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計算機も!自営業・個人事業主の交通事故慰謝料|休業損害の解説も

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計算機も!自営業・個人事業主の交通事故慰謝料|休業損害の解説も

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交通事故に遭い、けがが回復してくると、どれくらいの慰謝料や賠償金を受け取れるのかが気になりますよね。

特に自営業・個人事業主の方の場合は、

  • 確定申告で正しい収入を申告していなかったので休業損害が心配
  • 事故のせいで廃業になったが損害賠償できる?
  • 加害者側から提示された休業損害の、1日当たりの金額に納得できない

というお悩みが多いようです。

それを踏まえてこの記事では、自営業・個人事業主の方へ向けて、

  • 慰謝料計算機のご案内
  • 休業損害に関する疑問へのお答え

をしています。

まずは計算機で慰謝料相場を確認!

交通事故の慰謝料・賠償金の内訳は?

交通事故に遭った場合に加害者側に請求できる慰謝料・ 賠償金の内訳は以下の通りです。

交通事故示談金の内訳

死亡事故の場合は、死亡慰謝料、死亡逸失利益を請求できます。それぞれが何に対する補償なのかをご紹介します。

交通事故の賠償金
入通院慰謝料 交通事故でけがをしたことで痛みや苦しみを感じたり、入通院によって時間や自由が奪われて不自由さを感じたり不利益をこうむったりしたことに対する補償。
後遺障害慰謝料 後遺症が残ったことで今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償
死亡慰謝料 交通事故で死亡した被害者やその家族の精神的苦痛に対する補償
治療関係費 治療費、入院費、看護費など
逸失利益 後遺障害が残らなければ得られるはずだった将来の収入に対する補償(後遺障害逸失利益)。もしくは交通事故によって死亡しなければ得られるはずだった将来の収入に対する補償(死亡逸失利益)。
休業損害 交通事故による入通院で休業した間の収入に対する補償

特に自営業・個人事業主の方は、ご自身が休業なさると収入や事業への影響が非常に大きいと思います。また、休業損害の計算方法自体も、サラリーマンの方の場合とは異なるため、疑問に思う部分もあるかと思います。

こうした休業に関する損害については、次の章で解説しておりますので、ご確認ください。

休業損害も確認できる!計算機はこちら

交通事故による慰謝料・賠償金の内訳が分かったところで、これらの相場額を簡単に確認できる計算機をご紹介します。

事故前の年収については、確定申告で申請している金額を入力してください。

実際の年収と申告している年収が違う場合、交渉次第では実際の年収に近い金額を適用できる可能性もあります。

しかし必ずしも実際の年収が適用されるとは限りませんので、申告している金額の方を入力していただく方が、相場を知るという意味では良いかと思われます。

また、後遺障害等級については、後遺症が残っていない場合は「無等級」のままで構いません。

これから等級認定の申請をされる方、審査の結果待ちの方でも、後遺症の症状から等級を予想することはできます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

交通事故慰謝料のここに注意

慰謝料計算機で算出される金額については、

  • 加害者側から提示される金額よりも高額である
  • 細かい増額事由や減額事由には対応していない

という点にご注意ください。

ご紹介した計算機で算出されるのは、示談交渉で被害者側の弁護士が提示する金額です。これは過去の判例に基づいた金額となっています。

それに対して加害者側保険会社が提示する金額は、各社の基準にのっとって算出されたもので、この計算機で算出される金額よりも低いということにご注意ください。

この計算機での算出額に近い金額を得られるか、加害者側から提示された金額に近い金額を得ることになるかは、示談交渉次第となります。

また、計算機での計算は機械的なものですので、細かい事情に即した正確な金額を算出することは難しいということをご了承ください。

自営業・個人事業主の方の場合は、

  • 事故をきっかけに廃業した場合の補償
  • 休業中に誰かに代打を頼んだ場合の費用の補償

等は計算機で計算することができません。(これらの事例は次の章でご紹介しています。)

自営業者の慰謝料の疑問

所得を正しく申告していなかった…どうすれば?

①実際の年収よりも低く申告している場合

自営業・個人事業主の方の場合、確定申告の際に年収を実際よりも低く申告されている方もいらっしゃいます。

交通事故の休業損害を計算する場合、基本的には「申告している年収」を用いて計算します。そのため、年収を実際よりも低く申告している場合は、その分休業損害も低くなってしまします。

示談の際に年収の証拠となるものを提示すれば、実際の年収に近い金額で計算するよう交渉することもできます。

ただしこれがどこまで認められるかは定かではありませんし、弁護士を雇わず被害者ご自身で交渉する場合はなおさら、認められにくいと思われます。

②そもそも所得を申告していない場合

職人の方で一人親方の場合などは、そもそも所得を申告していないという方もいらっしゃいます。

この場合は、所得を証明できるもの(明細書や仕入れの伝票など)を集め、実際にいくらの年収があったのかを証明する必要があります。

しかしこれも、どこまで認められるかは交渉次第ですので、実際の年収よりも低い年収で休業損害を計算されてしまう可能性は高いです。

「1日当たりの収入=年収÷365日」は仕方ないの?

交通事故の休業損害は、「1日当たりの収入×休業日数」で計算されます。

加害者側の保険会社が自営業・個人事業主の方の休業損害を計算する場合、1日あたりの収入は「年収÷365日」と計算します。

当然、

「365日全て働いているわけではないのに365日で割るなんて納得できない!」

「それだと実際の損害額よりも休業損害が低くなる!」

と不満に思う方も多いです。

弁護士が計算する場合は、1日当たりの収入は「年収÷実労働日数」で計算されます。この方が納得できますよね。

そのため、加害者側の計算方法に納得できない場合は、弁護士を立てて示談交渉を行うことをお勧めします。

勿論被害者ご自身で交渉することも可能ですが、主張を通すハードルは非常に高くなります。

1日当たりの収入の計算
計算者 計算方法
加害者側保険会社 年収÷365
弁護士 年収÷実労働日数

事故をきっかけに廃業した場合の補償は?

交通事故に遭うと、そのけがのためにそれまでの仕事ができなくなったり、ブランクができたために経営状態が悪化したりして、廃業せざるを得なくなる場合があります。

そのような場合には、損害賠償を請求することができます。実際の事例をご紹介します。

事故後廃業した美容院経営者(女・50歳)につき、事故に遭わなければ美容院の経営を継続していたことが推認されるとして、事故から約2年前の開業時に支出した費用564万円余の約5割を認めた(高松高判平13.3.23 自保ジ1404・1)

休業中に取引先に契約を切られたら?

交通事故による休業が取引先にも影響し、契約を切られてしまうことも考えられます。

そうした場合も、それが交通事故による損害であると認められれば、加害者側に賠償請求ができます。

実際の事例をご紹介します。

自車によるメール運行業(男・事故時61歳)につき、受傷や事故による車両の損傷によって業務を直ちに再開することができなくなり、業務委託先との業務委託契約を解約されたとして、治癒した後新たな業務委託契約を締結するまでの期間を含めた112に日間について、70万4424円を認めた(横浜地判平29.6.9 自保ジ2006・107)

休業中に代わりを頼んだ費用は請求できる?

交通事故によるけがでしばらく働けなくなってしまったので、その間、事業は他の人に任せるという場合もあるかと思います。

そうなると、代わりを務めてくれる人に対する人件費がかかってきますが、その費用も加害者側に請求することができます。

実際の事例をご紹介します。

新聞販売店経営(男・38歳)につき、事故のため新聞配達を行えなかった期間、代行の新聞配達要員に支払った派遣料を認めた(大阪地判平11.8.31 交民32・4・1322)

一人で開業している歯科医師(女・39歳、事故当時の年収1049万円余)につき、一人で全患者に対する診療行為を行うことができなくなった場合に、一部代診を依頼した医師に対する38日分の給与335万円余を認めた(横浜地判平15.3.7 自保ジ1494・21)

自営業者の交通事故慰謝料まとめ

ここまで、慰謝料計算機をご紹介し、自営業・個人事業主の方の交通事故慰謝料・賠償金について解説してきました。

ポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 慰謝料計算機で計算できるのは被害者側弁護士が提示する金額
  • 確定申告で年収を低めに申告している場合、休業損害は低くなる
  • 加害者側が休業損害を計算する場合、1日当たりの収入は実際の金額よりも低くなる
  • 廃業による損害、休業による取引先との契約解除、休業中の代替労働力の人件費は、請求できる場合がある

ご紹介した計算機ではカバーしきれない増額事由などは、実際の賠償請求の際にも交渉次第となることが多いです。

どれくらいの金額を請求できるのかだけではなく、どのような損害に対する賠償を請求できるのかもしっかりと確認して、示談交渉に臨むことをお勧めします。

自営業者の交通事故慰謝料についてのQ&A

所得を正しく申告していなかったらどうする?

休業損害の計算では事故前の収入を用いますが、これをきちんと申告していなかった場合は、正確な収入を用いれない可能性が高いです。実際の収入よりも低めに確定申告していた場合やそもそも確定申告をしていなかった場合は、実際の収入よりも低い収入が計算に使われてしまう可能性があります。

所得を正しく申告していなかった…どうすれば?

事故をきっかけに廃業してしまったら?

交通事故に遭った後廃業してしまった場合、事故に遭わなければ廃業せずに済んだ可能性が認められれば、廃業による損害を加害者側に請求できます。実際に、交通事故を原因として廃業し、開業時にかかった費用を加害者側に請求した事例があります。

事故をきっかけに廃業した場合の補償は?

休業中にかかった費用は請求できる?

休業中にかかった費用は、加害者側に請求できます。たとえば、休業している間誰かに代わりを頼んでいたとすれば、その人件費を加害者側に請求できるのです。実際、休業中に仕事を代わってもらった相手の給与を加害者側に請求した事例があります。

休業中に代わりを頼んだ費用は請求できる?

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