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判例番号28
平成5年9月9日
最高裁判所

事故が原因で被害者が自殺した場合、死亡についての損害額も賠償請求ができる可能性がある!

基本情報

判決日時 平成5年9月9日
裁判所 最高裁判所
事件番号 平成5年(オ)第561号

事故の内容

事件概要 加害者運転の普通自動車が反対車線に進入し、被害者運転の普通自動車に衝突。被害車両の運転者とその妻子である同乗者が負傷しました。
場所 一般道
被害者
加害者

裁判の詳細

原告 被害者遺族
被告 加害者Y,加害車両の運行供用者Z
請求内容 損害賠償
被害車両を運転していたAが本件事故後にうつ病になり自殺しました。 本件事案では以下の事情がありました。 ・Aは頭痛やめまいなどの14級10号の後遺症を負った。 ・本件事故は加害者の一方的過失によるものであり、家族連れでの行楽途中の開放的心理状態の下で突然遭遇したものであったなど、Aに大きな精神的衝撃を与えるものであった。 ・補償交渉について納得のいく進展がなかった。 ・Aは災害神経症状態となって勤労意欲が減退していた。 ・Aが医師に後遺症に苦しんでいる旨訴えるも、医師から意思に反して就労の勧めがされた。 ・Aは勤務先に復職願を提出したものの、これを受け入れられなかったため、退職した。 ・一般に、自らに責任のない事故で傷害を受けた場合、災害神経症状態を経てうつ病に発展しやすく、うつ病にり患した者の自殺率は全人口の自殺率と比較してはるかに高い。

争点と結論

主な争点 事故により受傷した被害者が自殺した場合、事故と被害者の自殺との間に相当因果関係があるか?
判決文抜粋
本件事故とAの自殺との間に相当因果関係があるとした上、自殺には同人の心因的要因も寄与しているとして相応の減額をして死亡による損害額を定めた原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。
ポイント ・本件のような事実関係の下では、事故と被害者の自殺との間には相当因果関係があり、死亡による損害について賠償請求できます。 ・もっとも、被害者の性格傾向などの心因的要因が寄与した自殺については、過失相殺の規定である民法722条2項の類推適用により、賠償額が減額されます。