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判例番号98
平成11年1月29日
最高裁判所

被害者にも過失がある場合、損害賠償額はどうなるの?

基本情報

判決日時 平成11年1月29日
裁判所 最高裁判所
事件番号 平成9年(オ)第2049号

事故の内容

事件概要 加害者の運転する車を被害者の車が避けた結果、対向車線を走行中の車と衝突し、被害者は死亡または重傷を負いました。
場所 一般道
被害者
加害者

裁判の詳細

原告 被害者の遺族
被告 加害者Y1 ,加害者の運転していた車の保有者Y2
請求内容 損害賠償
・Y1は後方を確認してから車線変更をする義務があったにもかかわらず、後方を確認しないという不注意がありました。 ・被害者Aは前方の車両の動静に注意して走行すべき義務があったにもかかわらず、制限速度を20km上回る速度で走行するという不注意がありました。 ・Aの自賠責保険に基づき死亡した同居の妹である同乗者Bの損害については3000万円の弁済がなされました。 ・一審・原審は、Bの損害額は6040万円であるが、Bの5%の過失とAの過失35%が加算されて、過失相殺後の損害額は3624万円であると認定し、そこから3000万円を控除した624万円がYらの支払うべき額であると判断しました。

争点と結論

主な争点 共同不法行為者の過失が「被害者側の過失」として、民法722条2項が類推適用される場合、自賠責保険金はどのように充当されるか。
判決文抜粋
甲(A)がしたてん補の額は丙(Xら)がてん補を受けるべき損害額から控除すべきであって、控除後の残損害額が乙(Yら)が賠償すべき損害額を下回ることにならない限り、乙(Yら)が賠償すべき損害額に影響しないものと解するのが相当である。
ポイント 共同不法行為者の過失が、「被害者側の過失」にも当たる場合は、自賠責保険金を充当する際に考慮しない旨を判示しました。本件の事例では、全損害額6040万円からBの過失5%を控除し5738万円となり、それから自賠責保険金3000万円を控除した2738万円がYらの賠償すべき額であると判示しました。