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判例番号32
昭和50年7月25日
最高裁判所

放置車両による事故につき、道路管理者である国または公共団体に国家賠償請求できる場合がある!

基本情報

判決日時 昭和50年7月25日
裁判所 最高裁判所
事件番号 昭和47年(オ)第704号

事故の内容

事件概要 加害者が事故で故障した大型貨物自動車を放置し、加害車両の後方に被害者運転の原動機付自転車が激突。被害者は死亡しました。
場所 一般道
被害者 バイク
加害者

裁判の詳細

原告 被害者遺族
被告 加害者,加害者の雇用主,和歌山県
請求内容 損害賠償,国家賠償
加害車両が約87時間放置されていたことが道路管理の瑕疵にあたるとして、被害者遺族が県に対し国家賠償法2条および3条に基づき国家賠償請求をしました。 本件事案の具体的な事情は以下のとおりです。 ・加害車両は幅員7.5メートルの国道の中央線近くに、道路に平行でない位置で放置されていた。 ・事故現場の国道は和歌山県知事が国の委任事務としてその管理責任を負い、同県出張所において管理事務を担当し、管理に要する費用は全額県が負担すべきものとされていた。 ・出張所にはパトロール車の配置がなく、工務課の技術員が物件放置の有無等を含めて随時巡視するだけで、常時巡視していなかった。

争点と結論

主な争点 国道に故障車両が長時間放置されていたことは、道路管理の瑕疵にあたるか?
判決文抜粋
道路の安全性を著しく欠如する状態であつたにもかかわらず…出張所は、道路を常時巡視して応急の事態に対処しうる看視体制をとつていなかつたために、…必要とされる措置を全く講じていなかつた…から…出張所の道路管理に瑕疵があつたというのほかなく、…管理費用を負担すべき県は、国家賠償法二条及び三条の規定に基づき、…賠償する責に任ずべきであ…る。
ポイント ・道路の管理に瑕疵があったときは国賠法2条により国または公共団体が賠償責任を負い、国賠法3条により管理費用負担者も賠償責任を負います。 ・故障車の放置により、道路の安全性に著しく欠ける本件のような場合で、看視体制やこれに基づく措置がなされないときは、道路管理に瑕疵があるとされます。