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交通事故【過失割合7対3】慰謝料相場はいつ決まる?過失割合決め方講座

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交通事故【過失割合7対3】慰謝料相場はいつ決まる?過失割合決め方講座

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交通事故の慰謝料(=損害賠償)についての示談交渉が決裂する原因の一つとして「過失割合」があげられます。

過失割合7対3のように双方に過失が認められると、

  • 手にする慰謝料が減ってしまう
  • 相手に支払う慰謝料が生じる

このような状況になります。

慰謝料の相場を確認するうえで、過失割合に関する正しい知識をもっておくことが重要になります。

本記事では過失割合に関する基本の解説から、7対3の過失割合と認定された実例の紹介までおこないます。ご自身の過失割合に疑問を持っている方などは、ぜひ最後までご覧ください。

過失割合でもめる!交通事故慰謝料との関係性

過失割合の基本を解説

交通事故では、

  • 怪我を負った
  • 怪我で働けず収入が減った
  • 交通事故にあったことで精神的な苦痛を受けた

など、さまざまな損害を被ることになります。事故にあったことで被った損害は、事故の相手方に対して慰謝料などをふくむ損害賠償請求が可能です。

もっとも、交通事故の多くは当事者一方だけに事故原因があるものばかりではなく、双方になんらかの過失(=不注意)があるケースが多いです。事故の原因がご自身に少しでもあるなら、その分の責任までを相手に負わせることはできません。自分の責任は自分で負う必要があります。

交通事故の当事者双方の過失度合いを数字で表したのが「過失割合」です。

過失割合とは?

過失の度合いを数字で表した事故に対して負うべき責任の割合

過失割合は一般的に「10対0(100:0)」「7対3(70:30)」のようにあらわされます。

過失割合は請求額が減額するからもめる?

過失割合は事故に対してどのくらいの責任を取るのか数値化したものということはお分かりいただけたと思います。では、どのようにして責任を取るかといえば基本的には金銭による支払いとなります。つまり、過失割合は「損害賠償金額の負担割合」を示していることになります。過失割合の程度が大きければ、請求できる金額が減ってしまうことを意味します。

過失割合がもめる理由
  • 自分が請求できる慰謝料が減額するから(過失相殺)
  • 相手の損害に対する支払額が増額するから

できることなら多くの金額を受け取りたいですし、支払う金額は抑えたいと考えるのは自然なことです。そのため、過失割合は示談交渉において争いの原因となりやすいといえます。

裁判例から決められる過失割合

過失割合は保険会社との話し合い(示談交渉)の際に決められることになります。過去に起こった交通事故の裁判を参考にして、過失割合は決められていくことになります。交通事故の裁判例は以下のような書籍にまとめられています。

過失割合の基準書
通称 書籍名
赤い本 民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準
判例タイムズ 別冊判例タイムズ38号 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂5版〕

このような書籍には事故類型に対応した「基本の過失割合」が記載されているので、類似の交通事故がないかがまず調べられます。

つぎに、基本の過失割合を調整する状況がなかったか「修正要素」が確認されます。大まかに事故類型として分類することはできても、事故の状況は事故ごとに細かく異なります。

(修正要素の例)

  • 速度違反があった
  • 酒気帯び運転など著しい過失がみられた

など、それぞれの状況に応じて過失割合を調整するのが修正要素の役割です。

修正要素を用いて調整したとしても典型事例にすぎないので、すべての事故を網羅しているわけではありません。基準書はあくまで参考にされるものなので、事故の内容に応じて過失割合は慎重に考慮されます。

過失割合7対3、交通事故慰謝料の計算方法

交通事故の慰謝料をふくむ損害賠償額に対して過失割合が大きく影響することがおさえられたところで、7対3の過失割合が具体的にどのように影響するのか実際に計算して体感していただきたいと思います。

自分の過失が「0」である場合以外、相手になんらかの損害が生じていれば過失割合に応じた損害額を支払う必要があります。極端な例をいうなら、相手の損害額が自分より高い時、自分の過失が相手より小さくても支払う金額が相手より高額になる可能性があることを念頭に置いておいてください。

事故当事者 甲氏・乙氏の過失割合をそれぞれ、

当事者 甲氏:過失割合7

当事者 乙氏:過失割合3

として計算していきます。

7対3[甲氏100万円/乙氏100万円]の損害

事故の当事者 甲氏の損害額100万円/乙氏の損害額100万円の場合、過失割合7対3は損害額にどう影響するのでしょうか。

過失割合7対3

甲氏100万円/乙氏100万円の慰謝料計算

過失割合 7 3
損害額 100万円 100万円
▼必要な金額▼
自己負担 70万円 30万円
相手に払う金額 70万円 30万円
▼相殺払い▼
甲が乙に対して40万円を支払う

乙氏は、甲氏の過失7割である70万円を請求することが可能です。反対に甲氏は、乙氏の過失3割である30万円を請求することが可能です。これらを相殺払いにすると、甲氏が乙氏に対して40万円を支払うことになります。

7対3[甲氏10万円/乙氏100万円]の損害

事故の当事者 甲氏の損害額10万円/乙氏の損害額100万円の場合、過失割合7対3は損害額にどう影響するのでしょうか。

過失割合7対3

甲氏10万円/乙氏100万円の慰謝料計算

過失割合 7 3
損害額 10万円 100万円
▼必要な金額▼
自己負担 7万円 30万円
相手に払う金額 70万円 3万円
▼相殺払い▼
甲が乙に対して67万円を支払う

乙氏は、甲氏の過失7割である80万円を請求することが可能です。反対に甲氏は、乙氏の過失3割である3万円を請求することが可能です。これらを相殺払いにすると、甲氏が乙氏に対して67万円を支払うことになります。

7対3[甲氏100万円/乙氏10万円]の損害

事故の当事者 甲氏の損害額100万円/乙氏の損害額10万円の場合、過失割合7対3は損害額にどう影響するのでしょうか。

過失割合7対3

甲氏100万円/乙氏10万円の慰謝料計算

過失割合 7 3
損害額 100万円 10万円
▼必要な金額▼
自己負担 70万円 3万円
相手に払う金額 7万円 30万円
▼相殺払い▼
乙が甲に対して23万円を支払う

乙氏は、甲氏の過失7割である7万円を請求することが可能です。反対に甲氏は、乙氏の過失3割である30万円を請求することが可能です。これらを相殺払いにすると、乙氏が甲氏に対して23万円を支払うことになります。

過失割合が相手方より低くても相手方の損害額が高額なら、相手よりも多くの損害を支払う可能性があるのが過失割合の原理です。納得いかない過失割合は、納得いかない慰謝料となることを意味します。不本意な示談とならないためには、納得のいく過失割合を決定することが大切です。

過失割合7対3の基準を判例調査

交通事故の事例が集積された「判例タイムズ」から厳選して、過失割合7対3の基準について確認していきます。

過失割合の基準としてよく例に出される

▶車 と 車

▶車 と バイク

▶車 と 歩行者

▶車 と 自転車

このような事故形態を中心に、7対3の過失割合をそれぞれ見ていきます。

過失割合7対3の判例<車と車>

車と車>の過失割合7対3のケースを確認していきます。

進路変更車と後続直進車

事故状況図

参照:判例タイムズ38号【153】

過失割合7対3の車同士の事故類型は、進路を変更した先行する車と直進していた後続の車が衝突した交通事故です。

みだりな車線変更は禁じられていますが、後続する車にも前方注視する義務があります。このような点を考慮して、こちらの事故類型の基本過失割合は7対3となっています。

修正要素もあわせて確認してみましょう。

過失割合と修正要素

A:後続直進車、B:進路変更車

A B
基本 30 70
▼修正要素
[A]速度違反 15km以上 10
30km以上 20
[A]初心者マーク等 10
著しい過失 10 10
重過失 20 20
進路変更禁止場所 20
[B]合図なし 20

進路変更車と後続直進車の衝突事故における7対3の過失割合と修正要素は以上のとおりです。

(修正要素について補足)

▼初心者マーク等

初心者マークなどをつけている後続車がいた場合、進路変更に際しては注意義務が加重される

▼著しい過失

  • 脇見運転などによる前方不注視
  • 著しいハンドル、ブレーキ操作不適切
  • 携帯電話などで通話、操作しながらの運転
  • 15㎞以上30㎞未満の速度違反
  • 酒気帯び運転 など

▼重過失

  • 酒酔い運転
  • 居眠り運転
  • 無免許運転
  • 過労、病気、薬物などの影響がある運転 など

▼合図なし

進路変更の合図がない

T字路で右左折する車と直進車

事故状況図

参照:判例タイムズ38号【139】

過失割合7対3の車同士の事故類型は、T字路を右左折してきた車と直進車が衝突した交通事故です。

直進路が明らかに広くない・T字路に一時停止の規制がない・直進路が優先道路でないケースを想定した場合、7対3の過失割合となります。

修正要素もあわせて確認してみましょう。

過失割合と修正要素

A:直進車、B:T字路右左折車

A B
基本 30 70
▼修正要素
[B]明らかな先入 10
著しい過失 10 10
重過失 20 20

T字路で右左折する車と直進車の衝突事故における7対3の過失割合と修正要素は以上のとおりです。

過失割合7対3の判例<車とバイク>

車とバイク>の過失割合7対3のケースを確認していきます。

同幅員の交差点で左方からのバイクと右方からの車の衝突

事故状況図

参照:判例タイムズ38号【165】

信号のない同幅員の交差点でバイクと車が両車ともに同速度で衝突した場合の交通事故です。

同幅員の交差点の場合は左方優先の原則があるため、同速度で衝突したこのようなケースにおける基本の過失割合は7対3となっています。

修正要素もあわせて確認してみましょう。

過失割合と修正要素

A:バイク、B:車

A B
基本 30 70
▼修正要素
見とおしがきく交差点 10
著しい過失 10 10
重過失 20 20

同幅員の交差点で左方からのバイクと右方からの車の衝突事故における7対3の過失割合と修正要素は以上のとおりです。

バイクと優先道路の車

事故状況図

参照:判例タイムズ38号【172】

優先道路を走行する車には徐行義務が免除されることになりますが、たとえ優先車でも注意義務が全くないということではありません。したがってこのようなケースにおける基本の過失割合は7対3となっています。

修正要素もあわせて確認してみましょう。

過失割合と修正要素

A:バイク、B:車

A B
基本 70 30
▼修正要素
劣後車の明らかな先入 20
著しい過失 10 10
重過失 20 20

バイクと優先道路の車の衝突事故における7対3の過失割合と修正要素は以上のとおりです。

過失割合7対3の判例<車と歩行者>

車と歩行者>の過失割合7対3のケースを確認していきます。

横断歩道付近の車と歩行者の衝突

事故状況図

参照:判例タイムズ38号【33】

過失割合7対3の車と歩行者の事故類型は、横断歩道付近の車と歩行者の衝突事故です。

歩行者が道路を横断するときは横断歩道によって横断しなければならないので、このようなケースでは基本の過失割合が7対3となっています。

修正要素もあわせて確認してみましょう。

過失割合と修正要素

A:歩行者、B:車

A B
基本 30 70
▼修正要素
夜間 5
幹線道路 10
横断禁止の規制あり 10
直前直後横断
佇立・後退
10
住宅街・商店街等 5
[A] 児童・高齢者 10
幼児・身体障害者等 20
集団横断 10
[B] 著しい過失 10
重過失 20
歩車道区別なし 5

横断歩道付近の車と歩行者の衝突事故における7対3の過失割合と修正要素は以上のとおりです。

(修正要素について補足)

▼夜間

日没時~日出時

▼幹線道路

通行量の多い国道、一部の都道府県道が想定される

▼児童

6歳以上13歳未満

▼高齢者

おおむね65歳以上

▼幼児

6歳未満

▼身体障害者等

  • 身体障害者用の車いすを通行させている者
  • つえを持ち、盲導犬を連れている目が見えない者
  • つえを持つ耳が聞こえない者 など

▼集団横断

集団登下校が典型例としてあげられる

黄色信号の歩行者と青信号で右左折する車

事故状況図

参照:判例タイムズ38号【13】

過失割合7対3の歩行者と車の事故類型は、黄色信号で横断を開始した歩行者と青信号で交差点を右左折した車の衝突事故です。

歩行者は黄色信号で横断を開始してはいけません。しかし、交差点を右左折する車は一時停止や徐行などによって歩行者を発見することも容易であると考えられるため、このようなケースでは基本の過失割合が7対3となっています。

修正要素もあわせて確認してみましょう。

過失割合と修正要素

A:歩行者、B:車

A B
基本 30 70
▼修正要素
夜間 5
幹線道路 5
直前直後横断
佇立・後退
510
住宅街・商店街等 5
[A] 児童・高齢者 10
幼児・身体障害者等 20
集団横断 10
[B] 著しい過失 10
重過失 20
歩車道区別なし 5

黄色信号の歩行者と青信号で右左折する車の衝突事故における7対3の過失割合と修正要素は以上のとおりです。

過失割合7対3の判例<車と自転車>

車と自転車>の過失割合7対3のケースを確認していきます。

赤信号同士

事故状況図

参照:判例タイムズ38号【239】

過失割合7対3の車と自転車の事故類型は、信号のある交差点で双方が赤信号で進入して衝突した交通事故です。

自転車は軽車両なので車は軽車両に対する注意義務があります。とはいえ双方の信号無視がある点を考慮して、このようなケースにおける基本の過失割合は7対3となっています。

修正要素もあわせて確認してみましょう。

過失割合と修正要素

A:自転車、B:車

A B
基本 30 70
▼修正要素
夜間 5
著しい過失 5 5
重過失 10 10
[A] 児童・高齢者 5
明らかな先入 15
自転車横断帯通行 10
横断歩道通行 5

赤信号同士での自転車と車の衝突事故における7対3の過失割合と修正要素は以上のとおりです。

右折の自転車と直進の車

事故状況図

参照:判例タイムズ38号【270】

過失割合7対3の自転車と車の事故類型は、信号のない交差点で直進してきた車と右折した自転車が衝突した交通事故です。

信号のない交差点はほとんどが見とおしがきかないことを考慮して、このようなケースにおける基本の過失割合は7対3となっています。

修正要素もあわせて確認してみましょう。

過失割合と修正要素

A:自転車、B:車

A B
基本 30 70
▼修正要素
夜間 5
[A] 児童・高齢者 5
明らかな先入 10
[B] 徐行なし 10
著しい過失 510 510
重過失

右折の自転車と直進の車の衝突事故における7対3の過失割合と修正要素は以上のとおりです。

まとめ

過失割合は、事故原因の責任度合いを数値化することで請求できる慰謝料などの損害賠償の金額に影響することが分かりました。

ご自身が心から納得できる過失割合なのであれば、過失割合分の責任を納得して負うことができると思います。しかし、過失割合に疑問がある状態で認めてしまうことは納得いかない慰謝料となるだけでなく、本来負う必要がない責任を負っている可能性もあります。

保険会社は交通事故処理を専門としたプロ集団です。プロの言うことならば…と保険会社の言葉を鵜呑みにしてしまう方は多いです。

「自分が負うべき責任の度合いは果たして適切なのか?」

十分な慰謝料を得るためには、過失割合が適正なものなのか見極めることが大切です。もっとも、過失割合は専門知識が必要になるのでご自身のみで判断するのはむずかしいものがあります。過失割合について疑問を感じたら、交通事故を専門的にあつかう弁護士に相談してみることをおすすめします。

交通事故|過失割合7:3の慰謝料Q&A

過失割合とは何ですか?

過失割合とは、過失の度合いを数字で表した事故に対して負うべき責任の割合をさします。事故の原因がご自身に少しでもあるなら、その分の責任までを相手に負わせることはできません。自分の責任は自分で負う必要があります。交通事故の当事者双方の過失度合いを数字で表したのが「過失割合」です。

過失割合の基本を解説

過失割合が高くなるとどうなるのですか?

過失割合は「損害賠償金額の負担割合」を示していることになります。過失割合の程度が大きければ、請求できる金額が減ってしまうことを意味します。① 自分が請求できる慰謝料が減額するから(過失相殺)/② 相手の損害に対する支払額が増額するから、などの理由で、過失割合は揉める原因になります。

過失割合は請求額が減額するからもめる?

過失割合は誰が決めるの?

過失割合は保険会社との話し合い(示談交渉)で決められることになります。過去に起こった交通事故の裁判を参考にして、過失割合は決められていくことになります。過去の裁判例は、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(通称・赤い本)や判例タイムズ(通称・別冊判例タイムズ38号 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準<全訂5版>)などで確認できます。

裁判例から決められる過失割合

過失割合が7:3のときに被害者が支払うケースがある?

自分の過失が「0」である場合をのぞいて、相手になんらかの損害が生じていれば過失割合に応じた損害額を支払う必要があります。極端な例をいうなら、相手の損害額が自分より高い時、自分の過失が相手より小さくても支払う金額が相手より高額になる可能性があることを念頭に置いておきましょう。

過失割合7対3、交通事故慰謝料の計算方法

過失割合が7:3のときってどんな時?

よくある交通事故の形態としては、車 対 車/車 対 バイク/車 対 歩行者/車 対 自転車、などがあげられるでしょう。いくつか例示するならば、車 対 車の事故では、進路変更車と後続直進車/T字路で右左折する車と直進車などが該当します。車 対 歩行者であれば、横断歩道付近の車と歩行者の衝突/黄色信号の歩行者と青信号で右左折する車、など様々なケースがあげられます。交通事故の形態によっても変わります。

過失割合7対3の基準を判例調査

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