交通事故の慰謝料|支払いが遅い!その理由と対処法は?
交通事故に遭い示談交渉が終わると、後は慰謝料や賠償金が振り込まれるのを待つだけだ…!と安心しますよね。
それなのになかなか慰謝料が振り込まれないと、不安になるかと思います。
そもそも慰謝料や賠償金はいつ支払われる?
支払いが遅い理由は何?
支払いが遅い場合、どう対処したらいい?
この記事では、このような疑問にお答えしています。慰謝料や賠償金がなかなか支払われず不安な方は、ぜひご確認ください。
交通事故の慰謝料|支払い時期のキホン
交通事故の慰謝料はいつ振り込まれる?
交通事故の慰謝料や賠償金には、示談交渉前に支払われるものと示談交渉後に支払われるものがあります。それぞれの支払い時期は、以下のようになります。
項目 | 振込時期 |
---|---|
入通院慰謝料 | 示談成立後 (加害者側自賠責保険会社に請求すれば、最低限の金額だけ先に振り込まれる) |
死亡慰謝料 | |
後遺障害慰謝料 | 事前認定 全額示談成立後 |
被害者請求 一部示談前、残りは示談成立後 |
|
治療費 | 基本的に通院と並行して |
休業損害 | 毎月 |
その他の示談金 | 示談成立後 |
示談成立後に支払われるものについては、示談成立から2週間前後してから振り込まれるのが一般的です。
具体的な流れとしては、
示談成立→送られてきた示談書に署名・捺印→示談書を加害者側の保険会社に返送→保険会社内で事務処理→振込
となります。
示談成立から2週間前後というと遅いと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。しかしこれは一般的なタイミングですので、なかなか振り込まれないなと感じても、2週間経つまでは待つ方が良いかと思います。
しかしまれに、2週間以上たっても慰謝料や賠償金が支払われないことがあります。これはどういう理由によるものなのかについて、次の項から解説していきます。
交通事故の慰謝料の支払いが遅い!なぜ?
①示談書が保険会社に届いていない
加害者が任意保険に加入している場合、基本的に慰謝料や賠償金は、その任意保険会社から一括で支払われます。
先ほどもお伝えした通り、慰謝料や賠償金が支払われるためには、加害者側から送られてきた示談書に署名・捺印をして、それを返送しなければなりません。
しかし何らかのトラブルで、返送したはずの示談書が加害者側の任意保険会社に届いていないという可能性もあります。
示談書が返送されないと、加害者側の任意保険会社はその後の事務処理を進めることができないため、支払いが遅れていると考えられます。
②保険会社側の処理の遅れ
示談書はきちんと加害者側の任意保険会社に届いていても、保険会社内での事務処理が進んでいなければ、慰謝料や賠償金は支払われません。
保険会社は多くの案件を並行して抱えているため、他にも示談交渉や事務処理があります。その中で、事務処理が遅れているのかもしれません。
③弁護士の口座を介して振り込まれる
大幅に遅れるというわけではありませんが、示談交渉を弁護士に代行してもらった場合は、被害者ご自身の口座に慰謝料や賠償金が入るのが若干遅れてしまいます。
弁護士を挟んでいなければ、慰謝料や賠償金は加害者側の保険会社から被害者ご自身の口座に直接振り込まれます。
しかし、弁護士を挟んでいる場合には、通常、弁護士の業務用の口座に慰謝料や賠償金が支払われ、そこから被害者ご自身の口座に振り込まれます。
こうしたことから、慰謝料や賠償金の支払いが若干遅れる可能性もあります。
④加害者自身が振り込むことになっている
交通事故の慰謝料や賠償金は、基本的には加害者が加入している任意保険会社から一括で支払われます。
しかし、加害者が任意保険に加入していない場合には、慰謝料や賠償金の一部は加害者側の自賠責保険に請求し、残りの金額は被害者自身が支払うことになります。
自賠責保険会社は会社なので、慰謝料や賠償金を支払わない、支払いが遅れるということは基本的にありません。
しかし、加害者個人が支払う分に関しては、支払いが遅れたり、支払いをしてもらえなかったりする可能性もあります。
そのような場合、どうすればいいのかについて次章でご紹介します。
加害者が慰謝料を支払わない!どうすればいい?
①内容証明郵便を送る
内容証明郵便とは、その郵便を出した人、日付、内容を郵便局が証明してくれる郵便のことです。
内容証明郵便には、加害者に慰謝料や賠償金を支払わせる効力はありません。しかし、重要な意思表示をする郵便ですので、加害者に対して心理的圧力をかけることはできます。
また、たとえこの郵便を加害者が処分してしまっても、差出人や日付、内容は記録として残ります。そのため、もし裁判になった場合でも、加害者にきちんと支払いを求めるアクションを起こしていたという証拠になります。
内容証明郵便の効果
- 加害者に心理的圧力を与える
- たとえ加害者が郵便を捨てていても、裁判で証拠になる
②示談書を公正証書にしておく
内容証明郵便よりも確実な方法をとりたい場合は、示談書を「公正証書」にしておくことも検討してみることをお勧めします。
公正証書とは、公証人(元裁判官や元検察官など長年法律の専門家であった公務員)が作成した書類のことです。
公正証書の効果
- 裁判所の確定判決と同じ効力を持つ
- 公正証書に記載された賠償金を加害者が支払わない場合には、裁判を起こさず資産を差し押さえることができる
加害者の資産を差し押さえようと思うと、通常は裁判を起こさなければなりません。そのため、差し押さえに至るまでに時間も費用も掛かります。
しかし示談書を公正証書にしておけば、裁判をしなくてもすぐに相手の資産を差し押さえられます。
公正証書は、公証役場で作成することができます。
ただし、公正証書に効力を持たせるためには、強制執行に対する同意を加害者から得ておく必要がありますのでご注意ください。
まとめ|交通事故の慰謝料の支払いが遅い理由と対処法
ここまで、交通事故の慰謝料が遅い理由と対処法についてご説明してきました。要点をまとめると、以下のようになります。
まとめ
支払いが遅い理由
- 示談書が保険会社に届いていない
- 保険会社側の処理の遅れ
- 弁護士の口座を介して振り込まれる
- 加害者自身が振り込むことになっている
加害者自身からの支払いが遅い場合の対処・対策
- 内容証明郵便を送る
- 示談書を公正証書にしておく
加害者側の保険会社から支払いを受ける場合は、まずは保険会社に問い合わせてみることをお勧めします。
加害者本人からの支払いが遅れている場合には、そのまま踏み倒される可能性もありますので、きちんとした対応をとる必要があります。
お困りの場合は、一度弁護士に相談してみることもお勧めです。
慰謝料の支払いについてのQ&A
慰謝料・賠償金はいつ支払われる?
慰謝料や賠償金のうち、治療費や休業損害は基本的に示談前に支払われます。入通院慰謝料・死亡慰謝料は基本的に示談成立後、後遺障害慰謝料は場合によって全額示談成立後に支払われたり、一部示談前に支払われたりします。示談成立後に支払われるものでも、手続きによっては示談前に払われることもあります。
慰謝料の支払いが遅い場合どうしたらいい?
加害者が任意保険に加入している場合は、何らかの原因で保険会社側の対応が遅れていることが考えられますので、保険会社に問い合わせることが大切です。加害者が任意保険未加入で、加害者自身が慰謝料を支払うことになっている場合は、資力がない、支払うつもりがないなどが考えられます。
加害者が慰謝料を支払わない場合どうすれば?
加害者自身が慰謝料を払うことになっているのに支払わない場合は、加害者に対して内容証明郵便を送りましょう。また、事前にできる対策としては、示談書を「公正証書」にしておくということがあります。こうしておくと、加害者が慰謝料を支払わない場合の対処がスムーズに行えます。