【学生】交通事故の死亡慰謝料|相場2000~2500万は本当か?
学生が交通事故で死亡した場合、死亡慰謝料をはじめとした損害賠償を事故の相手方に請求することができます。
死亡慰謝料は死亡した学生本人に対する補償?
死亡慰謝料の算定基準で金額が変動する?
学生の死亡慰謝料は親のみが相続する?
交通事故の被害で請求することができる損害項目のうち、本記事は「死亡慰謝料」をピックアップして解説していきます。
学生が交通事故で死亡。慰謝料は請求可能?
死亡慰謝料の意味|学生本人分と遺族分
死亡慰謝料の意味
交通事故で死亡したという精神的な苦痛に対する補償
交通事故が原因で死亡に至った場合、事故の相手方に対して「死亡慰謝料」を請求することができます。亡くなられた方が学生であろうと、死亡事故であればどのような方でも請求することができる補償です。
死亡慰謝料は、
- 亡くなった学生本人に対する慰謝料
- 学生のご遺族に対する慰謝料
これら2つに大きく分けられます。
死亡慰謝料のほかに請求可能なお金
交通事故で被った被害に対して請求できるお金のすべてをさして「慰謝料」であると誤解されがちです。しかし、慰謝料は交通事故で被った数ある損害の一部に対する補償にすぎません。
死亡事故の場合、死亡慰謝料のほかに損害として相手方に請求可能なお金があります。
死亡事故の主な損害項目
- 死亡慰謝料
- (死亡に対する)逸失利益
- 葬儀関係費用
一般的に死亡事故では以上のような損害項目が請求されることになります。死亡事故にあわなければ将来的に得られたはずの収入がなくなったわけですから、事故時点で収入のなかった学生でも逸失利益を請求することができます。学生の場合、逸失利益は平均賃金をもとに計算されることになるのが一般的です。
また、交通事故で負った怪我の治療を懸命につづけても残念ながら死亡に至るケースも多いです。このような場合は死亡までにかかった、
- 治療費
- 入院費
- 入院雑費
- 入通院慰謝料
- 休業損害
- 看護料
などもさらに請求することができます。
学生でも長期的なアルバイトをしている場合、事故前の収入に応じて休業損害を請求することができます。
相場を知る!慰謝料計算機の紹介
死亡事故、死亡慰謝料を含むさまざまな損害項目を合計したものを請求できることが分かりました。では実際、死亡事故ではどのくらいの金額になるのでしょうか。損害の項目はそれぞれ細かな計算方法が用いられます。一つずつ確認する時間がない…という方は、相場をすばやく確認できる計算機をお使いください。
事故当時の年齢、性別などを入力するだけで慰謝料を含む損害賠償の相場が自動計算されます。
学生の場合、年収は以下のようにご入力ください。
- 中高生*¹▶497万円
- 大学生*²▶男性615万円/女性463万円
*¹ 大学進学の可能性が高かった場合、大学生の場合をご入力ください。
*² 大学生の場合は、卒業の年の年齢をご入力ください。
(平成30年 各平均賃金より)
※こちらの計算機では留年など個別の事情を細かく考慮した損害の算出には対応していません。
※個別の事情をより正確に反映した相場金額を知りたい方は、弁護士に問い合わせることをおすすめします。
学生の死亡慰謝料は2000~2500万が相場?
基準で変動?死亡慰謝料の相場解説
死亡慰謝料をはじめとした交通事故に関する損害賠償の算定には、3つの基準のうち1つが選ばれることになります。どの基準で算定するかによって、死亡慰謝料を含む損害賠償の相場は大きく変動します。
算定の3基準
自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準
3基準のなかで最も高額な金額が算定されるのは弁護士基準です。弁護士基準で算定がおこなわれるようにするには、示談交渉に弁護士が介入する必要があります。保険会社から提示を受けた金額に疑問があったり、増額の可能性があるか知りたいという方は一度、弁護士に相談してみることをおすすめします。
3基準比較|学生の死亡慰謝料
学生の死亡慰謝料は3基準ごとに変動することが分かりました。しかし、実際3基準ごとにどのくらい金額の差がでるのでしょうか。3基準を比較してみていきたいと思います。
3基準比較
学生の死亡慰謝料
死亡慰謝料 (万円) |
|
---|---|
自賠責基準 | 本人:350
+ 遺族1人:550 遺族2人:650 遺族3人以上:750 |
任意保険基準* | 1250 ~ 1450 |
弁護士基準* | 2000 ~ 2500 |
* 本人分と遺族分の慰謝料合計
3基準で学生の死亡慰謝料を比べてみると、金額の差は歴然です。最も高い死亡慰謝料となるのは弁護士基準で算定した場合であることが分かります。
しかし、これら3基準を比較したものは一般的な傾向を示したものなので目安と考えてください。学生本人やご遺族内部の状況にあわせて死亡慰謝料はそれぞれ前後する可能性があります。参考程度にご確認ください。
相場2500万を超える事例紹介
弁護士基準による死亡慰謝料相場は2000~2500万円であると先述しましたが、調査の結果2500万円を超える事例もあったことが分かりました。
ケース① 大学生・男(19歳)
死亡慰謝料▶2800万円
本人分:2500万円
父:300万円
事故日 平成14年8月10日 名古屋地方裁判所 平成19年7月31日
ケース② 高校生・男(17歳)
死亡慰謝料▶3100万円
本人分:2200万円
父母:800万円(各400万円)
妹:100万円
事故日 平成12年4月21日 大阪地方裁判所 平成17年6月27日
ケース③ 中学生・女(15歳)
死亡慰謝料▶3300万円
本人分:2200万円
父母:500万円(各250万円)
祖父母:240万円(各120万円)
妹3人:360万円(各120万円)
事故日 平成20年1月30日 宇都宮地方裁判所 平成23年3月30日
死亡慰謝料は、弁護士基準だと必ず2000~2500万円におさまるとは限らないようです。学生本人やご遺族の状況にあわせ個々に金額は勘案されることになります。
学生の死亡慰謝料受け取りは「親のみ」?
学生本人分の死亡慰謝料は相続対象
学生本人に対して支払われる死亡慰謝料は、亡くなられた学生本人は受け取ることができません。したがって、死亡慰謝料は相続の対象となります。ご遺族のどなたがどのくらい相続することになるかは細かく法律で順位と相続割合が決められています。
学生の相続人:第一順位は父母(直系尊属)
学生の場合、父母がいるのであれば基本的に第一順位は父母(直系尊属)となります。養子縁組をした養父母は直系尊属としてあつかわれます。
父母以外の相続できる順番としては、直系尊属(祖父母)→兄弟姉妹の順番で優先順位が決められます。
学生の相続割合についてはつぎの表を参考にごらんください。
① | ② | ③ | |
---|---|---|---|
直系尊属 (父母) |
1 | - | - |
直系尊属 (祖父母) |
0 | 1 | - |
兄弟姉妹 | 0 | 0 | 1 |
以上が相続の基本的なルールとなります。
学生でも結婚して配偶者がいる場合、第一順位は常に配偶者となります。さらに子供がいるのであれば、子→直系尊属(父母・祖父母)→兄弟姉妹の順で相続の順位が決められます。
まとめ
学生が交通事故で死亡したら、死亡慰謝料を含む損害賠償の請求が可能です。
- 死亡で受けた精神的な苦痛に対する補償が死亡慰謝料
- 弁護士基準の算定では、死亡慰謝料は2000~2500万円程度が相場となる
- 学生の死亡事故では父母→祖父母→兄弟姉妹の順で相続人となる
など死亡慰謝料に関する疑問について解説してきました。
大切な家族を亡くされた悲しみは計り知れません。慰謝料だけですべての悲しみが癒えることはないと思いますが、少しでも苦しみが軽減されるためにも適切な慰謝料が支払われることは大切です。
悲しみの中で保険会社とやり取りをつづけるのは、さらなる精神的な負担を感じるという方も多いです。そのようなときはお一人で悩まず弁護士に相談してみましょう。
学生の死亡慰謝料についてのQ&A
学生の死亡慰謝料は遺族ももらえる?
交通事故で学生の方がなくなった場合、ご遺族も死亡慰謝料を受け取ることができます。死亡慰謝料とは、交通事故で死亡したという精神的な苦痛に対する補償です。これには、亡くなった学生ご本人に対する慰謝料だけではなく、そのご遺族に対する慰謝料も含まれているのです。
学生の死亡慰謝料の相場はいくら?
学生の死亡慰謝料の金額は、弁護士基準であれば2000~2500万円となります。弁護士基準とは、死亡慰謝料の金額算定に用いる基準のひとつです。他には自賠責基準・任意保険基準というものがあり、どの基準を用いるかで死亡慰謝料の金額が変わります。弁護士基準による金額は、最も高額になります。
学生の死亡慰謝料は誰が受け取る?
学生の場合、死亡慰謝料は父母が相続します。父母がいない場合は祖父母、祖父母もいない場合は兄弟姉妹が相続することになります。ただし、学生でも結婚している場合や子供がいる場合は、配偶者や子供がより優先的に相続人となります。相続人の決め方や相続できる金額の割合は、法律で決められています。