サラリーマン|交通事故慰謝料はいくらもらった?相場はどのくらい?
「サラリーマンだと交通事故による慰謝料はいくらもらったのか…」
交通事故の示談交渉で支払われる金額相場がどのくらいなのか気になっても、誰に聞いたらいいのか分からないとお困りではないでしょうか。知り合いで事故にあった人をご存知だとしても、お金のことは人に聞きづらいかもしれません。
サラリーマンの慰謝料相場に関しては判例を調べる?
慰謝料は損害賠償項目の一つ?
入通院慰謝料・後遺障害慰謝料は3基準ごとで金額に大きな差がある?
サラリーマンのケースにおける交通事故慰謝料に関する疑問を徹底解説します。
サラリーマンの交通事故慰謝料の相場調査
民事裁判における損害賠償請求事件の判決(判例)から、サラリーマンの方がいくらもらったのか、慰謝料相場を調査しました。
サラリーマンの事例①後遺障害14級9号
事故当時、派遣社員として勤務していた方が原付自転車と衝突し、後遺障害を負った事例を紹介します。
サラリーマンの慰謝料①
<判例の概要> 歩行者が対面の原付自転車と衝突し、頸部痛・左肩痛といった後遺障害14級が残る怪我を負い、後遺障害慰謝料などの損害賠償が認められた事案 |
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内訳 | 金額 |
治療費 | 57万7496円 |
入院雑費 | 1500円 |
交通費 | 3万5265円 |
休業損害 | 76万5000円 |
逸失利益 | 38万9646円 |
入通院慰謝料 | 90万0000円 |
後遺障害慰謝料 | 110万0000円 |
小計 | 376万8907円 |
既払い金 | –226万2259円 |
弁護士費用 | 15万0000円 |
合計 | 165万6648円 |
大阪地方裁判所 平成27年(ワ)第9412号 損害賠償請求事件 平成30年7月31日
症状固定までの治療費・入通院慰謝料、後遺障害に認定されたことによる後遺障害慰謝料や逸失利益などの合計が損害賠償として認められた判例です。もっとも休業損害に関しては、就業の状況から休業の割合を60%とするのが相当だとして算定されているのがポイントです。
サラリーマンの事例②後遺障害併合11級
自転車に乗るサラリーマンの方が自転車と衝突し、左手関節と右中指の可動域制限の後遺障害を負った事例を紹介します。
サラリーマンの慰謝料②
<判例の概要> 自転車で走行していたサラリーマンの方が自転車と衝突して手首骨折(橈骨尺骨遠位端骨折)などの傷害を負ったことで後遺障害併合11級が認められ、後遺障害慰謝料などの損害賠償が認められた事案 |
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内訳 | 金額 |
治療費 | 59万0587円 |
入院雑費 | 3万9000円 |
交通費 | 5万1700円 |
休業損害 | 88万7797円 |
逸失利益 | 2063万6786円 |
入通院慰謝料 | 150万0000円 |
後遺障害慰謝料 | 400万0000円 |
小計 | 2770万5870円 |
過失相殺 | –1108万2348円 |
弁護士費用 | 160万0000円 |
合計 | 1822万3522円 |
大阪地方裁判所 平成28年(ワ)第8975号 損害賠償請求事件 平成30年11月16日
症状固定までの治療費・入通院慰謝料、後遺障害に認定されたことによる後遺障害慰謝料や逸失利益などの合計が損害賠償として認められた判例です。もっとも4割の過失割合が認められて、損害賠償額から減額されています。
サラリーマンの事例③後遺障害併合8級
サラリーマンの方が自動車で走行中、対向車両と正面衝突し、併合8級の後遺障害を負った事例を紹介します。
サラリーマンの慰謝料③
<判例の概要> 自動車が対向車両と正面衝突し、右股関節脱臼骨折、右膝後十字靱帯断裂といった後遺障害併合8級が残る怪我を負い、後遺障害慰謝料などの損害賠償が認められた事案 |
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内訳 | 金額 |
治療費等 | 847万2295円 |
将来の治療費 | 認められない |
装具費等 | 認められない |
診断書作成費 | 3150円 |
交通費 | 5万9436円 |
休業損害 | 470万1370円 |
付添看護費 | 認められない |
入院雑費 | 18万4400円 |
入通院慰謝料 | 260万0000円 |
後遺障害慰謝料 | 830万0000円 |
逸失利益 | 3872万8001円 |
小計 | 6304万8652円 |
保険給付金等の控除 | –2036万2409円 |
弁護士費用 | 250万0000円 |
合計 | 4518万6243円 |
名古屋地方裁判所 平成21年(ワ)第4857号 損害賠償請求事件 平成23年8月19日
症状固定までの治療費・入通院慰謝料、後遺障害に認定されたことによる後遺障害慰謝料や逸失利益などの合計が損害賠償として認められた判例です。後遺障害の認定に関して争いがあり、セカンドオピニオンを経て後遺障害が認められたようです。
交通事故慰謝料(=損害賠償)の内訳
損害賠償項目の一つが慰謝料
先述した判例を見てお気づきの方もいるかもしれませんが、交通事故の慰謝料は事故で受けた損害のすべてを補償するものではありません。損害賠償は治療費・休業損害などいくつかの損害賠償項目で構成されているのですが、慰謝料も同じように損害賠償項目のうちの一つです。慰謝料は、交通事故で受けた精神的苦痛への補償として支払われる損害賠償です。
交通事故の損害賠償
内訳の解説
内容 | |
---|---|
入通院慰謝料 | 入通院で受けた精神的苦痛への補償 |
後遺障害慰謝料 | 後遺障害で受けた精神的苦痛への補償 |
死亡慰謝料 | 死亡したことで受けた精神的苦痛への補償 |
治療費 | 怪我の治療費用 |
交通費 | 怪我の治療で通院にかかった交通費 |
休業補償 | 怪我で休業した期間の収入補償 |
逸失利益 | 後遺障害で将来的に見込まれる減額した分の収入補償 |
交通事故の損害賠償問題を解決するにあたって、事故の相手方(相手方が加入する保険会社)から示談金が提示されることになります。あらかじめ慰謝料などの金額を把握しておきたいという方は、損害賠償全体について認識しておくべきだと思います。損害賠償をすばやく自動計算してくれる計算機を用意しました。
年齢・治療期間・後遺障害等級などの項目を入力するだけで、損害賠償の金額が表示されます。気軽にお試しください。
入通院慰謝料/後遺障害慰謝料の相場解説
交通事故の慰謝料は算出基準を使って金額を決定するのですが、3つある基準のなかから一つが選ばれます。どの基準を用いて算定するかで相場は大きく異なります。
3つの算出基準
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
3つの算出基準のうち最も高い金額になるのは弁護士基準による算出です。それでは、3つの算出基準は各々どのくらい金額に差が出るのか、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料で確認してみたいと思います。
入通院慰謝料の相場紹介
入通院慰謝料は、怪我の治療のために入通院した治療期間の合計で金額が決まります。1ヶ月・3ヶ月・5ヶ月・7ヶ月・9ヶ月の通院で想定される慰謝料相場を以下の表でまとめています。参考にご覧ください。
入通院慰謝料の一例
自賠責基準(自賠)/任意保険基準(任意)/弁護士基準(弁護士)
自賠* | 任意 | 弁護士 | ||
---|---|---|---|---|
軽症 | 重症 | |||
1ヶ月 | 12.6 | 12.6 | 19 | 28 |
3ヶ月 | 37.8 | 37.8 | 53 | 73 |
5ヶ月 | 63 | 56.7 | 79 | 105 |
7ヶ月 | 88.2 | 70.6 | 97 | 124 |
9ヶ月 | 113.4 | 81.9 | 109 | 139 |
単位は万円
* 通院日数を月の半分以上で計算。(1ヶ月なら15日以上、3ヶ月なら45日以上の通院です。)
関連記事では1ヶ月~9ヶ月の通院で予想される慰謝料についてさらに細かく解説しています。あわせてご覧ください。
<関連記事>1ヶ月~9ヶ月までの入通院慰謝料
後遺障害慰謝料の相場紹介
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級ごとに金額が決まります。症状の程度や重さに応じて1~14までの等級で区分されています。等級ごとに予想される慰謝料相場を以下の表でまとめています。参考にご覧ください。
後遺障害慰謝料の一覧表
自賠責基準(自賠)/任意保険基準(任意)/弁護士基準(弁護士)
自賠 | 任意*² | 弁護士 | |
---|---|---|---|
1級 | 1600*¹ | 1900 | 2800 |
1100 | |||
2級 | 1163*¹ | 1500 | 2370 |
958 | |||
3級 | 829 | 1250 | 1990 |
4級 | 712 | 950 | 1670 |
5級 | 599 | 750 | 1400 |
6級 | 498 | 600 | 1180 |
7級 | 409 | 500 | 1000 |
8級 | 324 | 400 | 830 |
9級 | 245 | 300 | 690 |
10級 | 187 | 200 | 550 |
11級 | 135 | 150 | 420 |
12級 | 93 | 100 | 290 |
13級 | 57 | 60 | 180 |
14級 | 32 | 40 | 110 |
単位は万円
*¹ 介護を要する場合
*² 旧任意保険の支払基準
関連記事では後遺障害慰謝料に関してさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
<関連記事>等級ごとの後遺障害慰謝料について
まとめ
交通事故に巻き込まれたサラリーマンに対して支払われる慰謝料がどのくらいか、判例などを通して調査してきました。相場の感覚はお分かりいただけたでしょうか。
判例などで相場を調べて情報として持っておくことは大切ですが、目安として捉えるようにしてください。損害賠償の算定では、被害にあわれた方の個別の事情を丁寧に反映することで、お一人お一人にあった損害額を算定することができます。逆をいうと、事例をいくら見てもあなたにピッタリの金額が見つかるとは言えません。お悩みの状況に見合った詳しい金額を知りたいという方は、交通事故を専門的にあつかう経験豊富な弁護士に問い合わせてみましょう。
サラリーマン|交通事故の慰謝料Q&A
損害賠償項目の一つに慰謝料がある?
慰謝料は損害賠償項目の一つです。慰謝料とは、交通事故で受けた精神的苦痛への補償として支払われる損害賠償です。損害賠償の内訳には、慰謝料(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)・治療費・交通費・休業補償・逸失利益などの項目が主にあげられます。
サラリーマンの入通院慰謝料の相場は?
入通院慰謝料は、入院や通院した治療期間の合計で金額が決まります。また、算定に用いる基準によっても金額が変わってきます。たとえば通院9ヶ月の場合の入通院慰謝料は、自賠責基準で113.4万円/任意保険基準で81.9万円/弁護士基準で139万円(重症)、となっています。
サラリーマンの後遺障害慰謝料の相場は?
後遺障害慰謝料は、認定を受けた後遺障害の等級で金額が決まります。また、算定に用いる基準によっても金額が変わってきます。たとえば後遺障害10級の場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で187万円/任意保険基準で200万円/弁護士基準で550万円、となっています。