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交通事故の慰謝料|脳挫傷で高次脳機能障害?てんかん?植物状態も…

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交通事故の慰謝料|脳挫傷で高次脳機能障害?てんかん?植物状態も…

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交通事故で脳挫傷を負ってしまった…。

脳は人間の生命や思考にかかわる大事な器官です。脳挫傷を負ってしまったらどんな慰謝料を請求すべきなのか、慰謝料の相場や計算方法をまとめました。

交通事故で脳挫傷|慰謝料の計算の仕方

脳挫傷の慰謝料|慰謝料算定の3基準

交通事故の慰謝料には3つの算定基準があります。

慰謝料3基準

(1)自賠責保険の基準

(2)任意保険の基準

(3)弁護士基準

算定方法がそれぞれ異なるので、まずは3つの基準があることを覚えておきましょう!

自賠責保険の基準

自賠責保険の基準とは、自動車の運転者に加入義務がある保険です。

交通事故の相手方が自動車の場合は、「自賠責保険の基準」で算定します。

任意保険の基準

任意保険の基準は、自賠責保険とはちがって自動車の運転者に加入義務はありません。

交通事故の相手方が任意保険に入っていないこともありえます。

被害者への損害賠償は、自賠責保険からの保険金だけでは足りない場合があります。

任意保険はその不足分をカバーするもので、「上積み保険」や「上乗せ保険」などと呼ばれることもあるようです。

弁護士基準

弁護士基準は、依頼を受けた弁護士が相手方と交渉する時に用いる基準です。

裁判所でも使われている公正な基準で、慰謝料の相場も3つの基準の中で最も高くなります。

そして、交通事故に関する慰謝料も一つではありません。

4つの慰謝料
  1. ① 入通院慰謝料
  2. ② 後遺障害慰謝料
  3. ③ 死亡慰謝料
  4. ④ 近親者固有の慰謝料

脳挫傷で受けとる慰謝料をみていきましょう!

①入通院慰謝料|脳挫傷の場合

<入通院慰謝料>

脳挫傷の手術や治療をするために入院や治療をしなくてはならない精神的苦痛への金銭的補償

脳挫傷は、頭部に強い外力が加わって起こります。ですから、脳挫傷だけでなく色々な症状を併発している可能性があります。

また、CT検査などを繰り返して経過観察を行うそうです。

入院・通院期間は長期化する傾向にあるでしょう。

それでは、自賠責保険の基準での入通院慰謝料計算を見ていきましょう。

自賠責保険の基準

計算式

(1)入院日数 × 4,200円 + 通院期間(実治療日数 × 2) × 4,200円

あるいは

(2)入院日数 × 4,200円 + 通院期間 × 4,200円

1日あたりの相場は4,200円です。

4,200円を通院期間分、掛け算をします。

通院期間は、

(1)実際に通院した日数

(2)通院開始日から治療終了日までの日数

のどちらか短い方を採用します。

たとえば、入院4ヶ月、通院5ヶ月・通院治療日100日の場合を考えてみましょう。

まずは、通院分から計算していきます。

1ヶ月は30日で計算するので、通院期間は150日間になりますね。

通院治療日は100日ですので、2倍して200日と考えます。

通院期間の150日と比較すると、150日(通院期間)の方が短いので、計算には150日を使います。

4,200円 ✖ 150(日)=630,000円

入院4ヶ月分は120日に相当するので、4,200円✖120=504,000円となります。

先ほどの通院分:630,000円と足し算をして、1,134,000円。

自賠責保険の基準で計算した入通院慰謝料は1,134,000円です。

任意保険の基準

計算

算定表に基づいて算定しましょう。

以前は、任意保険の基準は統一されており一般に公開されていました。

現在は各保険会社の自由設定となっており、非公開です。

といっても、過去の統一基準を踏襲しているケースが多いようです。

以下に以前公開されていた過去の統一基準を示します。

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

入院月数と通院月数の交わったところをみます。

(例)入院4ヶ月・通院5ヶ月→1,298,000円

通院がひと月単位でない場合は、少しだけ計算が複雑です。

(例)入院4ヶ月・通院160日を考えてみましょう。

160日は5ヶ月と10日分けて考えます。

この10日分を算定するには、まず「通院6月目」の1日あたりの金額を出す必要があります。

▼計算式

<入院4ヶ月・通院6ヶ月>-<入院4ヶ月・通院5ヶ月>

=1,348,000円ー1,298,000円

=50,000円

50,000円÷30(日)=約1,666円

1日あたり1,666円なので、1,666円✖10(日)=16,660円

<入院4ヶ月・通院5ヶ月>+16,660円

=1,298,000円+16,660円

1,314,660円

このように、分解して考えることになります。

弁護士基準

計算

算定表に基づいて計算しましょう。

以下の表が弁護士基準での算定表になります。

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

弁護士基準の表は2種類ありますが、脳挫傷の場合は重傷の表を使います。

インターネットで検索したりして、誤って軽傷の表を見ないようにしましょう。

任意保険の基準と比較しやすいように、同じく入院4ヶ月・通院5ヶ月を見てみましょう。

(例)入院4ヶ月・通院5ヶ月→2,330,000円

自賠責保険の基準・任意保険の基準と比べると、100万円以上の違いが出ていますね。

やはり何の基準で算定するかは重要でしょう。

②後遺障害慰謝料|脳挫傷の場合

後遺障害慰謝料は、計算式ではなく後遺障害等級ごとに決められている「目安額」をもとに算定されます。

等級とは、後遺障害の残った部位や障害内容・程度に応じて、後遺障害を1~14の等級に分けたものです。

後遺障害に認定される=後遺障害等級〇級と認定されること。

脳挫傷で損傷した脳は、高次脳機能障害や遷延性意識障害、外傷性てんかんなどの後遺障害が残る恐れがあります。

損傷部位や程度によって、様々な症状が残りえます。

等級ごとの後遺障害慰謝料は後述します。

③死亡慰謝料|脳挫傷の場合

脳挫傷の結果、残念なことに命を落としてしまうこともあります。

たとえば、脳ヘルニアなどで呼吸障害が起こるなど、脳に致命的なダメージが残ることは十分あるのです。

死亡慰謝料についても、3つの基準で異なります。

死亡慰謝料
弁護士基準 任意保険基準※1 自賠責基準
一家の支柱:2,800万円 一家の支柱:1,700 万円 一律:350万円
母親・配偶者:2,400万円 未就労(18才未満):1,400万円 請求者1名:550万円
独身男女、子ども、幼児
2,000万円~2,200万円
高齢者(65歳以上):1,250万円 請求者2名:650万円
上記以外:1,450万円 請求者3名以上:750万円
ほか被扶養者がいる場合:200万円を追加

※1 旧任意保険支払基準を参照、現在は保険各社が独自に設定
※2 慰謝料の単位は万円

自賠責保険の基準での請求権者は、

  • 被害者の父母(養父母含む)
  • 配偶者および子ども(養子、認知した子、胎児含む)

と決められています。

弁護士基準や任意保険基準は、被害者がどんな立場の人だったかで金額が分かれていますね。

自賠責保険の基準は、死亡した本人への慰謝料は一律350万円とされていて、請求者の人数により変わるようです。

ちなみに請求者2名:650万円というのは、2人分として650万円ということです。1人分の金額からはずいぶん減ってしまいますね‥。

死亡慰謝料についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

④近親者固有の慰謝料|脳挫傷の場合

近親者固有の慰謝料は、交通事故の被害者の近親者が請求可能な慰謝料です。

死亡事故や、被害者が重大な後遺障害をおった場合に認められる可能性があります。

たとえば

幼い子が被害者となり重い後遺障害で寝たきりになった

→成長を見守り楽しむことができなくなった精神的苦痛

被害者への介護が必要になった

→今後の人生を家族介護にあてていくことの精神的苦痛

→死亡にも匹敵するほどの障害が残ったことへの精神的苦痛

どんな場合でも認められるわけではありませんが、請求して初めて認められる慰謝料です。

被害者との関係性をしっかり述べ、どんな精神的苦痛なのかを説明していく必要があるでしょう。

※先ほど紹介した「弁護士基準」の死亡慰謝料相場は、近親者固有の慰謝料を含んだ金額になっています。

脳挫傷|後遺障害認定されると慰謝料は増える

入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料、近親者固有の慰謝料の4つを紹介しました。

このうち、後遺障害慰謝料は「後遺障害」が認定されたら請求できる慰謝料です。

受けとる慰謝料の費目が増えるので、トータルの金額も増額されます。

※死亡慰謝料と後遺障害慰謝料は、重複して受けとることはできません。

認定されうる後遺障害は?

損傷の程度や部位によって変わりますが、この記事では次の3つの後遺障害について解説します。

(1)高次脳機能障害

(2)外傷性てんかん

(3)遷延性意識障害

  • 高次脳機能障害→記憶や行動の障害、性格が変わってしまう
  • 外傷性てんかん→意識障害やけいれんなど
  • 遷延性意識障害→寝たきり、植物状態

代表的な症状はこのようになります。

それぞれ順番に、後遺障害等級・後遺障害慰謝料をみていきましょう。

脳挫傷|高次脳機能障害の慰謝料は?

高次脳機能障害:後遺障害等級

脳挫傷による高次脳機能障害で認められる可能性がある後遺障害等級は次の通りです。

後遺障害等級:高次脳機能障害
等級 内容
別表第1 11 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
別表第1 21 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
33 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
52 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
74 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
910 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
1213 局部に頑固な神経症状を残すもの
149 局部に神経症状を残すもの

「別表第1 1級」「別表第1 2級」というのは、後遺障害等級のなかでも生命の維持に介護が欠かせない後遺障害が該当する等級です。

もちろん、これ以外の後遺障害等級であっても、介護が必要な場合もあります。

高次脳機能障害:後遺障害慰謝料の相場

等級ごとの後遺障害慰謝料は次の通りです。

後遺障害慰謝料:高次脳機能障害
等級 弁護士基準 任意保険基準※1 自賠責基準
別表第1 1 2,800 1,300 1,600
別表第1 2 2,370 1,120 1,163
3 1,990 950 829
5 1,400 700 599
7 1,000 500 409
9 690 300 245
12 290 100 93
14 110 40 32

※1 旧任意保険支払基準を参照、現在は保険各社が独自に設定

※2 慰謝料の単位は万円

いずれの後遺障害等級でも、金額は基準によってバラバラです。

弁護士基準が最も慰謝料の相場が高くなりますね。

脳挫傷|外傷性てんかんの慰謝料は?

外傷性てんかん:後遺障害等級

外傷性てんかんで認定されうる後遺障害等級は次の通りです。

後遺障害等級:外傷性てんかん
等級 内容
52 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
74 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
910 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
1213 局部に頑固な神経症状を残すもの

後遺障害等級は発作の起こる頻度や、起こる発作の内容(転倒など)を考慮して判断されます。

外傷性てんかん:後遺障害慰謝料の相場

外傷性てんかんで認定されうる後遺障害等級に応じて、後遺障害等級の目安は次のように定められています。

後遺障害慰謝料:外傷性てんかん
等級 弁護士基準 任意保険基準※1 自賠責基準
5 1,400 700 599
7 1,000 500 409
9 690 300 245
12 290 100 93

※1 旧任意保険支払基準を参照、現在は保険各社が独自に設定

※2 慰謝料の単位は万円

被害者に残る症状などによって金額が増減することもあるそうです。

脳挫傷|遷延性意識障害の慰謝料は?

遷延性意識障害:後遺障害等級

遷延性意識障害で認められる可能性がある後遺障害等級は次の通りです。

後遺障害等級:遷延性意識障害
等級 内容
別表第1 11 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

遷延性意識障害は、植物状態や寝たきりといった状態になります。

生命の維持には常に介護が必要で、極めて重篤な後遺障害です。

遷延性意識障害:後遺障害慰謝料の相場

等級ごとの後遺障害慰謝料は次の通りです。

後遺障害慰謝料:遷延性意識障害
等級 弁護士基準 任意保険基準※1 自賠責基準
別表第1 1 2,800 1,300 1,600

※1 旧任意保険支払基準を参照、現在は保険各社が独自に設定

※2 慰謝料の単位は万円

常に介護が必要な状態とは言え、やはり基準ごとの金額差は大きいですね。

コラム:将来介護費の請求

遷延性意識障害の場合は介護が欠かせない状態です。

将来にわたってかかる介護費用についても、別途請求することになります。

介護費用として認められる可能性があるものを、これまでの判例から調査してみました。

介護費用の例
  • 介護職の人へ依頼する費用
  • 近親者による介護への費用
  • 紙おむつ代
  • 車いすの購入および買い替え費用
  • 居宅のリフォーム費用
  • 介護車両への改造費用

居宅のリフォームや介護車両への改造については、しばしば被害者以外の家族にも利益があるとして、相手方と争うこともあるようです。

また、介護の主体は近親者を前提とすることが多いそうです。

被害者の方の体格が大きくて介護が重労働になる、近親者が高齢で介護が難しいなど、個別の事情をきちんと主張していきましょう。

【慰謝料計算機】自動計算だから簡単&速攻!

慰謝料計算でまず目安を知っておこう

慰謝料と一口に言っても、種類はたくさんありますし、計算は少し面倒ですね。

また、慰謝料以外にも受けとるべきお金はあります。

たとえば逸失利益。逸失利益とは、後遺障害が残ったことで労働能力が下がってしまい、本来はもらえるはずだったのに失われてしまった金銭をいいます。

昇給が難しくなったできる仕事に制限がかかり減収したなど、いろんなケースがあるでしょう。

こういったお金の目安も計算できる便利ツールが「慰謝料計算機」です。

使い方は簡単!情報を入力するだけで、計算は自動だから安心ですよ。

このほか、治療費や手術費は別途支給されます。

ですから、慰謝料計算機の結果は受けとれる目安として理解しておきましょう。

※慰謝料計算機の結果は弁護士基準の算定結果です。

まとめ

脳挫傷の慰謝料は、どんな風に障害が残り、後遺障害が何級に認定されるかで変わります。

後遺障害次第で、非常に大きな金額になります。

「本当ならこのお金も請求できたのに…」と後から泣き寝入りしないためにも、弁護士に相談することも一つの方法です。

脳挫傷の交通事故慰謝料に関するQ&A

脳挫傷に関する慰謝料とは?

脳挫傷の慰謝料には、① 入通院慰謝料、② 後遺障害慰謝料、③ 死亡慰謝料の3つが考えられます。① 入通院慰謝料は、脳挫傷により入院・通院したことへの精神的苦痛に対する慰謝料、② 後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことへの慰謝料③ 死亡慰謝料は脳挫傷の結果、亡くなってしまった場合の慰謝料をいいます。

脳挫傷の慰謝料|慰謝料算定の3基準

死亡慰謝料と近親者固有の慰謝料の違いは?

死亡慰謝料は、亡くなられたご本人へ支払われる慰謝料のことです。一方、近親者固有の慰謝料は、交通事故の被害者の近親者が請求可能な慰謝料で、被害者を亡くした近親者の精神的苦痛に対して支払われます。死亡事故だけでなく、被害者が重大な後遺障害をおった場合に認められる可能性があります。

近親者固有の慰謝料|脳挫傷の場合

脳挫傷で認定される可能性がある後遺障害は?

① 高次脳機能障害、② 外傷性てんかん、③ 遷延性意識障害が代表的です。① 高次脳機能障害では、記憶・行動の障害や性格の変化などがみられます。② 外傷性てんかんでは、意識障害・けいれんなどが起こる可能性もあります。③ 遷延性意識障害とは、植物状態・寝たきりなどといわれる重篤な状態です。

認定されうる後遺障害は?

脳挫傷で高次脳機能障害なら後遺障害何級?

脳挫傷による高次脳機能障害は、別表第1 1級1号別表第1 2級1号3級3号5級2号7級4号9級10号12級13号14級9号に認定される可能性があります。別表第1とは、生命の維持に介護が欠かせない状態であり、非常に重篤な後遺障害が残っていることを意味します。

高次脳機能障害:後遺障害等級

脳挫傷で外傷性てんかんなら後遺障害何級?

脳挫傷による外傷性てんかんは、5級2号7級4号9級10号12級13号に認定される可能性があります。発作のおこる頻度、発作の内容(転倒の有無など)などを考慮して、後遺障害等級が判断されます。

外傷性てんかん:後遺障害等級

脳挫傷で遷延性意識障害になったら後遺障害何級?

脳挫傷による遷延性意識障害は、別表第1 1級1号に認定される可能性があります。別表第1 1級1号は、「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」と規定されており、大変重篤な後遺障害と言えるでしょう。

遷延性意識障害:後遺障害等級

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