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交通事故の死亡慰謝料|サラリーマンの計算方法、相場金額を解説

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交通事故の死亡慰謝料|サラリーマンの計算方法、相場金額を解説

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交通事故でサラリーマンの方を亡くされた場合、

  • 死亡慰謝料
  • 死亡逸失利益
  • 葬祭費

を請求することができます。

こうした慰謝料・賠償金の示談交渉は49日を過ぎたころから行われます。しかしまだまだ心の傷が癒えず、何も考えられないということもあるかと思います。

そこでこの記事では、こうした慰謝料・賠償金について分かりやすく説明するよう努めております。どうぞご確認ください。

交通事故で死亡したら|請求できる慰謝料は?

死亡事故の慰謝料・賠償金の内訳は?

交通事故で被害者の方が死亡してしまった場合、加害者側には「死亡慰謝料」「死亡逸失利益」「葬祭費」を請求することができます。

死亡事故の慰謝料・賠償金
死亡慰謝料 交通事故により死亡した被害者とその家族の精神的苦痛に対する補償
死亡逸失利益 交通事故で死亡しなければ得られたはずの将来の収入に対する補償
葬祭費 通夜や葬儀、墓石、位牌などの費用

亡くなられるまでの間に入通院の期間があったり、後遺症が残ったりしていた場合には、

  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 後遺障害逸失利益
  • 休業損害
  • 治療関係費

等も請求することができます。

この記事では死亡慰謝料と死亡逸失利益の計算方法・相場金額をご紹介していきます。

入通院、後遺症に対する慰謝料・賠償金については、こちらこちらの記事をご確認ください。

慰謝料の3つの基準に要注意

死亡事故の慰謝料・賠償金について解説する前に、交通事故慰謝料の3つの金額基準について解説しておきます。

交通事故の慰謝料には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という3つの金額基準があります。

慰謝料金額相場の3基準比較

自賠責基準

被害者が受け取ることのできる最低限の金額基準

任意保険基準

示談交渉で加害者側の保険会社が提示してくる金額

弁護士基準

示談交渉で被害者側の弁護士が提示する金額

任意保険基準は保険会社ごとの設定された金額で、自賠責基準に少し上乗せした程度と言われています。

一方弁護士基準は、過去の判例をもとに決められた金額基準です。そのため、これが最も妥当な金額であるということができます。

そのため、示談交渉ではたとえ加害者側の保険会社から提示された金額が高額であっても、一度弁護士基準の金額と比べてみることが重要です。

高額な金額でも、弁護士基準と比べるとかなり低額という場合もあります。

サラリーマンの死亡慰謝料|相場・計算方法は?

死亡慰謝料の計算方法は?

死亡慰謝料は、生前の被害者の方が、家族内でどのような役割を担っていたかによって決まります。

ではここで、サラリーマンの方の死亡慰謝料について、任意保険基準の金額と弁護士基準の金額をご紹介します。

① 一家の支柱の場合

一家の支柱として扶養家族がいた場合

  • 弁護士基準:2800万円
  • 任意保険基準:1500万~2000万円
② 独身などの場合

独身・実家暮らしなどで扶養家族がいない場合

  • 弁護士基準:2000万~2500万円
  • 任意保険基準:1300万~1600万円

示談交渉の際に加害者側から提示される金額と本来の妥当な金額とでは、かなり差があることが分かります。

示談交渉では、加害者側から提示された金額を増額してもらうよう交渉することも可能です。

しかし、被害者のご家族が直接交渉しても、増額してもらえなかったり、十分な増額幅ではなかったりする可能性が高いです。

提示された金額を増額させたいという場合には、一度弁護士に相談してみるのも良いかと思います。

死亡逸失利益の計算方法は?

つづいて、死亡逸失利益の計算方法をご紹介します。

死亡慰謝料の計算式

死亡逸失利益=年収×(1‐生活費控除率)×死亡により就労できなくなった年数に対するライプニッツ係数

死亡逸失利益の計算式は、弁護士基準でも任意保険基準でも同じです。

ただ、任意保険が計算する場合には、「年収」や「死亡により就労できなくなった年数」を少なく見積もられている場合があります。金額を提示されたときには、その計算式まで確認することをお勧めします。

では、計算に用いる各要素について、一つずつ解説し、実際の計算例をご紹介します。

① 年収

交通事故に遭う前の年収を用います。

② 生活費控除率

死亡逸失利益は、将来被害者の方が消費したであろう金額は差し引いて計算されます。そのための数値が生活費控除率です。

具体的な数字は、以下のようになります。

生活費控除率
一家の支柱(被扶養者1人) 40%
一家の支柱(被扶養者2人以上) 30%
女性 30%
男性 50%
③ 就労できなくなった年数

就労できなくなった年数は、死亡した年齢~定年までの年数を指します。

会社などによって実際の定年は様々かもしれませんが、死亡逸失利益の計算では、原則として67歳を定年として考えます。

また、定年に近い年齢だった場合は、

  • 死亡した年齢~定年までの年齢
  • 平均余命の1/2

を比較し、長い方を採用します。

④ ライプニッツ係数

死亡逸失利益とは、交通事故がなければ将来収入として受け取るはずだった金額を一度に受け取るものです。

そのため、大部分の金額は銀行に預金することになるかと思います。そうすると、実際にその金額を収入として得るはずだった頃には利子がついて増額しています。

その増額分を最初から差し引いておくための数値がライプニッツ係数です。

ライプニッツ係数は、③ でご紹介した就労できなくなった年数に対応するものを採用します。その一部をご紹介します。

ライプニッツ係数
年数 係数
43 17.5459
39 17.017
33 16.0025
25 14.0939
8 6.4632

死亡逸失利益の計算例

では、34歳・独身男性・年収400万円の方を想定して死亡逸失利益を計算してみます。

計算例
  • 年収:400万円
  • 生活費控除率:50%
  • 就労できなくなった年数:67-34=33年
  • ライプニッツ係数:16.0025

◎逸失利益=400万円×(1-0.5)×16.0025=3200万5000円

サラリーマンの死亡事故の疑問

被害者の家族も慰謝料請求できる?

交通事故の死亡慰謝料の金額には、死亡した被害者の方だけではなく、その家族の精神的苦痛に対する補償も含まれています。

ただし、

  • 被害者の死亡によりその家族が精神疾患を患った
  • 一度に複数の家族を失った

という場合には、その精神的苦痛を考慮し、死亡慰謝料の金額が増額される場合があります。

実際の事例をご紹介します。

▼家族が精神疾患を患った事例

会社代表取締役(男・61歳)につき、加害者が忘年会で飲酒後酩酊しながら自動車で帰宅する途中、高速道を一般道と錯覚して転回して逆走するという常軌を逸した運転行為により事故を発生させたこと、事故後残されていた被害者の病弱な妻が自殺を図ったこと、謝罪意思の表明の在り方等において加害者に配慮の欠けた面があったこと等を考慮し、3600万円を認めた(事故日平12.12.2 東京地判平15.3.27 交民36・2・439)

▼一度に複数の家族を失った事例

単身者の姉妹(女・21歳・会社員、女・19歳・アルバイト)につき、両親が2人しかいない我が子を一度に失ったこと、はみだし通行禁止場所において高速度での追い越しをしようとした加害者の危険な運転態様等を総合し、本人分各2200万円、父母各600万円、被害者1人あたり合計2800万円を認めた(事故日平19.10.6 秋田地判平22.9.9 自保ジ1840・75)

死亡慰謝料が増額されるケースとは?

上でご紹介した、ご家族の精神的苦痛が特に大きいと判断された場合以外にも、以下の場合には死亡慰謝料が増額されます。

  • 今後、仕事上で重要な位置に就くことが決まっていた場合
  • 加害者に故意・重大な過失・不誠実な態度があった場合
  • 被害者の無念が特に大きいと判断された場合
  • 死亡時の状況から特に苦痛が大きかったと判断される場合

実際の事例をご紹介します。

▼今後仕事上で重要な位置に就くことが決まっていた事例

単身者(男・31歳・会社員)につき、一人息子で父親の経営する会社を継ぐべき立場にあったことなどから、本人分2200万円、父母各300万円、合計2800万円を認めた(事故日平17.12.23 金沢地判19.8.31 自保ジ1771・21)

▼被害者の無念が特に大きいと判断された事例

単身者(男・31歳・会社員)につき、希望していた鉄道会社に就職後、車掌として真面目に勤務していたこと、父母思いの優しい息子であり、結婚を誓っていた交際相手もいたことなどから、2800万円を認めた(事故日平20.1.20 東京高判平22.10.28 判タ1345・213)

▼死亡時の状況から特に苦痛が大きかったと判断される事例

会社員(男・30歳)につき、加害者は無免許飲酒運転で合った上、逃走し、約2.9㎞にもわたり故意に引きずり死亡させたという殺人罪にも該当する極めて悪質かつ残酷なものであること、引きずられながら絶命した被害者の苦痛苦悶は筆舌に尽くしがたいこと、30歳にして妻、子を残して突然命を奪われた無念さを考慮し、本人分3500万円、妻子各250万円、合計4000万円を認めた(事故日平20.10.21 大阪地判平25.3.25 自保ジ1907・57)

慰謝料は誰がどれくらい受け取る?

死亡事故の場合、被害者ご自身は亡くなられているため、そのご家族が「相続人」として慰謝料や賠償金を受け取ることになります。

相続人は、ご家族であれば誰でもいいというわけではなく、以下のように決められます。

相続人の決め方と慰謝料の分配

配偶者がいる場合、配偶者は以下の人とともに必ず相続人となる。

① 被害者の子(いなければ孫)

慰謝料の分配=配偶者1:子1

② ① がいなければ被害者の親

慰謝料の分配=配偶者2:親1

③ ② がいなければ被害者の兄弟姉妹(いなければその子)

慰謝料の分配=配偶者3:兄弟姉妹1

【まとめ】サラリーマンの死亡慰謝料・逸失利益

ここまで、サラリーマンの死亡慰謝料・逸失利益についてご紹介してきました。

疑問や不安が少しでも解消されていたら幸いです。

死亡慰謝料・逸失利益はいくらが妥当なのか、増額事由に当たる可能性はあるかなどをしっかり把握したうえで交渉に臨んでください。

交渉に自信がない、まだつらい気持ちが強すぎてそれどころではない、という場合は弁護士の力を借りるのも一つの手です。

無料で相談を受けている法律事務所も多いので、一度連絡してみることもお勧めします。

サラリーマンの死亡慰謝料についてのQ&A

死亡事故の賠償金の内訳は?

死亡事故の賠償金の内訳は、① 死亡慰謝料、② 死亡逸失利益、③ 葬祭費となります。死亡までの間に入通院期間があった場合は、入通院慰謝料や治療費なども請求できます。また、慰謝料の金額には弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準という3つの基準があり、実際に慰謝料金額がいくらになるかは示談交渉次第となります。

交通事故で死亡したら|請求できる慰謝料は?

家族も慰謝料請求できる?

交通事故の死亡慰謝料には、初めからその家族に対する慰謝料も含まれています。ただし、被害者の死亡により家族が精神疾患を患った場合や一度に複数の家族を失った場合には、さらに死亡慰謝料が増額される可能性があります。

Q1. 被害者の家族も慰謝料請求できる?

サラリーマンの死亡慰謝料が増額される場合は?

死亡事故の被害者がサラリーマンである場合、① 今後仕事で重要な位置に就くことが決まっていた、② 加害者に故意、重大な過失などがあった、③ 加害者の無念が特に大きいと考えられる、④ 事故時の苦痛が特に大きかったと思われるなどの場合には、死亡慰謝料が増額される可能性があります。

Q2. 死亡慰謝料が増額されるケースとは?

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