交通事故の慰謝料相場【任意保険基準】で計算!分かりやすく教えます。
交通事故の慰謝料(=損害賠償)がどのくらいなのか計算するとき、
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 裁判基準・弁護士基準
このような3つの基準のうちのどれかが用いられることになります。
本記事では、「任意保険基準による交通事故の慰謝料」に焦点をあててレポートします。
任意保険基準とは?任意保険の基礎情報
各保険会社が非公開にする基準?
交通事故が発生した時、どのような損害があってその金額はどのくらいなのか、ということを迅速かつ公平に算定することが交通事故の損害賠償問題では求められます。交通事故の損害賠償問題を迅速かつ公平に算定するために、各任意保険会社が独自で基準を設定しています。これが俗にいう「任意保険基準」というものになります。
理想としては、交通事故の被害を一つ一つ丁寧に分析して事情を踏まえたうえで損害を算定できればいいかもしれません。しかし、交通事故の発生数は年々減少しているとはいえ件数としては多いです。一つずつ事情を踏まえて算定していては、解決までに時間がかかるだけでなく、金額のバラつきがでて不公平感がでてしまうことになります。このような危険性を回避するために基準が用いられることになります。
各保険会社ごとに設定される任意保険基準は非公開とされているので、細かな点までを解説することはできません。もっとも、かつて各保険会社が共通で用いていた統一の支払基準というものがあり、今現在もこの旧任意保険支払基準を踏襲している保険会社が多いといわれています。本記事では、任意保険基準を解説する際、この旧統一基準に基づいて解説していきます。
自賠責基準/弁護士・裁判基準との違い
任意保険基準を解説する中で外せないのが、自賠責基準と弁護士・裁判基準についてです。これらと任意保険基準の違いを端的に表すならば、
自賠責基準<任意保険基準<裁判基準・弁護士基準
このような順で慰謝料の金額に違いがあるということです。
損害に対して満足のいく慰謝料を手にするには弁護士・裁判基準による算定を実現する必要があります。そのためにも任意保険基準による算定方法を理解しておくことは、適正な金額を知る上でも大切です。
<関連記事>自賠責基準、弁護士・裁判基準について
ここからは、任意保険基準において交通事故の慰謝料はどのように算定されるのか詳しく解説していきたいと思います。
「傷害」に関する慰謝料|任意保険基準の相場
交通事故で受けた「傷害」に対する慰謝料としては、
- 入院・通院慰謝料
- 休業に対する補償(休業損害)
このような損害項目があげられます。これらの項目を任意保険基準による算定方法で確認していきたいと思います。
任意保険基準による入院・通院慰謝料
入院・通院慰謝料
交通事故で負った怪我は治療によって回復がはかられます。しかし怪我の回復とは裏腹に、
- 痛みをともなう治療を受けることになった
- 面倒な検査がつづいた
- 後遺症が残るのではないかと心配になる
などの精神的苦痛を負うことが考えられます。そこで交通事故の慰謝料請求では、このような精神的苦痛に対する慰謝料の請求が認められています。
入院・通院慰謝料
交通事故で負った怪我を治療する過程で受けた精神的な苦痛に対する補償
早見表で計算
任意保険基準では各保険会社が独自で設定した基準表にもとづいて、入院・通院した日から入院・通院慰謝料が求められます。各保険会社の基準表は非公開ではあるものの、かつて共通で使われていた統一基準を確認することで大体の目安として相場を知ることができます。
具体的な金額についてはこちらの旧任意保険支払基準の表をご覧ください。
ひと月は30日とする
表の見方としては、縦軸を通院、横軸を入院とします。
任意保険基準による休業損害
休業損害
交通事故による怪我の影響で、仕事を休業せざるを得なくなる可能性があります。多くの方は仕事を休んでしまうと収入が断たれたり、収入が減ってしまうことになるでしょう。生活に直結する問題なので、交通事故による損害として補償を請求することが認められています。
休業損害
交通事故の怪我によって休業せざるを得なくなった期間の収入補償
日額は事故前の収入から
任意保険基準では事故前の収入から日額を決めて、実際に休業した日数分を補う形で休業損害が求められます。
任意保険基準
休業損害の計算方法
日額(事故前の収入) × 実休業日数 |
以上の通り、基本の計算式から任意保険基準による休業損害は求めることができます。もっとも、職業に応じて日額の決め方が異なるので確認しておきます。
職業別|日額はどう決まる?
給与所得者▶事故前3ヶ月の収入 ÷ 90日
個人事業主▶事故前年度の確定申告書記載の所得金額 ÷ 365日
家事従事者▶5,700円 または 賃金センサスの女性の平均賃金
任意保険基準による休業損害の算定は、実際の収入に基づいて算定されます。自賠責基準で定められている日額5,700円または19,000円を超える収入の方は、裁判基準・弁護士基準による算定を実現させることが慰謝料総額のポイントになります。
「後遺障害」に関する慰謝料|任意保険基準の相場
交通事故によって負った「後遺障害」に対する慰謝料としては、
- 後遺障害慰謝料
- 将来的な収入減に対する補償(逸失利益)
このような損害項目があげられます。とくに後遺障害慰謝料を算定する際に3つある基準のなかからどの基準を使用するかで金額が変わります。任意保険基準における後遺障害慰謝料について確認していきたいと思います。
任意保険基準による後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料
後遺障害を負うと、将来にわたって痛みやしびれなどの苦痛を感じながら生きていかねばなりません。このような苦しみに対して、慰謝料の請求が認められています。
後遺障害慰謝料
後遺障害を負ったことで受けた精神的苦痛に対する金銭的な補償
1~14級ごとの慰謝料
任意保険基準における後遺障害慰謝料について、1~14級ごとの基準表を紹介します。
任意保険基準
後遺障害等級ごとの慰謝料
慰謝料 (万円) |
|
---|---|
1級 | 1900 |
2級 | 1500 |
3級 | 1250 |
4級 | 950 |
5級 | 750 |
6級 | 600 |
7級 | 500 |
8級 | 400 |
9級 | 300 |
10級 | 200 |
11級 | 150 |
12級 | 100 |
13級 | 60 |
14級 | 40 |
旧任意保険の支払基準をもとに作成しています。現在は各保険会社ごとに基準がもうけられているので参考程度にご確認ください。
後遺障害の重さに応じて、1級~14級までの区分で後遺障害慰謝料の金額が設定されています。
「死亡」に関する慰謝料|任意保険基準の相場
任意保険基準による死亡慰謝料
死亡慰謝料
交通事故にあったことで死亡してしまった場合、死亡慰謝料の請求が認められています。
死亡慰謝料
交通事故を原因として死亡させられたことで受けた精神的苦痛に対する金銭的な補償
属性で変動する慰謝料
任意保険基準における死亡慰謝料は、死亡したご本人の属性に応じて慰謝料の金額が決められています。
任意保険基準
死亡慰謝料
死亡者の属性 | 慰謝料 (万円) |
---|---|
一家の支柱 | 1700 |
18歳未満 かつ 未就労者 |
1400 |
65歳以上 | 1250 |
上記以外 | 1450 |
旧任意保険の支払基準をもとに作成しています。現在は各保険会社ごとに基準がもうけられているので参考程度にご確認ください。
このように、死亡したご本人の属性ごとに慰謝料の金額は異なります。
まとめ
交通事故の慰謝料(=損害賠償)を算定するうえで使われる「任意保険基準」について詳しく解説してきました。
任意保険基準は、
- 各保険会社が非公開で有する基準
- 自賠責基準よりは高く、弁護士基準よりは低くなる可能性がある
などについて知ることができました。
どのような計算方法で算定された慰謝料が妥当なのか知るうえで任意保険基準を理解しておくことは大切です。本記事が慰謝料の算定基準についての理解をより一層深める手助けとなっていれば幸いです。
交通事故の慰謝料相場・任意保険基準のQ&A
「任意保険基準」とはどういったものですか?
交通事故の損害賠償問題を迅速かつ公平に算定するために、各任意保険会社が独自で基準を設定している基準のことです。各保険会社ごとに設定される任意保険基準は非公開とされていますが、かつて各保険会社が共通で用いていた統一の支払基準というものがあり、今現在もこの旧任意保険支払基準を踏襲している保険会社が多いといわれています。
任意保険基準による入院・通院慰謝料相場は?
入院・通院慰謝料とは、交通事故で負った怪我を治療する過程で受けた精神的な苦痛に対する補償をさします。各保険会社が独自で設定した基準表にもとづいて、入院・通院した日から入院・通院慰謝料が求められます。各保険会社の基準表は非公開ではあるものの、かつて共通で使われていた統一基準を確認することで大体の目安として相場を知ることができます。
任意保険基準による休業損害の相場は?
休業損害とは、交通事故の怪我によって休業せざるを得なくなった期間の収入補償をさします。任意保険基準では事故前の収入から日額を決めて、実際に休業した日数分を補う形で休業損害が求められます。職業に応じて日額の決め方が異なります。
任意保険基準による後遺障害慰謝料の相場は?
後遺障害慰謝料とは、後遺障害を負ったことで受けた精神的苦痛に対する金銭的な補償をさします。後遺障害を負うと、将来にわたって痛みやしびれなどの苦痛を感じながら生きていかねばなりません。このような苦しみに対して、慰謝料の請求が認められています。後遺障害の重さに応じて、1級~14級までの区分で後遺障害慰謝料の金額が設定されています。
任意保険基準による死亡慰謝料の相場は?
死亡慰謝料とは、交通事故を原因として死亡させられたことで受けた精神的苦痛に対する金銭的な補償をさします。任意保険基準における死亡慰謝料は、死亡したご本人の属性に応じて慰謝料の金額が決められています。旧任意保険の支払基準によると、一家の支柱:1700万円/18歳未満かつ未就労者:1400万円/65歳以上:1250万円/それ以外:1450万円とされていました。