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交通事故の慰謝料|無傷でももらえる?ペットや物的被害のつらさは?

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交通事故の慰謝料|無傷でももらえる?ペットや物的被害のつらさは?

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交通事故で慰謝料はどれくらいもらえるのか?

  • 無傷の場合の慰謝料の考え方
  • 無傷だとしてもやってはいけないこと
  • 物損事故で慰謝料が認められた事例

を紹介します。

交通事故の慰謝料|無傷でももらえる?

「無傷」は慰謝料なしが原則

交通事故で幸いにも怪我がない場合、原則慰謝料を受けとることはできません。

それは、交通事故において慰謝料とは次のような意味を持っているからです。

慰謝料とは

交通事故で怪我をしたり通院を余儀なくされたりしたという精神的苦痛を緩和・除去するための金銭的補償

無傷ということは、慰謝料の定義にはあてはまらないのです。

交通事故の慰謝料は3種類に分けることができます。

交通事故:慰謝料
入通院慰謝料(傷害慰謝料)
交通事故で怪我をした痛み、入院・通院することへの精神的苦痛に対する補償
後遺障害慰謝料
交通事故で負った怪我により身体・精神に後遺障害が残ったという精神的苦痛に対する補償
死亡慰謝料
生命が失われたという精神的苦痛に対する補償

無傷ということは、いずれの慰謝料にも当てはまりませんので慰謝料は受けとれません。

本当に「無傷」?病院行った?

一点注意したいのは、本当に無傷なのかということです。

重要

無傷かどうかは、医師が判断するもの

例えば「むちうち」を例にあげてみます。

むちうちは交通事故直後ではなく、少し時間が経ってから、痛みやしびれなどの症状が表れることもあります。

外見上は分からなくても、後から腫れが起こったり…ということも有り得るでしょう。無傷だと思っていても実は打ち付けていて…なんてこともあるかもしれません。

▶関連記事:むちうちの慰謝料

もし交通事故発生から日をおいて病院を受診し、異常が見つかったとしても、交通事故と怪我の因果関係が認められにくくなります。

因果関係が認められなければ、慰謝料はおろか、治療費などの支払いも拒否されるかもしれません。

ですから、無傷であることは医師の診察を受けて判断してもらうことが望ましいです。

可能であれば事故当日、遅くても1週間以内には病院を受診することをオススメします。

医師に診察してもらうために1回通院した場合も、入通院慰謝料の請求対象となります。

1日分の入通院慰謝料治療費検査費用(レントゲンなど)通院交通費などを受けとることは可能です。

入通院慰謝料は、1日あたり4,200円を受け取ることができます。

この4,200円は相手方が加入している自賠責保険からの保険金になります。

入通院慰謝料の計算方法を詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてくださいね。

交通事故の慰謝料|無傷でも辛い・悲しい|交通事故の損害賠償

人の身体に怪我などの損害が発生した事故を人身事故、物が壊れるなどの物的損害のみが発生した事故を物損事故と呼びます。

ここまでで物損事故は慰謝料の対象にはならないことが分かったかと思います!

しかし、多くの方がこういった事実を知らないですし、また、知っていても「本当にもらえないの…?」とショックを受けることもあるそうです。

「慰謝料」という文字からは、慰めたり、謝ったり、という印象を受け、物が壊れた時にももらえるように受けとれるのかもしれません。

ここからは、「慰謝料に該当するのでは?」と思われがちな事例を3つご紹介します。

いずれも原則、慰謝料はもらえないものばかりです。

慰謝料の対象?|①新車が事故に…

  • 自分は無傷だけど、新車にキズがついた。
  • 家の前に停めていた新車に車が突っ込んできた。

無傷だった・突っ込まれた新車に乗っていなかったという点ではセーフ!ですが、買ったばかりの車に損害が起こったことは非常にショックな出来事と言えるでしょう。

しかし、新車が傷ついたことへのショックに対する慰謝料は、原則支払われません。

支払われるものは「修理費」や「買い替え費」のみとなります。

物的損害については、損傷分のみの支払いになるのです。

慰謝料の対象?|②衣類が汚れた…着用物が壊れた…

  • 無傷だけども、お気に入りの服についたシミが取れない…
  • 大事にしていた時計が壊れてしまった…

この場合も修理費や買い替え費のみ請求可能で、慰謝料獲得は難しいでしょう。

大切にしていたものだから、という背景は、残念ながら損害賠償には反映されないのです。

慰謝料の対象?|③ペットが亡くなった…

自分は無傷だけど、愛犬が亡くなってしまった…

同じ時間を過ごす家族のような存在が、交通事故によって命を奪われた…

しかし残念なことにペットは飼い主の「物」としてみなされます。

ペットを失ったことの悲しみについても、慰謝料支払いの対象ではなく、原則としては認められないものになります。

後述の通り、中には飼い主に対して慰謝料が認められた判例もあるようですが、例外的と考えておいた方がよさそうです。

交通事故の慰謝料|物的損害に関する慰謝料の例外!

ここまでは原則として認められない、というお話をしてきました。

というのも、過去の裁判例を見てみると物損・ペットに関する慰謝料が認められた事例もいくつかあるからです。

あくまで例外となりますが、順番にみてみましょう。

(1)愛犬の死で慰謝料10万円

大阪地判平18.3.22

セラピー犬として飼っていたパピヨンらが、本件事故により死傷してしまった。

精神的なショックを受け、病院への通院日数が増えたことが認められる。

パピヨンらの死傷で受けた精神的な苦痛に対する慰謝料としては10万円を認めるのが相当である。

この交通事故は、飼い主がパピヨンらをきちんと係留して監督していなかったことも過失として認めながらも、上記のような背景を考慮して飼い主への慰謝料が認められました。

(2)墓石の倒壊で慰謝料10万円

大阪地判平12.10.12

霊園で運転操作を誤り、墓石を倒壊させ骨壺が露出するにいたった。

墓石等は、先祖・故人が眠る場所として、強い敬愛追慕の念を抱く対象となりえる。損害を受けた物と場所のそのような特殊性を考慮すれば、被った精神的苦痛に対する慰謝料も損害賠償の対象となると考えられた。

人的被害がないものの、墓石所有者が事故によって受けた精神的ショックが考慮され、慰謝料が認められました。

(3)乗用車侵入で玄関損傷:慰謝料20万円

大阪地判平15.7.30

乗用車が突っ込んできたため、自宅の玄関が損壊。損害賠償の交渉がスムーズに進まなかったこともあり、年末年始を含む1ヶ月以上、玄関にベニヤ板を打ち付けた状態になった。生活上および家業上の不便を被ったことが認められた。

この事件では、飼い犬のゴールデンレトリバーも怪我を負っていますが、ペットの怪我に関する慰謝料としてではなく、玄関の損壊について認められました。

慰謝料以外にも?人身事故と物損事故の違い

物損(ペットを含む)についても、絶対に慰謝料が認められない、とは言い切れませんね。

しかし原則として認められるものではないということは覚えておくと良いでしょう。

人身事故物損事故では慰謝料がもらえる・もらえないという違いがあります。

他の違いもみていきましょう!

人身事故と物損事故の比較(一例)
人身事故 物損事故
被害内容 人的被害あり 物的被害のみ
治療費 あり なし*
物的損害 あり(含む) あり(のみ)

*ペットの治療費は認められることもあり

ちなみに、警察に一度「物損事故」として届け出ていても、「人身事故」に切り替えてもらうことは可能です。

しかし交通事故の現場は刻一刻と状況が変わり、証拠は薄れていく傾向にあります。

目撃者についても同様で、時間がたつほど証言は得にくくなるでしょう。

もし「無傷じゃなかった」と分かった場合は、早めに人身事故に切り替えましょう。

次に、ついつい「無傷」だから…とやってしまいがちな「NG」を紹介します。

交通事故で無傷|ついついやりがちな「NG事項」

警察へ通報しない

交通事故が発生したら、人身事故であれ、物損事故であれ、必ず交通事故の発生を警察に通報することが必要です。

警察に通報する

まずは警察へ連絡をしてください。お互いに無傷だから、自分が無傷だから、相手が無傷だから…関係ありません!

移動させるときは相手にその旨を伝えたうえで動かすようにしてくださいね。

目撃者の確保

事故発生時、目撃者がいれば声をかけ、協力を仰ぎましょう。

今後相手方との話し合い次第では、話を聞かせてもらうことがあるかもしれません。

また目撃者がいることは警察にも伝えましょう。

後続車に事故発生を知らせる

事故が発生したことを後続車に伝え、二次被害を防ぎましょう。

交通事故現場での示談に応じてしまう

交通事故現場では、示談などの話し合いを進めてはいけません。

それは、「損害額」が確定しないからです。

例えば、物的損害だけでも、被害額はすぐには定まりません。

自動車・自転車などは、購入日から日が経つにつ入れて価値が下がってしまいます。

ですから、事故発生時点での物の価値はすぐには算定できません。

また、そもそも「無傷」かどうかは分かりません。

  • 病院に行ってみたら怪我していた
  • 重傷ではないけれど通院が発生して治療費を請求したい

このように、その場では「物」も「人」の損害もはっきりしていないのです。

まずは連絡先の交換、加入している保険会社、保険会社の連絡先などをお互いに交換しておきましょう。

まとめ

交通事故の慰謝料は「無傷」だと原則受けとることはできません。

人的被害が発生してないものは「物損事故」とされ、物損事故での慰謝料は原則として認められないからです。

まず大事なことは、「本当に無傷であること」を医師に診断されることです。

あとから怪我が分かっても、適正な損害賠償を受けられない可能性が上がります。

無傷の場合の交通事故慰謝料に関するQ&A

無傷でも慰謝料はもらえる?

無傷であれば、交通事故の慰謝料を受けとることはできません。しかし、本当に無傷なのかということは注意が必要です。本当に無傷かは医師が判断するものですし、事故から時間が経って症状が表れることもあります。もっとも、慰謝料は1日単位で支払われます。病院へ行き「無傷」と診断された場合、その病院へ行った日の慰謝料、診察料などは相手方に請求すべきお金と言えます。

「無傷」は慰謝料なしが原則

車に傷がついたことに慰謝料は払われる?

交通事故の慰謝料は、人の身体に怪我などの損害が発生し、その痛みや通院治療での精神的苦痛に対して支払われるものです。たとえば、自宅の車庫に停めていた無人の車に他人の車が接触してきて傷がついても、慰謝料ではなく修理費が支払われるのみです。物的損害については、損傷に対する支払いのみとなります。

慰謝料の対象?|新車が事故に…

物損事故で慰謝料は絶対にもらえない?

例外として、慰謝料が認められた事例はあります。愛犬の死、墓石の倒壊、玄関周辺の損壊など、範囲は様々です。いずれも裁判で被害者の事情を丁寧に主張したことがポイントのひとつと言えそうです。全ての場合に当てはまるわけではありませんが、絶対にもらえないということでもないようです。

交通事故の慰謝料|物的損害に関する慰謝料の例外!

自分も相手も無傷なら警察に連絡不要?

交通事故が発生したら、必ず警察に連絡してください。通報後は、原則、現場を保全して警察の到着を待ちます。もし、交通量が多い現場での事故で周囲への大きな妨げになっている場合は、車両を移動させます。この時、事故現場の写真撮影をしておくことをオススメします。また、さらなる事故を防ぐためにも、交通事故の発生を後方車両に伝えましょう。

交通事故で無傷|ついついやりがちな「NG事項」

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