主婦|交通事故の慰謝料いくらもらった?判例で相場調査!基準の解説
「ほかの人は慰謝料をいくらもらったのか、相場が気になる…」
交通事故の被害にあったらこのような疑問が生じるのは自然だと思います。
しかし、交通事故の経験者もそう周りに多くはいないでしょうし、お金のことを気軽に聞いて回るわけにもいかないと思います。
判例から主婦はどのくらいの慰謝料相場となるか調査できる?
慰謝料は損害賠償を構成する項目の一部?
入通院慰謝料や後遺障害慰謝料は基準ごとに金額が異なる?
交通事故に関する慰謝料などのお金について解説します。
主婦の交通事故慰謝料の相場調査
民事裁判における損害賠償請求事件の判決(判例)から、主婦の方がいくらもらったのか、慰謝料相場を調査していきたいと思います。
主婦の事例①頸椎捻挫の怪我を負った
主婦の方が追突事故によって頸椎捻挫の傷害を負ったという事案を紹介します。
主婦の慰謝料①
<判例の概要> 内縁の夫と同居する専業主婦が追突事故で頸椎捻挫の傷害を負い、背中から肩や首にかけての痛みが残ったため、14級9号の後遺障害に相当すると主張するも認められず、治療費や休業損害が認められた事例 |
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内訳 | 金額 |
治療費 | 70万0710円 |
休業損害 | 71万7268円 |
逸失利益 | 認められない |
入通院慰謝料 | 80万0000円 |
後遺障害慰謝料 | 認められない |
既払い金 | –70万0710円 |
弁護士費用 | 15万0000円 |
合計 | 166万7268円 |
大阪地方裁判所 平成27年(ワ)第11940号 損害賠償請求事件 平成29年1月31日
後遺障害に認定されなかったため、症状固定までの治療費や休業損害、入通院慰謝料などの合計が損害賠償として認められた判例です。
主婦の事例②後遺障害が残った
主婦の方が追突事故の傷害によって後遺障害を負った事案を紹介します。
主婦の慰謝料②
<判例の概要> パン屋の経理やソフトウェア開発の仕事も行っていた主婦が追突事故で怪我を負い、頸肩部痛の神経症状による14級9号の後遺障害に認められ、治療費や休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料などが認められた事例 |
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内訳 | 金額 |
治療費等 | 82万4103円 |
交通費 | 9万1820円 |
休業損害 | 140万0880円 |
逸失利益 | 74万3444円 |
入通院慰謝料 | 110万0000円 |
後遺障害慰謝料 | 110万0000円 |
既払い金 | –195万0000円 |
弁護士費用 | 33万1024円 |
合計 | 364万1271円 |
大阪地方裁判所 平成28年(ワ)第6732号 損害賠償請求反訴事件 平成30年7月10日
家事とともに、経理などとしてパン屋で働く兼業主婦であったため休業損害や逸失利益なども加味されています。
主婦の事例③後遺障害が残った
主婦の方が交通事故の傷害によって後遺障害を負った事案を紹介します。
主婦の慰謝料③
<判例の概要> 専業主婦が交通事故で怪我を負い、12級13号の後遺障害に認められ、治療費や休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料などが認められた事例 |
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内訳 | 金額 |
治療費 | 17万3460円 |
入院雑費 | 3万9000円 |
文書料 | 1万5860円 |
入通院慰謝料 | 99万0000円 |
休業損害 | 74万0832円 |
後遺障害慰謝料 | 280万0000円 |
逸失利益 | 244万2108円 |
過失相殺 | –216万0378円 |
損益相殺 | –244万0914円 |
弁護士費用 | 26万0000円 |
合計 | 285万9968円 |
大阪地方裁判所 平成29年(ワ)第5487号 損害賠償請求事件 平成30年7月17日
後遺障害に認定されたため、症状固定までの治療費や休業損害、入通院慰謝料に加えて、後遺障害慰謝料や逸失利益の合計が損害賠償として認められた判例です。
交通事故慰謝料(=損害賠償)の内訳
慰謝料は損害賠償項目の一つ
ここまで読み進めてこられた方であればお気づきかもしれませんが、交通事故における慰謝料は事故による損害すべてを補償するものではありません。慰謝料は交通事故によって受けた精神的苦痛に対して支払われる補償であり、治療費や休業損害などと同様に慰謝料は損害賠償の一部です。
内容 | |
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入通院慰謝料 | 入通院による精神的苦痛への補償 |
後遺障害慰謝料 | 後遺障害による精神的苦痛への補償 |
死亡慰謝料 | 死亡したことによる精神的苦痛への補償 |
治療費 | 怪我の治療にかかった費用 |
交通費 | 怪我の治療のために通院でかかった費用 |
休業補償 | 怪我で休業した期間の収入補償 |
逸失利益 | 後遺障害で将来的に見込まれる減額した分の収入補償 |
交通事故の損害賠償問題において、事故の相手方やその保険会社から受け取れる金額を把握したいという方は、慰謝料を含む損害賠償全体を確認しておく必要があります。損害賠償の全体を簡単に計算してみたいという方は、こちらの計算機をご利用ください。
必要な項目を入力するだけで、慰謝料を含む損害賠償の大まかな目安を知ることができます。ぜひお試しください。
交通事故慰謝料の相場額
交通事故の慰謝料相場は、3つの算出基準のどれを用いるかで大きく変わってきます。
3つの算出基準
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
3つの算出基準のなかで最も高額な金額で算出できるのは弁護士基準です。ここからは3つの算出基準でどのくらい金額が異なるのか、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料で確認してみたいと思います。
入通院慰謝料の相場額
入通院慰謝料は、入院や通院した治療期間の合計で金額が決まります。参考に1・3・5・7・9ヶ月通院した場合の慰謝料相場をまとめました。
入通院慰謝料の一例
自賠責基準(自賠)/任意保険基準(任意)/弁護士基準(弁護士)
自賠* | 任意 | 弁護士 | ||
---|---|---|---|---|
軽症 | 重症 | |||
1ヶ月 | 12.6 | 12.6 | 19 | 28 |
3ヶ月 | 37.8 | 37.8 | 53 | 73 |
5ヶ月 | 63 | 56.7 | 79 | 105 |
7ヶ月 | 88.2 | 70.6 | 97 | 124 |
9ヶ月 | 113.4 | 81.9 | 109 | 139 |
単位は万円
* 通院日数を月の半分以上で計算。(1ヶ月なら15日以上、3ヶ月なら45日以上の通院です。)
さらに詳しくは関連記事で確認することができますので、あわせてご覧ください。
<関連記事>1ヶ月~9ヶ月までの入通院慰謝料
後遺障害慰謝料の相場額
後遺障害慰謝料は、認定を受けた後遺障害の等級で金額が決まります。症状の程度や重さに応じて1~14までの等級で区分されています。
後遺障害慰謝料の一覧表
自賠責基準(自賠)/任意保険基準(任意)/弁護士基準(弁護士)
自賠 | 任意*² | 弁護士 | |
---|---|---|---|
1級 | 1600*¹ | 1900 | 2800 |
1100 | |||
2級 | 1163*¹ | 1500 | 2370 |
958 | |||
3級 | 829 | 1250 | 1990 |
4級 | 712 | 950 | 1670 |
5級 | 599 | 750 | 1400 |
6級 | 498 | 600 | 1180 |
7級 | 409 | 500 | 1000 |
8級 | 324 | 400 | 830 |
9級 | 245 | 300 | 690 |
10級 | 187 | 200 | 550 |
11級 | 135 | 150 | 420 |
12級 | 93 | 100 | 290 |
13級 | 57 | 60 | 180 |
14級 | 32 | 40 | 110 |
単位は万円
*¹ 介護を要する場合
*² 旧任意保険の支払基準
さらに詳しくは関連記事で確認することができますので、あわせてご覧ください。
<関連記事>等級ごとの後遺障害慰謝料について
まとめ
主婦の方の事例を調査し、交通事故慰謝料の相場がどのくらいなのか見てきました。相場の感覚はつかめたでしょうか。
実は慰謝料の相場といっても、交通事故の慰謝料は被害を受けた方の個別の状況を丁寧に反映することで損害賠償額を算定することが可能になります。慰謝料計算機を使うことで大まかな金額を知ることはできますが、お一人ずつにあった金額を知るには、交通事故を専門的にあつかう弁護士にお問い合わせいただくことをおすすめします。
また、弁護士が保険会社との示談交渉に介入すれば慰謝料の増額を見込むことができます。交通事故にあってお金に関してお困りの場合は、交通事故の解決実績が豊富な弁護士に相談するようにしましょう。
主婦|交通事故の慰謝料Q&A
交通事故慰謝料(=損害賠償)の内訳は?
主に慰謝料(入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料)、治療費、交通費、休業補償、逸失利益などが損害項目としてあげられます。慰謝料とは交通事故によって受けた精神的苦痛に対して支払われる補償です。したがって慰謝料は交通事故の損害賠償の一部であるといえます。
主婦の入通院慰謝料の相場額は?
入通院慰謝料は、入院や通院した治療期間の合計で金額が決まります。また、算定に用いる基準によっても金額が変わってきます。たとえば通院1ヶ月の場合の入通院慰謝料は、自賠責基準・任意保険基準で12.6万円/弁護士基準で28万円(重症)、となっています。
主婦の後遺障害慰謝料の相場額は?
後遺障害慰謝料は、認定を受けた後遺障害の等級で金額が決まります。また、算定に用いる基準によっても金額が変わってきます。たとえば後遺障害14級の場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で32万円/任意保険基準で40万円/弁護士基準で110万円、となっています。