交通事故慰謝料|通院1ヶ月|妥当な金額とは?納得の慰謝料獲得を!
1ヶ月通院治療をした…。ご自身の生活との両立で大変な苦労をされたこととお察しします。
この記事では、交通事故の慰謝料について1ヶ月通院した場合を徹底解説します。
通院したことへの慰謝料は「通院慰謝料」といいます。
交通事故の被害にあい、怪我の治療のために通院したという精神的苦痛に対して支払われるものです。
詳しい計算方法はもちろん、手早く慰謝料の目安を知りたい方には「早見表」の利用がおすすめです。
後半には忘れがちな慰謝料以外の損害賠償も紹介していますので、最後まで目を通してくださいね。
交通事故の通院慰謝料は通院期間と通院日数で決まる
通院慰謝料は、怪我の通院や治療で負った精神的苦痛に対して支払われます。
しかし、「精神的苦痛」というのはなかなか計測しづらいですよね…。
そこで交通事故の損害賠償では、通院慰謝料に関しては精神的苦痛を強いられた長さをものさしにして、慰謝料の金額を決めているんです。
POINT
通院慰謝料の金額は、精神的苦痛を感じた長さが重要
そしてもう一つ。
損害賠償で大事なことは、誰が慰謝料の金額を算定するのかで算定方法が変わってしまうことです。
慰謝料算定には3つの基準があり、
- ① 自賠責保険の基準
- ② 任意保険の基準
- ③ 弁護士基準
と呼ばれています。
「〇〇基準」の「〇〇」が慰謝料を算定する人だと思うとイメージしやすいでしょう。
通院慰謝料を計算する3つの方法
順番に3つの慰謝料計算基準をチェックしていきます。
①自賠責保険の基準
自賠責保険の基準は、相手方が加入する自賠責保険会社が慰謝料を算定する時に使う基準です。
ちなみに、自賠責保険というのは自動車の運転者に加入義務がある保険です。
色んな自動車保険会社が「自賠責保険」を取り扱っていますが、どの保険会社でも算定ルールは同じです。
A保険会社の自賠責保険の方が、B保険会社の自賠責保険よりも、被害者は多くの慰謝料をもらえる!などという違いはないのです。
自賠責保険の大きな目的として、自動車事故の被害者救済があります。
社会のセーフティーネットのような役割をしているので、最低限の補償をしています。
交通事故の相手方が自動車の場合は、事故の相手方が加入している自賠責保険の保険金を慰謝料などとの損害賠償金として受けとっているのです。
つまり、慰謝料などの交渉は相手方の保険会社と行うことが一般的です。加害者本人とやり取り…ということはほぼないでしょう。
自賠責保険の基準で通院慰謝料を求める場合、以下の計算式になります。
自賠責保険での算定
入院日数 × 4,200円 + 通院期間(実治療日数 × 2)* × 4,200円
あるいは
入院日数 × 4,200円 + 通院期間 × 4,200円*
※通院期間は短い方を採用
日額は4,200円となり、通院にかかった長さを掛け算します。
通院にかかった長さは2つを比べて少ない方を採用します。
(1)実際に通院した日数の2倍
(2)通院期間(通院開始~治療終了まで)
例えば、通院期間が1ヶ月だとします。
そのうち実際に病院に行ったのは16日間だとしましょう。
16日✖2=32(日)となり、1ヶ月(30日)よりも長くなります。
計算には「短い方」を使いますので、4,200円✖30(日)=126,000円と計算します。
入院分はそのまま日数を掛け算しますので、入院3日であれば12,600円が上乗せされます。
②任意保険の基準
任意保険の基準は、相手方が加入している任意保険会社が慰謝料を算定する時の基準です。
任意保険会社はその名前の通り任意加入ですので、加害者によっては加入していないことも有り得ます。
「任意保険って何のためにあるの?」
それは、自賠責保険だけでは被害者への損害賠償を支払いきれない場合があるからです!
自賠責保険では、傷害部分の保険金が「120万円まで」となっています。
慰謝料だけでなく、治療費や通院交通費などを含んで120万円であることは覚えておきましょう!
任意保険は「上乗せ保険」とか「上積み保険」と呼ばれているのですが、それは自賠責保険の補償で足りない部分をカバーする目的があるからです。
任意保険の基準はどのように算定する?計算式がある…?
↓
以前は、任意保険の補償内容は統一され、算定基準も明確にされていました。
しかし現在は内容は非公開となり、任意保険会社によって異なる金額設定になっています。
ですから、こうやって求める!という答えがないのが現状です。
過去に公表されていた保険基準は次章で掲載していますので、気になる方は続けてお読みください。
③弁護士基準
弁護士基準は、被害者からの依頼を受けた弁護士が、相手方と交渉する時に使う基準です。
自賠責保険の基準は慰謝料を日額で算定していましたが、弁護士基準は少し違います。
弁護士基準で重要なのは、通院期間です。
期間を通してどんな治療を行ったか、どんな経過をたどったのかに注目しているのです。
極端な話をすると、打撲で通院した人と骨折で通院した人だと、精神的苦痛って違うと思いませんか?
生活の不自由さも、骨折している人の方が、負担は大きいものになるのが一般的でしょう。
ですが、自賠責保険では、打撲でも骨折でも「4,200円」と慰謝料の金額は同じになっています。
弁護士が算定する時には、
- 軽傷(打撲、捻挫、擦り傷、むちうち)
- 重傷
の2つを使い分けることも、弁護士基準の特徴と言えるでしょう。
弁護士基準での算定表は次章で掲載しますので、併せてご覧ください。
通院1ヶ月の慰謝料がまるわかり!
通院1ヶ月・入院なしの慰謝料早見表
入院はなく、1ヶ月通院した場合の通院慰謝料をみていきましょう。
なお、任意保険の基準については現在非公開のため、詳細は割愛します。
おおよそ、自賠責保険の基準と同額か少し上回る程度になると考えてください!
実際の通院日数 | 自賠責保険の基準 | 弁護士基準(軽傷) | 弁護士基準(重傷) |
---|---|---|---|
5日 | 42,000円 | 190,000円 (注意) |
280,000円 (注意) |
10日 | 84,000円 | 190,000円 | 280,000円 |
15日 | 126,000円 | 190,000円 | 280,000円 |
20日 | 126,000円 | 190,000円 | 280,000円 |
25日 | 126,000円 | 190,000円 | 280,000円 |
自賠責保険の基準について
自賠責保険の基準からみてみましょう。
自賠責保険の基準では、日額が4,200円となります。
そして、<通院期間(30日)>と<通院した日数の2倍>を比べて、少ない方を計算に使います。
通院日数が15日の時、15日✖2=30日となり、通院期間と同じになりますね。
通院日数15日を境に、慰謝料は最大額になります。
たとえば、通院日数16日を例にしましょう。
16日を2倍すると32日になります。
通院期間30日の方が短いので、4,200円✖30(日)=126,000円となるわけです。
通院日数17日以降も同様に、「通院期間30日」の方が少なくなるので、計算式に使うのは「30」と変わりません。
ですから通院慰謝料も変わりません。
弁護士基準について
弁護士基準では、30日という通院期間に対する慰謝料ですので、金額は原則同じです。
しかし、通院期間に対して通院日数が極端に少ないと、慰謝料が減額される可能性もあります。
おおむね、通院が長期化した時に減額されるので、通院1ヶ月で減額されるとは限りませんが、適切な通院頻度とは言い難いかもしれません。
怪我の治りにも影響しますので、医師と相談しながら、適切な通院頻度を守っていきましょう。
入院「あり」の場合の慰謝料早見表
通院30日の前に、入院をしているケースもありますよね。
入院を1ヶ月している場合は、このようになります。
入院1ヶ月 +実通院日数 |
自賠責 | 弁護士 (軽傷) |
弁護士 (重傷) |
---|---|---|---|
入院1ヶ月+5日 | 168,000円 | 520,000円 (注意) |
770,000円 (注意) |
入院1ヶ月+10日 | 210,000円 | 520,000円 | 770,000円 |
入院1ヶ月 +15日以降 |
252,000円 | 520,000円 | 770,000円 |
入院1ヶ月だと、このような金額が相場と言えます。
弁護士基準では、入院の有無にかかわらず通院日数の少なさは要注意ですね。
入院が1ヶ月を超える場合など、詳細は以下の表からご覧いただけます。
任意保険の基準
こちらは以前公開されていた旧基準となります。
参考程度にご覧ください。
弁護士基準
弁護士基準は次のように2つの表を使い分けます。
むちうち、擦り傷、打撲、うちみ、捻挫の方は「軽傷」をご覧ください。
▼軽傷
▼重傷
請求し忘れに注意!慰謝料以外の補償
1ヶ月通院したことの「通院慰謝料」以外にも、受けとれるお金があります。
ここでは通院に関する2つのお金に注目して紹介します!
通院のために会社を休んだ
- 通院治療のために会社を休んだ「給与所得者」
- 通院治療のためにお店を休んだ「自営業者」
- 通院治療のために家事がいつものようにできていない「主婦」
↓
皆さん休業への補償(休業補償・休業損害)の対象です!
休業への補償(休業補償・休業損害)も、相手方に1日単位で請求可能です。
自賠責保険の基準では1日あたり5,700円となります。
弁護士に依頼をすると、交通事故にあう前の実際の収入を元に交渉するので、もっと高くなることもあるそうです。
休業損害について気になる方は、下記の記事も参考にしてください!
▼関連記事:休業損害(休業補償)
通院の交通費がかかった
歩いて病院に通えなかったり、そもそも徒歩圏内に病院がないという人もいるでしょう。
公共交通機関(電車・バス)を使ったり、やむをえずタクシーを使った場合の交通費も、相手方に損害賠償を請求すべきです。
公共交通機関の場合は、基本的には領収書は必要ありません。
タクシーの時は、相手に請求する際の根拠として領収書を使いますので、保管しておきましょう。
慰謝料のシミュレーションは慰謝料計算機にお任せ
使わないと損!慰謝料計算機が便利です
示談内容は、相手方(加害者側)から提示を受けてスタートすることが一般的です。
送られてくる内容について、
- これは低すぎる?
- この金額で妥当なの?
実際のところ、被害者自身で判断することは難しいですよね。
そこで、交通事故の被害者の強い味方になるのが「慰謝料計算機」です。
入通院慰謝料、後遺障害慰謝料はもちろん、休業への補償もすぐわかります。
計算結果は、弁護士基準に基づいています。
提示内容は、自賠責保険の基準か任意保険の基準で算定されていることが多いです。
見比べることで、まだどれだけの増額の余地があるのかの検討がつけられそうです。
ここで注意したいのは、もし相当な金額差がついていたとしても、相手の保険会社の担当者に対して感情的になるのはマイナスです。
まずは提示金額の理由を尋ねてみたり、疑問を持った費目について確認をとってみるといいでしょう。
保険会社の方も人間です。大きな声を上げたり、強い言葉で非難をしては、うまくコミュニケーションできなくなります。
もし交渉に自信がなかったり、あまりにも大きな差額で提示されているなら、弁護士に相談してみるのも良いでしょう。
まとめ
まだ通院中の方、通院を終えて示談をしようという方、色々な方がいらっしゃると思います。
通院慰謝料については算定方法が複数あり、算定方法次第で結果も大きく変わってしまいます。
慰謝料計算のからくりを分かっておけば、恐れることはありません!
適正な慰謝料獲得の一助になりましたら幸いです。
通院1ヶ月の交通事故慰謝料についてのQ&A
通院慰謝料の3つの基準とは何ですか?
交通事故の通院慰謝料の金額は、3つの計算方法があるということです。① 自賠責保険の基準、② 任意保険の基準、③ 弁護士基準です。① 自賠責保険の基準とは、相手方の自賠責保険会社に損害賠償を求める時の基準です。② 任意保険基準は相手方の任意保険会社が損害賠償を算定する時の基準です。③ 弁護士基準は、被害者の依頼を受けた弁護士が相手方と交渉する時に使う基準です。弁護士基準は、もっとも慰謝料の相場が高くなります。
通院1ヶ月の慰謝料はいくら?
自賠責保険の基準では、日額4200円で計算します。通院日数が10日だと84000円、20日だと126000円ほどになるでしょう。弁護士基準は怪我の内容しだいで異なり、<軽傷:190000円、重傷:280000円>となります。任意保険基準は、保険会社によって異なり詳細は非公開とされています。原則、任意保険基準は自賠責保険の基準よりも少し高く、弁護士基準で算定した金額より低いとされています。
慰謝料以外に請求できるお金はあるの?
たとえば、治療のために仕事を休んだことへの「休業損害」、通院治療のための「交通費」などがあげられます。これらは慰謝料とは別に計算すべきお金です。休業損害については、主婦も請求が認められます。また、通院交通費については、タクシー利用時は領収書が必要です。相手方に請求する時に必要なので、保管しておきましょう。