交通事故の慰謝料|示談交渉の仕方は?自分でできる?テクニックは?
交通事故に遭い、慰謝料や賠償金を得るためには、加害者側との示談交渉が必要です。
示談交渉を通して、慰謝料や賠償金の金額が決められます。
慰謝料の示談交渉の仕方は?
示談交渉は誰と行うの?
示談交渉を上手く進めるテクニックは?
この記事では、示談交渉の仕方・テクニックについて解説していきます。
これから示談交渉を行う方、示談交渉が不安な方は、ぜひご確認ください。
交通事故の慰謝料|示談交渉の仕方は?
示談交渉の始め方は?
①加害者が任意保険に入っている場合
交通事故に遭い、治療等も終わり、交通事故による損害額が確定すると、加害者側の任意保険会社から慰謝料や賠償金の金額が載った書類が送られてきます。
そこに記載されている金額を受け入れる場合は、書類に署名・捺印して返送します。
記載されている金額に納得できない場合は、保険会社に対して異議申し立てをします。示談交渉はここから始められます。
中には待っていても加害者側から何の連絡も来ないということがあります。
そうした場合には、被害者側から加害者の任意保険会社に連絡を入れてください。
②加害者が任意保険未加入の場合
加害者が任意保険に入っている場合には、上でご説明したような流れで示談交渉が始められます。
しかし任意保険は必ず加入していないといけないというものではありません。そのため、加害者が任意保険に入っていないこともあります。
そうした場合は、加害者本人から連絡を受けるか、加害者本人に連絡を入れることで始められます。
示談交渉の交渉人・相手は?
示談交渉の交渉人は、必ずしも加害者本人、被害者本人でなければならないというわけではありません。
示談交渉の交渉人になることができる人は、以下の通りです。
加害者側 | 加害者の加入する任意保険の担当者 加害者本人 加害者に依頼された弁護士 |
---|---|
被害者側 | 被害者に依頼された弁護士 被害者本人 |
基本的に加害者側の交渉人は、加害者が加入している任意保険の担当者になります。
示談交渉で決まった慰謝料や賠償金は、加害者が加入する任意保険から支払われます。そのため、示談交渉も任意保険の担当者が、加害者の代理人として行います。
加害者が任意保険に加入していない場合には、加害者本人または加害者が依頼した弁護士が交渉相手となります。
被害者側は、被害者本人が示談交渉に臨むこともできますし、代理人として弁護士を立てることもできます。
示談交渉はどこで行われる?
基本的に示談交渉は、場所を決めてお互いに顔を突き合わせて行うということがありません。
多くの場合は電話やFAXを通して互いに主張し合い、合意を目指します。
そのため、わざわざどこかに出向いて交渉しなければならないということはありません。
ただ、
- 仕事中や家事中に繰り返し電話がかかってくる
- 職場で交渉の電話を受けることになる
ということもあり、それがストレスになる、困るという方もいるようです。
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交通事故の慰謝料|示談交渉のテクニックはある?
示談交渉は自分でできる?
示談交渉は、被害者ご自身でも行うことができます。
ただしその場合は、以下の点に注意する必要があります。
- 加害者側の任意保険会社は示談交渉のプロである
- 加害者側の任意保険会社は低めの金額を提示してくる
- 被害者は専門家ではないとみなされるため、主張が通りにくい
注意点を知ることで作戦を立てることができますので、これらの注意点についてもう少し詳しくご説明します。
①任意保険会社は交渉のプロである
任意保険は任意で加入するものとはいえ、10人中約9人は加入しています。そのため、多くの場合、示談交渉は加害者側の任意保険会社と行うことになります。
任意保険会社は示談交渉も業務の一部としていますので、知識も経験も豊富です。そのため、テクニックとしてはどうしても任意保険会社の方が上となります。
そのため、
- 提示された金額の根拠を説明してほしくても「そういうものだから」と突き放される
- 専門用語を多用されて理解が追い付かないまま進められる
という可能性があります。
②任意保険会社は低めの金額を提示する
任意保険会社にとって被害者に対して支払う示談金は出費ですので、できるだけ低く抑えたいと考えます。
そのため、示談の際には低額な金額を提示されることがしばしばあります。
そしてこの場合、
- 実際には相場よりも低い金額であるにもかかわらず、妥当な金額であると説明される
- 交通事故の慰謝料としては低額であるものの、金額そのものは大きいということも多いため、被害者も納得してしまいやすい
ということがありますので、注意が必要です。
③主張が通りにくい
低額な金額を提示されても、法律や過去の判例のことを勉強し、根拠を持って増額を要求すれば大丈夫、と思われるかもしれません。
しかし、いくら法律や判例についての知識を身につけても専門家でないことには変わりありません。そのため、説得力がないとして主張が受け入れられにくい傾向にあります。
とはいえ、根拠を持って主張すれば、多少の増額なら受け入れてもらえることもあります。
十分に増額とはいかなくても、少し増額してもらえたらそれでいい、という場合には、被害者ご自身で交渉しても満足のいく結果が得られるかもしれません。
示談交渉の一番のテクニックは?
多少の増額では納得できない、十分に増額してもらいたい、という場合には、弁護士に交渉を依頼することが一番の方法となります。
弁護士に依頼するのが一番であるという理由は、以下の通りです。
- 弁護士は専門家であるため、主張を受け入れてもらいやすい
- 知識も経験も豊富であるため保険会社と対等に交渉できる
- 交渉人が被害者自身の場合よりも弁護士の場合の方が、保険会社側の「ここまでなら増額してもいい」という基準が緩い
弁護士は法律の専門家であり、保険会社と同じように示談交渉を仕事の一つとしています。
そのため、主張に説得力があるとみなされやすいですし、任意保険会社と対等に交渉することが可能です。
また、示談交渉の際には保険会社の中で「ここまでなら増額してもいい」という基準が設定されていることがあります。
この基準は、被害者自身が交渉する場合よりも弁護士が交渉する場合の方が緩くなっていることが多いです。
交渉に弁護士が出てきた場合、保険会社は「被害者側の主張もしっかり受け入れていかないと、裁判を起こされてしまうかもしれない」と考えるからです。
まとめ|交通事故の示談交渉の仕方
ここまで、示談交渉の仕方について解説してきました。要点をまとめると、以下のようになります。
ポイント
- 多くの場合、示談交渉の相手は加害者側の任意保険会社
- 示談交渉は電話やFAXで行われる
- 交渉を被害者自身で行う場合、主張は通りにくい
- 加害者側からの提示額を十分に増額させたい場合は、弁護士に交渉を依頼する方が良い
示談交渉を弁護士に依頼するかどうかは、
- 加害者側からの提示額をどの程度増額させたいか
- 交渉のための電話やFAXが繰り返し来ることが嫌か、平気か
といった点から判断することもできます。
費用については弁護士費用特約を使うと実質無料で依頼ができます。
依頼前の法律相談なら無料で受け付けている事務所も多いので、実際に示談交渉を依頼するかどうかにかかわらず、一度話を聞いてみるのもいいかもしれません。
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示談交渉の仕方についてのQ&A
示談はどう始まる?
加害者が任意保険に入っていれば、基本的に示談交渉は加害者側の任意保険会社からの連絡で始まります。加害者が任意保険未加入の場合は、加害者か被害者どちらかが相手に連絡を入れることで示談が始められます。
示談交渉はどこで行われる?
示談交渉は基本的に、電話やFAXで行われます。そのため、どこか同じ場所に集まって話し合うということはあまりありません。一度の電話やFAXで話がまとまることはあまりないので、基本的には示談が成立するまで複数回やり取りをすることになります。
示談交渉は自分でもできる?
示談交渉を被害者ご自身で行うこと自体は可能です。しかし、相手となる任意保険会社は交渉のプロですし、低めの金額を提示してくることが考えられます。また、被害者ご自身の主張は受け入れられにくい傾向にあるため、弁護士に交渉を依頼することもお勧めです。