ツイッター

最新情報チェック

判例番号112
平成24年9月19日
大阪地方裁判所

素因減額分は人身傷害保険金により填補されない

基本情報

判決日時 平成24年9月19日
裁判所 大阪地方裁判所
事件番号 平成21年(ワ)第3277号・第5716号

事故の内容

事件概要 被害者X1の乗車するタクシーに加害者の運転する自動車が追突する交通事故が発生し、被害者は負傷し、後遺症を負いました。
場所 一般道
被害者
加害者

裁判の詳細

原告 被害者X1,保険会社X2
被告 加害者Y
請求内容 損害賠償,求償金請求
・X1は、事故の前に、勤務中に駅の階段から転落して左肩を強打する労災事故にあっていました。 ・本件事故によって生じた後遺症について、後遺障害等級5級2号に該当するとの認定を受けました。 ・Xらは被保険者をX1とする人身傷害保険を3000万円とする自動車保険契約を締結していました。 ・上記保険契約には、一般条項23条1項に「被保険者等が他人に損害賠償請求をすることができる場合には、当会社は、その損害に対して支払った保険金の額の限度内で、かつ、被保険者等の権利を害さない範囲内で、被保険者等がその者に対して有する権権利を取得します」、人身傷害条項1条1項に、「当会社は、被保険者が自動車事故により身体に損害を被ることによって被る損害に対して、人身保険金を支払います」、人身傷害条項11条1項に、「被保険者が第1条の傷害を被ったときすでに存在していた身体の障害、疾病の影響により、傷害が重大となった場合は、当会社は、その影響がなかったときに相当する金額を決定してこれを支払います」との定めがありました。

争点と結論

主な争点 支払われた人傷保険金は素因減額による減額分に優先的に填補されるか。
判決文抜粋
本件保険契約の約款の人身傷害条項は、(中略)素因があった場合は、支払う人傷保険金は素因がない場合の損害相当額である(同一一条一項)と定めていることが明確であり、素因がある場合の人傷保険金は、素因がない場合の人身損害(素因減額後の損害)を対象として支払われるものと解するほかない。
ポイント 人傷保険金は、素因減額後の損害賠償額に填補されるとした裁判例です。例えば、10万の損害が発生したとして、5割の素因減額が認められる場合に、保険会社が5万の保険金を支払った場合には、被害者は損害元金は0となってしまうということになります。