ツイッター

最新情報チェック

判例番号113
平成26年3月28日
仙台高等裁判所

損害額が確定しないまま保険会社に対する直接請求はできない

基本情報

判決日時 平成26年3月28日
裁判所 仙台高等裁判所
事件番号 平成25年(ネ)第408号

事故の内容

事件概要 被害者Xが運転する自動車とAが運転する自動車との間で交通事故が発生しました。その後、Bとも同様の交通事故が起きました。
場所
被害者
加害者

裁判の詳細

原告 被害者X
被告 保険会社Y1 ,保険会社Y2,保険会社Y3
請求内容 損害賠償
・Aは、Y1との間で自賠責保険契約と任意対人賠償責任保険契約を締結していました。 ・Bは、Y2との間で自賠責保険契約を、Y3との間で任意保険契約を締結していました。 ・Y1及びY3の約款6条1項には、「対人事故によって、被保険者の負担する法律上の損害賠償責任が発生した場合は、損害賠償請求権者は、当会社が被保険者に対して支払い責任を負う限度において、当会社にた対して第3項に定める損害賠償額の支払いを請求することができます」との定めがありました。 ・また同じ約款6条2項3号に、「損害賠償請求権者が被保険者に対する損害賠償請求権を行使しないことを被保険者に対して書面で承諾した場合」に、損害賠償額を支払うとの定めがありました。 ・Xは「Xが加害者らに対する損害賠償請求権を行使しないことを書面で承諾すること」の条件付判決を求めて直接請求権に基づく損害賠償請求訴訟を提起しました。

争点と結論

主な争点 対人賠償責任保険の直接請求権に関する支払い条件が成就していないにもかかわらず、直接請求権の行使は認められるか。
判決文抜粋
本件約款6条2項3号は、保険会社が被害者からの請求に任意に応じる場合は別として、被害者が加害者に対する損害賠償額の確定等のための手続を取らないまま、加害者に対する損害賠償請求権を行使しないことを一方的かつ抽象的に宣言することによって、直ちに、保険者に損害賠償額の支払を求める法的手続を取ることを許容するものとはいいがたい。
ポイント 自動車対人賠償責任保険の性質を、被保険者が第三者に対する損害賠償責任を負担したことにより被る損失を填補するものであるとしました。この性質からすると、被害者が損害賠償額を確定させないまま、直接請求権を行使することはできないとこの裁判例は判示しました。