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判例番号35
平成22年3月2日
最高裁判所

動物の侵入対策がとられていない場合でも、国または公共団体が国家賠償責任を負わない場合がある!

基本情報

判決日時 平成22年3月2日
裁判所 最高裁判所
事件番号 平成20年(受)第1418号

事故の内容

事件概要 被害者運転の普通乗用車がキツネを避けようと自損事故を起こし停車中、後続の加害者運転の自動車が衝突。被害者は死亡しました。
場所 高速道路
被害者
加害者

裁判の詳細

原告 被害者遺族
被告 加害者,日本道路公団 東日本高速道路株式会社が訴訟承継
請求内容 損害賠償,国家賠償
被害者が、日本道路公団に対し、中小動物の侵入対策がとられていないことは、道路管理に瑕疵であるとして国賠法2条に基づき国家賠償請求をしました。 ・日本道路公団が発行した資料には、金網の柵に変更し、柵と地面との透き間を無くし、動物が地面を掘って侵入しないよう地面にコンクリートを敷くとされていた。 ・対策が全国や北海道内の高速道路において広く採られていたという事情はなく、そのような対策を講ずるためには多額の費用を要する。 ・小動物が道路に侵入しても、走行中の自動車が小動物との接触により自動車の運転者等が死傷するような事故が発生する危険性は高いものではなく、通常は、自動車の運転者が適切な運転操作を行うことにより死傷事故を回避することが期待されるものであった。 ・動物注意の標識が設置されており、自動車の運転者に対しては、道路に侵入した動物についての適切な注意喚起がされていた。

争点と結論

主な争点 動物の侵入を防ぐ対策を講じていなかったことが道路管理の瑕疵にあたるか?
判決文抜粋
対策が講じられていなかったからといって、本件道路が通常有すべき安全性を欠いていたということはできず、本件道路に設置又は管理の瑕疵があったとみることはできない。
ポイント ・国賠法2条1項にいう瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、瑕疵の有無については、事故当時における当該営造物の構造、用法、場所的環境、利用状況等諸般の事情を総合考慮して具体的個別的に判断されます。 ・本件のような事実関係の下では、道路の設置または管理についての瑕疵はありません。