通院4ヶ月・5ヶ月・6ヶ月の慰謝料は?通院頻度はどうすべき?
交通事故でけがをし通院や入院をすると、入通院慰謝料を請求できます。この入通院慰謝料の金額は、通院期間や入院日数から決まります。
そこでこの記事では、通院を4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月した場合の入通院慰謝料について、
- 慰謝料の金額や計算方法
- 通院頻度や回数の注意点
- 整骨院通院の注意点
などについて解説しています。
骨折の治療は一般的に6カ月程度かかると言われていますので、骨折をされた方はこの記事をご確認ください。
交通事故|通院した場合の慰謝料は?
交通事故の通院で請求できる慰謝料は?
交通事故で入院や通院をした場合に請求できる慰謝料を、「入通院慰謝料」といいます。
入通院慰謝料
交通事故によるけがで入院や通院をしたことによって生じた精神的苦痛に対する補償。
「傷害慰謝料」と呼ばれることもある。
交通事故によるけがで入院や通院が必要になると、その分自由な時間が奪われたり、手術や治療で苦痛を感じたりしますよね。
そうした精神的苦痛に対する補償が、入通院慰謝料なのです。
慰謝料の3つの金額基準とは?
入通院慰謝料の金額について解説する前に、慰謝料金額の3つの基準をご紹介します。
交通事故の慰謝料には、3つの金額基準があります。「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」です。
- 自賠責基準:被害者が受け取ることのできる最低限の金額基準
- 任意保険基準:示談交渉で加害者側の任意保険会社が提示する金額基準
- 弁護士基準:示談交渉で被害者側の弁護士が提示する金額基準
自賠責基準は、国が定めた交通事故慰謝料の最低限の金額です。被害者は自賠責基準の金額分は必ず受け取れるということです。
ただし、それ以上の金額については加害者側と被害者側の示談交渉によって決められます。
その示談交渉の際、加害者側の保険会社が提示するのが任意保険基準です。この基準はそれぞれの保険会社が決めており、非公開となっています。
目安としては自賠責基準に少し上乗せした程度であると言われています。
それに対して弁護士基準は、示談交渉で被害者側の弁護士が提示する金額です。これは、過去の判例に基づいて決められていて、任意保険基準の2~3倍程度の金額であると言われています。
弁護士基準の金額は基本的に、示談交渉を弁護士に依頼している場合でないと主張できませんし、加害者側に受け入れてもらえる可能性も低いです。
加害者側から金額を提示されて弁護士に相談してみたら、2~3倍の金額を主張できると言われた、ということもありますので、一度弁護士に相談してみるのも良いかと思います。
【注意】通院回数や整骨院について
交通事故で通院する場合は、通院回数と整骨院通院にご注意ください。
- ひと月の通院回数が1回未満→入通院慰謝料が認められない可能性がある
- 整骨院通院→医師の許可なしの場合や病院への通院が途絶えた場合は、入通院慰謝料が減額されたり認められなかったりする
前回の通院から1ヶ月以上が経過してしまうと、治療が必要ないくらい回復したということなのではないかと考えられ、入通院慰謝料が認められなくなる可能性があります。
そのため、通院は最低でも月1回以上必要です。
また、整骨院に通いたいという方もいらっしゃるかもしれませんが、整骨院での施術は厳密には医療行為ではありません。また、整骨院の先生は柔道整復師であり、医師ではありません。
そのため、整骨院通院では「病院への通院期間・入院日数」を対象とする入通院慰謝料は認められない可能性があります。
しかし医師の指示の下での整骨院通院なら、入通院慰謝料の対象として認められる可能性が高まりますので、必ず医師に許可を得るようにしてください。
また、医師に許可を得て整骨院に通院する場合でも、病院への通院は欠かさないようにしてください。
弁護士基準の入通院慰謝料|通院4~6ヶ月の場合
ここからは、通院4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月の入通院慰謝料の金額をご紹介していきます。まずは弁護士基準からです。
弁護士基準で入通院慰謝料を算出する場合は、「入通院慰謝料算定表」という表を見ます。
通院4ヶ月の入通院慰謝料算定表
通院4ヶ月の場合の入通院慰謝料算定表は、以下のようになります。
入院 | 軽傷 | 重傷 |
---|---|---|
0カ月 | 67万円 | 90万円 |
1ヶ月 | 95万円 | 130万円 |
2ヶ月 | 119万円 | 165万円 |
3ヶ月 | 136万円 | 196万円 |
4か月 | 152万円 | 226万円 |
5ヶ月 | 165万円 | 251万円 |
以下略 | … | … |
通院5ヶ月の入通院慰謝料算定表
通院5ヶ月の場合の入通院慰謝料算定表は、以下のようになります。
入院 | 軽傷 | 重傷 |
---|---|---|
0カ月 | 79万円 | 105万円 |
1ヶ月 | 105万円 | 141万円 |
2ヶ月 | 127万円 | 173万円 |
3ヶ月 | 142万円 | 204万円 |
4か月 | 158万円 | 233万円 |
5ヶ月 | 169万円 | 257万円 |
以下略 | … | … |
通院6ヶ月の入通院慰謝料算定表
通院6ヶ月の場合の入通院慰謝料算定表は、以下のようになります。
入院 | 軽傷 | 重傷 |
---|---|---|
0カ月 | 89万円 | 116万円 |
1ヶ月 | 113万円 | 149万円 |
2ヶ月 | 133万円 | 181万円 |
3ヶ月 | 148万円 | 211万円 |
4か月 | 162万円 | 139万円 |
5ヶ月 | 173万円 | 262万円 |
以下略 | … | … |
弁護士基準で増額される場合とは?
表のとおり考えると入通院慰謝料の金額は上記のようになります。しかし、以下のような場合には、弁護士基準での入通院慰謝料が増額される可能性があります。
- ① 子育てや仕事でやむを得ず入通院日数を短縮した場合
- ② 手術で特に大きな苦痛を経験した場合
- ③ ギプスによる自宅療養期間や入院待機期間があった場合
② は、繰り返し手術をした、麻酔をせずに手術をした、長時間の手術をしたなどの場合が当てはまります。
③ の場合は、実際には入院していない自宅療養期間や入院待機期間も入院日数に数えることで、結果的に入通院慰謝料が増額することになります。
任意保険基準の入通院慰謝料
任意保険基準の入通院慰謝料の金額は?
任意保険基準でも、入通院慰謝料は表から確認されます。ただし、弁護士基準の表とは数字が異なります。
任意保険基準の金額は各保険会社ごとに異なり非公開です。そのため、ここで正確な金額をご紹介することはできません。
しかし、目安としては「自賠責基準に少し上乗せした程度」と言われておりますので、この後ご紹介する自賠責基準の金額計算を確認していただくと、参考になるかと思います。
任意保険基準で減額されてしまう場合とは?
任意保険基準の入通院慰謝料は、月の通院回数が10回未満の場合減額される可能性があります。
通院回数/月 | 減額の程度 |
---|---|
1~4 | 1/3~1/2に減額 |
5~9 | 1/2~2/3に減額 |
入通院慰謝料のことを考えると、通院は最低でも月1回以上は必要であると上でご説明しましたが、もっと言えば、月10回以上が望ましいということです。
自賠責基準の入通院慰謝料
自賠責基準の入通院慰謝料の計算方法
弁護士基準や任意保険基準とは違い、自賠責基準の入通院慰謝料は計算式によって計算されます。
自賠責基準の計算式
4200円×入通院日数
入通院日数は、
- 入院日数+通院期間
- 入院日数+(実通院日数×2)
のうち少ない方を採用
交通事故の入通院慰謝料まとめ
ここまで、通院4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月の入通院慰謝料について解説してきました。
ポイント
- 入通院慰謝料には3つの金額基準がある
- 入通院慰謝料は必ずしも決まった方法で算出した通りの金額ではなく、増額や減額される場合もある
この記事でご紹介した入通院慰謝料の増額事由が該当する可能性がある方は、一度弁護士に問い合わせてみることをお勧めします。
また、これから通院・入院をされる方は、この記事中の通院回数・頻度に関する部分をよく理解したうえで治療を受けられることをお勧めします。
通院4・5・6ヶ月の慰謝料についてのQ&A
交通事故で通院した場合の慰謝料は?
交通事故で病院に通院した場合、「入通院慰謝料」を加害者側に請求できるようになります。入通院慰謝料とは、入通院によって生じた精神的苦痛に対する補償のことです。入通院慰謝料には、弁護士基準、任意保険基準、自賠責保険基準という3つの金額基準があります。なお、通院頻度が低い場合や整骨院に通院していた場合は、慰謝料が減額されたり、もらえなかったりする可能性があります。
弁護士基準の入通院慰謝料の計算方法は?
弁護士基準の場合、入通院慰謝料算定表という表を用いて入通院慰謝料を算定します。同じ通院期間でも、① 入院期間、② 軽傷か重症か、によって入通院慰謝料の金額が変わります。たとえば通院4ヶ月で軽傷だった場合、入院1ヶ月なら95万円、入院2ヶ月なら119万円、入院3ヶ月なら136万円となっています。
任意保険基準の入通院慰謝料の計算方法は?
任意保険基準では、入通院慰謝料算定表という表を用いて入通院慰謝料を算定します。これは現在では各社で異なり非公開です。目安としては、自賠責保険基準に少し上乗せした程度と言われています。また、任意保険基準の場合は、通院頻度が月10回未満だと入通院慰謝料が減額される可能性があります。
自賠責保険基準の入通院慰謝料の計算方法は?
自賠責保険基準の場合、入通院慰謝料は「4200円×入通院日数」で算出されます。ただし、入通院日数は、① 入院日数+実通院日数、② 入院日数+(実通院日数×2)、のどちらか少ない方が採用されます。自賠責保険基準は、被害者が受け取ることのできる最低限の金額基準を算出するものですので、この金額は低額になります。