交通事故慰謝料|通院4ヶ月|通院〇日の相場!わかりやすい計算解説
4ヶ月(120日)という長期の通院を経て、幸いにも怪我が完治した方もいれば、何らかの後遺症でお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
この記事では
- 怪我が完治した場合(後遺症なし)
- 後遺症が残った場合
の慰謝料について、解説していきます。
日常生活を取り戻すためにはきちんと補償を受けとることが重要です。
この記事を読めば慰謝料計算の仕組み・コツが分かります!
慰謝料の目安があらかじめ分かっていたり、自分で計算できたら、相手方との交渉も冷静に進めることができるでしょう。
後半には便利な「慰謝料計算機」も紹介しています。
ぜひ最後まで読み進めてくださいね。
交通事故の通院慰謝料は「期間」と「日数」がポイント
交通事故の損害賠償でよく聞く「慰謝料」。
案外、何に対して支払われるお金なのかを知らないひとは多いそうです。
そこで、慰謝料ってどんなお金なのかを整理してみました。
慰謝料とは
交通事故の被害にあうことで負った精神的苦痛のこと
そう。慰謝料というのは、精神的苦痛に対して支払われるお金のことを言います。
精神的苦痛を簡単にいうと「辛い」「苦しい」などの言葉でしょうか…。
そして4ヶ月間通院したことに対する慰謝料を「通院慰謝料」とよんでいます。
通院慰謝料
- 怪我の治療などのために通院したことに対する慰謝料を「通院慰謝料」という
- 入院に対する慰謝料と併せて「入通院慰謝料」といわれることもある
慰謝料の金額は、同じ交通事故の損害賠償でも、誰が計算するのかで金額が変わっているのが実情です。
〇〇が計算したときの慰謝料を「〇〇基準」とよびます。
具体的には3つの基準があり、算定方法や結果もちがいます。
慰謝料の3基準
- ① 自賠責保険の基準
- ② 任意保険の基準
- ③ 弁護士基準
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
通院慰謝料には3つの算定基準がある
最初に、自賠責保険の基準で算定するときの方法や結果をみていきます。
①自賠責保険の基準
自賠責保険とは、自動車の運転者が義務的に加入している保険のことです。
交通事故の被害にあった時、相手が自動車であれば、相手方加入の自賠責保険から損害賠償を受けることになります。
※自賠責保険はどの保険会社であっても補償内容に違いは出ません。
ですから、相手方の自賠責保険が〇〇会社だから損、得というのはありません。
自賠責保険基準の通院慰謝料は、次の計算式を使います。
自賠責保険での算定
入院日数 × 4,200円 + 通院期間(実治療日数 × 2)* × 4,200円
あるいは
入院日数 × 4,200円 + 通院期間 × 4,200円*
※通院期間は短い方を採用
通院期間の「短い方」とは、
(1)実治療日数の2倍
(2)通院期間(通院開始~治療終了まで)
この2つを比較して、短い方を計算に使うのです。
例を見てみましょう。
▼計算例
- 通院期間:4ヶ月(120日間)
- 通院日数(実治療日数):55日間
55日✖2=110(日)となり、4ヶ月(120日)よりも短くなります。
計算には「短い方」を使いますので
→ 4,200円✖110(日)=462,000円が通院慰謝料になります。
もし、通院前に「入院」していたら入院慰謝料も上乗せされます。
入通院慰謝料については、4,200円✖入院日数で算定します。
②任意保険の基準
任意保険の基準は義務的加入ではなく任意加入の保険になります。
加害者によっては未加入の可能性もあるので注意が必要です。
「なぜ注意が必要なの?自賠責保険で補償されるんでしょう?」
↓
実は、自賠責保険で補償される範囲には上限が設けられているのです。
自賠責保険で補償される範囲は傷害部分で上限120万円と決められている
120万円の中には「入通院慰謝料」や「治療費」、「入院費用」や「手術費」や「通院にかかった交通費」などが含まれます。
しかし怪我の程度や必要な治療によっては、120万円では不足する場合ももちろんあるでしょう。
そんな時、不足した分をカバーするのが任意保険の役割です。
120万円を超えた時の支払いイメージはこの通りです。
加害者が任意保険未加入であれば、120万円を超えた損害賠償の受け取りがスムーズに進まない恐れがあります。
気になる方は、次の記事も参考にしてくださいね。
▼関連記事:損害賠償が120万円超えたら
「じゃぁ任意保険の基準ってどうやって計算するの?」
↓
任意保険の基準は、現在一般には公開されていません。
また、自賠責保険の基準とは違い、各保険会社による独自の算定基準をもっています。
今は任意保険の基準で正式な金額を出すことはできません。
以前は、任意保険の基準は統一されており一般に公開されていました。
今は使われていませんが、次章にて旧基準を掲載しますので参考にしてください。
③弁護士基準
弁護士基準は、被害者から依頼を受けた弁護士が相手方と交渉する時の基準です。
弁護士基準で慰謝料を算定する時、慰謝料の相場は一番高くなります。
自賠責保険の基準とはちがい「日額」は決まっていません。
通院期間(通院開始日から終了日まで)を元に、算定表で決められた金額が目安になります。
ちなみに、算定表は
- むちうち、打撲(うちみ)、捻挫、擦り傷→軽傷
- 上記以外→重傷
の2つに分かれています。
次章に掲載しますので、算定表もぜひチェックしてくださいね。
通院4ヶ月の慰謝料がひとめでわかる!
通院4ヶ月・入院なしの慰謝料早見表
まずは、入院なしで4ヶ月通院した時の通院慰謝料をみていきましょう。
なお、任意保険の基準については現在非公開とされていますので、省略しています。
おおよそ自賠責保険の基準よりは高く、弁護士基準よりは低いと考えておいてください!
※任意保険の旧基準・弁護士基準の表は「入院あり」の早見表とともに掲載していますので、もう少しだけ読み進めてください。
実際の通院日数 | 自賠責保険の基準 | 弁護士基準(軽傷) | 弁護士基準(重傷) |
---|---|---|---|
20日 | 168,000円 | 670,000円 (注意) |
900,000円 (注意) |
40日 | 336,000円 | 670,000円 | 900,000円 |
60日 | 504,000円 | 670,000円 | 900,000円 |
80日 | 504,000円 | 670,000円 | 900,000円 |
100日 | 504,000円 | 670,000円 | 900,000円 |
各基準について、金額の目安はこの通りです。
それぞれ詳細を解説しますね。
自賠責保険の基準について
自賠責保険の基準では、日額が4,200円となります。
▼ふりかえり:計算式は…
入院日数 × 4,200円 + 通院期間(実治療日数 × 2)* × 4,200円
あるいは
入院日数 × 4,200円 + 通院期間 × 4,200円*
※通院期間は短い方を採用
でしたね。
実通院日数の2倍で計算するか、通院期間(4ヶ月:120日)で計算するかで違います。
表の中の金額は、次のような途中式で求めることができます。
(例1)
実際の通院日数:40日
40日✖2=80(日)となるので、4ヶ月(120日)よりも短くなります。
ですので、80(日)を使って計算します。
→ 4,200(円)✖80(日)=336,000円
(例2)
実際の通院日数:60日
60日✖2=120(日)となり、4ヶ月(120日)とちょうど同じですね。
ですので、120(日)を使って計算します。
→ 4,200(円)✖120(日)=504,000円
ここで考えたいのが、もし実際の通院日数が「61日」だったらどうなるか?です。
61(日)✖2=122(日)となり、通院期間の4ヶ月(120日)を超えますね。
ですから、計算式には120(日)を使うことになります。
60日をこえるとき、計算式には「120」を使うことになるので、自賠責保険の基準での慰謝料金額は504,000円のまま変動していません。
弁護士基準について
弁護士基準で算定する時は、日額を通院日数や通院期間を掛け算するのではありません。
基本的に通院期間をベースにして考えます。
表内に「(注意)」と記載しているのは、通院頻度が低い場合です。
治療内容などにもよりますが、通院期間に対して極端に通院頻度が低いと、基準通りの慰謝料がもらえない可能性があります。
そもそも通院頻度が低いと、怪我の治りにも悪影響を与えかねません。
医師としっかり話をして、怪我の治療に必要な頻度で病院を受診しましょう。
通院日数が少ないかも…?などお困りの方、もう少し詳しく解説している記事もあります。あわせてお読みください。
▼関連記事:通院日数が少ない時の慰謝料
通院4ヶ月・入院「あり」の慰謝料早見表
通院4ヶ月の前に、入院している場合もあるでしょう。
<入院1ヶ月+通院4ヶ月>の場合の慰謝料について、通院日数別にまとめてみました。
入院1ヶ月 +実通院日数 |
自賠責 | 弁護士 (軽傷) |
弁護士 (重傷) |
---|---|---|---|
入院1ヶ月 +20日 |
294,000円 | 950,000円 (注意) |
1,300,000円 (注意) |
入院1ヶ月 +40日 |
462,000円 | 950,000円 | 1,300,000円 |
入院1ヶ月 +60日以上 |
630,000円 | 950,000円 | 1,300,000円 |
注意
通院頻度
先ほどと同じように、通院期間に対して通院日数が少ないと慰謝料が基準通りに受けとれない可能性もあります。
自賠責保険で支払われる上限
120万円までが支払い上限となります。ですので、入院1ヶ月・通院期間4ヶ月の場合、相手方が任意保険に加入していなければ支払いが円滑になされない可能性もあります。
入院期間が1ヶ月よりも多い場合は、以下の早見表または算定基準をご覧ください。
あくまで「目安の金額」となり、増減の可能性があります。
特に、任意保険の基準については今は使われていない以前のものですので、参考程度にご覧ください。
自賠責保険の基準の場合
4ヶ月中の 実通院日数 |
入院 1ヶ月 |
入院 2ヶ月 |
入院 3ヶ月 |
---|---|---|---|
20日 294,000円 |
126,000円 | 252,000円 | 378,000円 |
40日 462,000円 |
入院 4ヶ月 |
入院 5ヶ月 |
入院 6ヶ月 |
60日 630,000円 |
504,000円 | 630,000円 | 756,000円 |
80日 630,000円 |
入院 7ヶ月 |
入院 8ヶ月 |
入院 9ヶ月 |
100日 630,000円 |
882,000円 | 1,008,000円 | 1,134,000円 |
入院慰謝料については、4,200円✖入院日数です。
一番左側の「通院慰謝料」に加えて、入院月数分の慰謝料が上乗せになります。
(例)
入院2ヶ月+通院4ヶ月(うち60日通院)
↓
252,000円+630,000円=882,000円
120万円の上限を超える組み合わせについては、自賠責保険の基準での慰謝料獲得は難しくなります。
任意保険の基準
以下は以前の任意保険基準による入通院慰謝料基準表です。
現在は使われていない基準ですので、参考程度にご覧ください。
弁護士基準
弁護士基準は、以下の表の通りです。
前述の通り、「軽傷」「重傷」で分かれていますので、見る表を間違えないようにしましょう。
入院月数・通院月数の交わるところが金額です。
▼むちうち、打撲(うちみ)、擦り傷、捻挫
▼上記以外の傷病
4ヶ月通院したけど後遺症が…慰謝料はどうなるの!?
ここまで解説してきた損害賠償の慰謝料は、いわゆる「傷害部分」と言われるものです。
それとは別に「後遺障害部分」にあたる損害賠償を求めていくことになります。
「傷害部分」とは別に請求・支払われますので、受けとる金額はぐんと上がります。
イラストは損害賠償の内訳を簡単にまとめたものです。
ご覧の通り、後遺障害慰謝料と逸失利益という2つのお金について請求していくことになるのです。
どんなお金?相場はどれくらい?などの疑問は下記ページで解決できますよ!
通院4ヶ月だと後遺障害認定されない?
後遺障害慰謝料や逸失利益は、「後遺障害認定」されたら損害賠償請求できます。
後遺障害認定とは、主治医に「後遺症が残ったね」と言われることではありません。
損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)によって認定されることをいいます。
後遺症が残ったら、医師に「後遺障害診断書」を書いてもらうところから、後遺障害認定の申請準備を始めましょう!
- 後遺障害認定は損害保険料率算出機構が行う。
- 後遺障害診断書を医師に作成してもらう。
そして後遺障害認定を受けるためには、通院期間6ヶ月というおおまかな目安はあるようです。
しかし、6ヶ月通院しないと認定されない、というものでもありません。
通院期間が6ヶ月に満たないが後遺障害認定の申請を検討している…
こんな場合は弁護士に相談をしてみても良いでしょう。
「後遺障害認定の申請についてもう少し知りたい!」という方は、下記の記事もお目通しください。
▼関連記事:後遺障害認定について
慰謝料のほかに「請求すべきお金」がある
通院期間が4ヶ月間にもおよぶと、大変なご苦労があったこととお察しします。
特に、交通事故直後は症状が強く出たり、治療の頻度も高くなったりと、日常生活が一変したのではありませんか?
ここからは、通院4ヶ月の方に向けて「これ、損害賠償請求し忘れてませんか?」をお声がけさせていただきます。
入院・通院で会社をお休みしましたか?
入院・通院のために会社を休んだり、自営のお仕事を休まれた場合、休業損害・休業補償を請求できます。
自賠責保険の基準であれば、1日あたり5,700円です。
- 「月収の日額のほうが高いな…」
- 「1日単位でもいいのかな…」
1日単位から請求可能です。
また、5,700円よりも1日あたりの給与のほうが高い場合、弁護士に依頼すれば、実際の収入を元に1日あたりの補償額を算定してもらえるそうですよ。
主婦でも休業損害もらえますよ?
「専業主婦はお金をもらって働いていないし…もらえないんでしょう?」
→いえ、主婦も休業損害・休業補償の対象です。
家事労働も労働ですので、家事に穴があいてしまったなら、それは請求すべき損害です。
弁護士に依頼したなら、賃金センサスという国の統計を用いて、女性の平均収入を元に算出するそうです。
主婦の休業損害は1万円を超える日額が基準となるそうです…あくまで基準ですが、近い金額がもらえるなら交渉してみたいところですよね。
休業損害については、意外と知られていないことも多いんです。
下記で「休業損害・休業補償」を特集していますので、ぜひ読んでみてくださいね。
▼関連記事:交通事故の休業損害について
通院交通費はきちんと請求していますか?
退院後も定期的に通院しなくてはいけない…。通院のための交通費も、損害賠償請求すべきお金です。
特に注意したいのは「領収書」が必要なケース。
領収書が不要
- 電車
- バス
これらの公共交通機関は、領収書は不要です。
どうしてもこれらを使って通院できなかった時、タクシーを使った…。この場合は領収書が必要です。
受けとった領収書は、相手方に通院交通費を請求する時の資料になります。
大切に保管しておきましょう!
「慰謝料計算機」で納得の結果に一歩前進!
簡単・すぐに分かるから便利を実感
相手方(加害者側)から金額提案を受けて示談交渉はスタートします。
でも、送られてきた内容見ても
- この金額は妥当なのかな?
- 内容は損してないかな?
- なんとなく低いような…?
いきなり金額を見せられてもわかりませんよね。
そんな時に使いたい便利ツールが「慰謝料計算機」です。
情報を入力するだけで、あなたの慰謝料の目安がわかりますよ。
慰謝料計算機の結果は「弁護士基準」に基づいています。
ですから、相手方の保険会社から提案を受けている金額にどれくらいの増額余地があるかがわかります!
交通事故の個別の事情により、弁護士基準での金額を丸々受けとれるとは限りません。
ですが、慰謝料計算機で見当を付けておき、その金額に近づけるように交渉していく方が進めやすいでしょう。
まとめ
交通事故で通院4ヶ月…本当に長期の通院お疲れ様でした!
怪我が治った人も、治りきらなかった人も、あらためて第一歩を踏み出すために、慰謝料で損をしない「納得」の結果を目指しましょう。
そのお手伝いができていれば幸いです。
通院4ヶ月の交通事故慰謝料についてのQ&A
通院慰謝料の金額はどう計算する?
自賠責保険の基準では<日額4200円>となります。計算は、① <(実治療日数 × 2)× 4200円>または② <通院期間 × 4200円>で算定可能で、(実治療日数✖2)と(通院期間)の少ない方を使いわけます。通院慰謝料の計算は、自賠責保険の基準のほか、任意保険基準や弁護士基準があります。3つの基準の中で、最も相場が高くなるのは弁護士基準で算定した時です。
通院4ヶ月の慰謝料はいくら?
自賠責保険の基準では1日あたり4200円となり<通院40日:336000円、通院60日:504000円>です。弁護士基準は軽傷・重傷で金額は異なり、<軽傷:670000円、重傷:900000円>となります。任意保険基準については、各保険会社ごとに基準を設けており、詳細な内容は非公開とされています。一般的には、自賠責保険の基準よりも少し高く、弁護士基準で算定した金額より低いとされています。
通院4ヶ月は後遺障害認定されない?
目安として、後遺障害認定を受けるには通院期間6ヶ月とされているそうです。しかし、6ヶ月通院しないと絶対に認められない、というものでもないでしょう。後遺障害認定のサポートも行っている弁護士に、ご自身の後遺症の状況を踏まえて相談することをオススメします。ちなみに、後遺障害認定は医師ではなく、損害保険料率算出機構がおこないます。医師の判断だけでは、後遺障害認定されたとは言えないのです。
休業損害は主婦も対象?
主婦にも休業損害は認められます。それは、交通事故の怪我のせいで家事が思うようにできない、という考え方によるものです。金額は、もし弁護士に依頼をすれば、国の統計を用いて金額を算定します。1日あたり10000円前後になる可能性もあります。