【計算機】子供の交通事故慰謝料|同乗者・むちうち・骨折の場合は?
お子さんが交通事故に遭われると、けがの回復とともにどれくらいの賠償金を請求できるのかが気になりますよね。大切なお子さんがけがをしてしまったのですから、十分な金額を獲得したいと思うものです。
ところが、示談交渉で加害者側から提示される金額は妥当なものではなく、相場よりも低いものであることが多いです。
この記事内にある計算機で慰謝料や賠償金の相場額を確認するとともに、子供の交通事故慰謝料に関する疑問を解決してください。
子供の交通事故慰謝料の基本|計算機もご案内
子供の交通事故慰謝料|内訳は?
交通事故に遭うと、上の図のような項目を損害賠償として加害者側に請求することができます。
ただし幼児~中学生の場合は基本的にアルバイト等はしていないことが多いと思いますので、その場合休業損害は請求することはできません。
幼児~中学生の子供が請求することのできる項目の詳細は、次のようになっています。
交通事故の賠償金
入通院慰謝料 | 交通事故でけがをしたことで痛みや苦しみを感じたり、入通院によって時間や自由が奪われて不自由さを感じたり不利益をこうむったりしたことに対する補償。 |
---|---|
後遺障害慰謝料 | 後遺症が残ったことで今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償 |
死亡慰謝料 | 交通事故で死亡した被害者やその家族の精神的苦痛に対する補償 |
治療関係費 | 治療費、入院費、看護費など |
逸失利益 | 後遺障害が残らなければ得られるはずだった将来の収入に対する補償(後遺障害逸失利益)。もしくは交通事故によって死亡しなければ得られるはずだった将来の収入に対する補償(死亡逸失利益)。子供でも請求できる。 |
子供の交通事故慰謝料を計算機で確認!
交通事故の慰謝料やその他賠償金の内訳が分かったところで、慰謝料計算機をご紹介します。
この計算機で算出できる金額は、
・示談交渉時に被害者側の弁護士が提示する金額
・過去の判例に基づいた金額であり、妥当性が高い
という点がポイントです。
一方、示談交渉で加害者側が提示してくる金額は、これよりもっと低いことがほとんどです。
計算機を使う際には、事故時の年齢などいくつかの項目を入力することになります。この中で、休業日数、後遺障害等級、事故前の年収はわかりにくいと思いますのでご説明しておきます。
実際の計算方法を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
①休業日数
休業日数は、休業損害の算出に必要な項目です。
しかし幼児~中学生のお子さんの場合、休業損害は請求できませんので、ここは0日のままで構いません。
②後遺障害等級
後遺障害等級とは、交通事故によって後遺症が残った場合に、その症状や程度に応じて認定される等級のことです。
後遺障害慰謝料・逸失利益の計算で必要になります。
後遺症が残っていない場合は、「無等級」のままにしておいてください。
後遺症が残るかもしれない、等級認定の審査中でまだ等級が分からないという場合でも、
・むちうち:12級または14級
・骨折:8級、10級、12級、14級など
というように、後遺症によって等級を予想することができます。
詳しくはこちらを確認して、等級を入力してみてください。
③事故前の年収
事故前の年収は、逸失利益の計算のために必要です。中学生以下の方の場合は、ここは497万円とご記入ください。
(大学進学の可能性が高かった場合は、男性615万円/女性463万円と入力し、年齢も大学卒業年齢に入力しなおしてください。)
この入力方法で計算できるのは、あくまで一般的な逸失利益です。より正確な金額を確かめたい場合は、弁護士に問い合わせることをお勧めします。
子供の交通事故慰謝料の疑問にお答え!
子供が事故車の同乗者…請求相手や保険は?
お子さんが交通事故に遭うシチュエーションとして、車に同乗していた場合があると思います。
その場合の注意点について3点、ご説明します。
①交通事故証明書について
車に同乗していたお子さんも怪我をされた場合、賠償請求をすることができます。
この時、交通事故証明書にお子さんのお名前があるかどうか、確認してください。交通事故証明書とは、人身事故が起きた時に警察が作成する書類のことです。
もしお名前がなかった場合には、警察がお子さんはけがをしていないものとして処理している可能性があります。交通事故証明書は示談交渉でもめた時に証拠となる重要な書類であるため、一度確認しておくことをお勧めします。
②損害賠償の請求相手について
車に同乗していた人が交通事故でけがをした場合、相手方だけではなく、同乗していた車の運転手にも損害賠償を請求することができます。(運転手にも過失がある場合)
お子さんがお友達の家の車に乗っていた場合、その車を運転していた人にも賠償請求ができるということです。
運転手がお子さんの親などご家族である場合にも、あまり一般的ではありませんが賠償請求が可能です。
③ご家族の保険適用について
ご両親や兄弟姉妹、おじいさんおばあさんなどご家族の運転する車にお子さんが同乗していて事故に遭った場合には、運転していたご家族の保険からお子さんへの補償が受けられます。
ただし、運転手と同乗者の関係性によって使える保険が変わりますので、それについてもご紹介しておきます。
親子 | 兄弟姉妹 祖父母と孫 |
|
---|---|---|
搭乗者傷害保険 | 〇 | 〇 |
人身傷害保険 | 〇 | 〇 |
対人賠償保険 | ✖ | 〇 |
子供の家族も賠償請求できる?
お子さんが交通事故に遭った場合、ご本人だけではなくご家族も精神的苦痛を受けるかと思います。そしてその場合、ご家族の慰謝料も加害者側に請求できるのか?ということが気になりますよね。
結論から言うと、
・お子さんが亡くなられた場合
・お子さんに重い後遺症が残った場合
には、請求できる可能性があります。
お子さんが亡くなられた場合、加害者側には死亡慰謝料を請求します。この死亡慰謝料には、予めご家族の精神的苦痛に対する補償も含まれています。
お子さんの死を受けてご家族が精神疾患を患った場合には、それが増額事由として認められる場合もあります。
また、お子さんに重い後遺症が残った場合にも、ご家族の慰謝料を請求できる可能性があります。実際の事例をご紹介します。
遷延性意識障害等(別表1の1級1号)の中学生(男・14歳)につき、加害者が事故前、飲酒するのをわかっていながら自動車を運転して宴会場に行って自制もせずに飲酒し、帰宅時には代行か家人を呼んで帰るように言われていたにもかかわらず運転したことから、傷害分500万円のほか、本人分300万円、両親各400万円、後遺傷害分合計3800万円を認めた(事故日平16.1.21 仙台地判平21.11.17 交民42・6・1498)
出典:『損害賠償額算定基準上巻(基準編)2019』(日弁連交通事故相談センター東京支部)
学業に影響が出た場合の賠償請求は?
小中学生の方が交通事故に遭うと、
- 通学に付添いが必要になった
- 補修学習のため塾や家庭教師が必要になった
ということがあるかもしれません。
このような場合は、必要になった費用を加害者側に請求することができます。
子供の交通事故慰謝料のポイント
ここまで、子供の交通事故慰謝料について
- 慰謝料計算機と入力項目
- 子供が事故車の同乗者になった場合の損害賠償の請求相手、保険
- 交通事故で学業等に影響した場合の賠償請求
を見てきました。
子供の交通事故慰謝料について、ご理解いただけたでしょうか。
交通事故の慰謝料は、個別的な事情を考慮して増額されたり減額されたりするものですので、計算機での機械的な計算だけではどうしても拾いきれない部分もあります。
より正確な相場金額を知るためには、弁護士に問い合わせることも一つの手です。
大切なお子さんのけがの回復とともに、十分な慰謝料を獲得できますよう、お祈りしています。
子供交通事故慰謝料についてのQ&A
子供が自動車に同乗していて事故に遭ったら?
子供が自動車の同乗していて交通事故に遭った場合は、① 交通事故証明書にそのことが記載されているか② 誰に賠償請求できるか③ どんな保険が適用できるかを確認することが大切です。交通事故証明書に同乗者のことが書かれていない場合、同乗者は事故に遭っていないものとされている可能性があります。また、同乗者に対する賠償金は事故の相手だけではなく同乗していた車の運転手にも請求できます。
子供が事故に遭ったら、親も慰謝料請求できる?
基本的には子供が事故に遭った場合は子供に対する慰謝料しか認められません。しかし、子供が事故で亡くなってしまった場合や、子供に重い後遺症が残った場合には、家族に対する慰謝料も認められます。特に、子供の死を受けて家族が精神疾患を患った場合には、慰謝料が増額される可能性があります。
学業に支障が出た場合の賠償は?
交通事故で子供が怪我をして学業に支障をきたした場合は、必要になった費用を加害者側に請求できます。たとえば、通学に付添いが必要になった場合や、補修学習のため塾や家庭教師が必要になった場合などがこれに当たります。