間」
となります。
②後遺症が残った場合
交通事故に遭いけがをして、後遺症が残り、後遺障害等級が認定された場合には、損害賠償請求権の消滅時効は
「症状固定日から3年間」
となります。
症状固定日とは、交通事故によるけががこれ以上治療を続けても大幅に改善する見込みはないと診断された日です。
後遺障害等級の認定審査は症状固定日後、つまり時効のカウントが始まってから行われます。
そのため、後遺障害等級認定の審査が長引くと、その分残りの時間が短くなってしまいます。
交通事故の損害賠償請求権の時効は中断することもできますので、後遺障害等級認定の審査が長引く場合には、時効の中断方法も確認してみてください。
③死亡事故の場合
死亡事故の場合、損害賠償請求権の消滅時効は
「死亡日から3年間」
となります。
一般的に死亡事故の示談交渉は49日が過ぎたころから始められます。
ただ死亡事故の場合は事故から約2ヶ月が経った後でもショックが大きく、示談の準備が手につかないということもあるかと思います。
しかしそうしている間にも時効が迫っていることは事実ですので、示談の準備等が手につかない場合には、弁護士に任せることを検討してみてもいいかもしれません。
④加害者不明の場合
事故によってはひき逃げなどで加害者不明の場合もあるかと思います。
加害者が不明だと、示談交渉を行うことができません。
そのため、この場合は損害賠償請求権の消滅時効は
「事故発生日から20年」
となります。
しかし、加害者が判明した場合には、判明した日から3年間で損害賠償請求権の消滅時効が成立しますので、ご注意ください。
損害賠償請求権の時効まとめ
ここまで、交通事故の損害賠償請求権の消滅時効について解説してきました。
表にまとめると、以下のようになります。
けがのみ | 事故日から3年 |
---|---|
後遺障害等級あり | 症状固定日から3年 |
死亡事故 | 死亡日から3年 |
加害者不明 | 事故日から20年 (加害者が判明したら、その日から3年) |
まとめ|交通事故の示談交渉のポイント
ここまで、交通事故の示談交渉について解説してきました。示談交渉に臨むにあたり、今一度確認しておいていただきたいポイントは以下の通りです。
ポイント
- 加害者側の保険会社は妥当な慰謝料金額よりもかなり低い金額を提示してくることが多い
- 交通事故の示談交渉には時効はないが、損害賠償請求権には消滅時効がある
- 示談交渉を弁護士に依頼することで、妥当な金額を主張してもらえるうえ、加害者側に主張を受け入れてもらいやすくなる
交通事故の示談交渉では、加害者側から提示された金額が本当に妥当な金額なのかを確認し、増額の余地がある場合には増額を求めることが重要です。
しかし、交渉相手である加害者側の保険会社は示談交渉のプロですので、増額してもらえたとしても十分な増額幅ではないことが考えられます。
一度弁護士に妥当な金額を問い合わせてみたり、以下の記事から妥当な金額を確認してみることをお勧めします。
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交通事故の示談交渉についてのQ&A
示談交渉の流れは?
示談交渉は、① 示談前の準備、② 示談開始、③ 示談成立、示談書への署名・捺印、④ 慰謝料・賠償金の振り込みという流れで行われます。示談は加害者側の保険会社からの連絡で始まることが多く、基本的に電話やFAXで行われます。
示談前にするべき準備は?
示談が始まるまでに、① 領収書等の整理、② 請求したい慰謝料・賠償金の計算、③ 弁護士への相談の検討をしておきましょう。慰謝料・賠償金の計算は加害者側もしてくれますが、必ずしも妥当な金額を提示されるとは限らないため、被害者側でも計算しておきましょう。弁護士に相談しておくと、示談交渉がスムーズに進みやすくなります。
示談交渉には時効がある?
示談交渉自体には時効はありませんが、加害者側に対する損害賠償請求権には消滅時効があります。そのため、その時効前に示談を成立させる必要があります。加害者が分かっている場合の時効は3年、分かっていない場合の時効は20年ですが、事故の形態によって時効をいつから数えるかは変わります。