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判例番号82
平成20年7月4日
最高裁判所

他人の過失であっても、自己の過失として扱われる場合

基本情報

判決日時 平成20年7月4日
裁判所 最高裁判所
事件番号 平成19年(受)第1386号、同年(オ)第1515号

事故の内容

事件概要 被害者は、Aの運転するバイクの後部に座っていたところ、バイクが車の側面に激突し、被害者は頭部を強く打って死亡しました。
場所 一般道
被害者
加害者

裁判の詳細

原告 被害者遺族
被告 加害者 ,県
請求内容 損害賠償
・被害者Bと被告であるバイクの運転者Aは、他の友人らとともに、空吹かし、蛇行運転、低速走行等の暴走行為を繰り返していました。 ・ABらを取り締まりに来たパトカーも一度ABらに逃走されています。 ・ABらに逃走されないようにするために、バイクの走行車線を塞ぐ形で、パトカーを停車させました。また、このときパトカーは赤色灯をつけていませんでした。 ・ABらは、警察から逃れるために時速80㎞近くまで速度を加速させた上で、停車しているパトカーに向かって進んでいました。 ・加速した際、運転者であるAは脇見運転をしており、パトカーをいち早く発見することができませんでした。

争点と結論

主な争点 「被害者本人と身分上、生活関係上、一体をなすとみられるような関係にある者」以外であっても、他人の過失を考慮して、過失相殺をすることができるか。
判決文抜粋
本件運転行為は、BとAが共同して行っていた暴走行為から独立したAの単独行為とみることはできず、上記共同暴走行為の一環を成すものというべきである。 したがって、Yとの関係で民法722条2項の過失相殺をするに当たっては、(中略)本件運転行為におけるAの過失もBの過失として考慮することができる。
ポイント AとBは両者ともに交代しながらバイクを運転し、暴走行為を行っていたものといえます。このような場合には、行為全体を一連一体のものとして評価して、他人の過失も自己の過失にあたるとして、過失相殺を認めたものです。このように極めて特殊な事案においてのみ、この判例が妥当することになります。