ツイッター

最新情報チェック

交通事故の慰謝料は180日の通院期間でいくら?後遺症の有無別に解説

イメージ画像

交通事故の慰謝料は180日の通院期間でいくら?後遺症の有無別に解説

イメージ画像

180日に及ぶ通院期間、本当に長かったことと思います。

そして、この治療期間を経て

  • 完治した
  • 後遺症が残った

このように、結果が分かれてしまうこともあろうかと思います。

完治した場合に請求する慰謝料は入通院慰謝料です。

一方、後遺症が残ってしまったら入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料

も追加で受けとれる可能性があるのです!

この記事は、前半では180日分の入通院慰謝料について解説。

そして後半では、後遺障害慰謝料を受けとるための方法をまとめました。

適正な慰謝料獲得にお役立てください。

交通事故の慰謝料|入通院慰謝料と後遺障害慰謝料

慰謝料には、入通院慰謝料後遺障害慰謝料の2つがあります。

入通院慰謝料は、入院・通院で受けた精神的苦痛に対して支払われます。

後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったという精神的苦痛に対する金銭です。

そして、それぞれの慰謝料には3つの算定基準があります。

① 自賠責保険の基準

② 任意保険の基準

③ 弁護士基準

この3つになります。

同じ交通事故でも、計算する基準によって慰謝料の金額が変わります。

自賠責保険の基準・任意保険の基準というのは、交通事故の相手方が加入している保険の基準になります。

弁護士基準というのは、被害者から依頼を受けた弁護士が交渉する時に使う算定基準です。

慰謝料金額相場の3基準比較

慰謝料の相場はこのように変わります。

ちなみに、交通事故の相手方が自動車を運転していれば自賠責保険には必ず加入していますが、任意保険の加入状況は個人により異なります。

具体的な計算方法をみていきましょう。

入通院慰謝料|計算方法は

自賠責保険の基準、任意保険の基準、弁護士基準と順番にみていきましょう。

自賠責保険の基準

自賠責保険の基準では、入院・通院1日あたり4,200円となります。

4,200円と、入院期間・通院期間を掛け算するとトータルの入通院慰謝料がわかりますよ。

計算式

入院日数 × 4200円 + 通院期間(実治療日数 × 2)* × 4200円

あるいは

入院日数 × 4200円 + 通院期間 × 4200円*

※通院期間は短い方を採用

入院日数はそのまま掛け算しますが、通院分については異なります。

  • 実治療日数(実際に通院した日数)
  • 通院期間(通院開始から終了日まで)

この2つを比べて、短い方の数字と4,200円を掛け算するのです。

▼例

  • 入院:30日
  • 通院期間:180日
  • 実治療日数:80日

<入院分>

入院は30日間なので、4,200円✖30(日)=126,000円です。

<通院分>

実治療日数を2倍すると160日となります。

通院期間(180日)とくらべると、160日(実治療日数)の方が短いので、4,200円✖160(日)=672,000円です。

<合計>

126,000円+672,000円=798,000円

このように、通院分の慰謝料については何を計算に使うかの判断が必要です。

POINT

自賠責保険の基準で入通院慰謝料を計算する時は、通院期間と通院日数が重要です。

任意保険の基準

任意保険の基準は、現在非公開とされています。

保険会社ごとに独自設定されていますので、相手方の加入している任意保険会社によって、同じ交通事故でも慰謝料算定額は変わる可能性があるのです。

ここでは、以前公開されていた「統一基準」を掲載します。

任意保険会社によっては、今でもこの旧統一基準に基づいて算定しているケースもあるそうです。

参考程度に以下の表をみてみましょう。

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

この表は、入院月数と通院月数の交わるところを見ます。

さきほど自賠責保険の基準で確認したものと同じ例で考えてみましょう。

▼例

  • 入院:30日
  • 通院期間:180日
  • 実治療日数:80日

入院は1ヶ月、通院期間は6ヶ月になります。

表の交わるところは832,000円となります。

自賠責保険の基準と比べると、任意保険会社の基準で算定するほうが若干高いようです。

弁護士基準

弁護士基準も、任意保険会社の基準と同様に、入院月数・通院月数を考慮して算定します。

気を付けたいポイントとしては、表が2つあることです。

交通事故の怪我で比較的軽傷とされる、むちうち・捻挫・擦り傷・打ぼく(うちみ)などは、「軽傷」の表を用います。

軽傷

軽傷・むちうちの慰謝料算定表

軽傷・むちうちの慰謝料算定表

重傷

重傷の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表

先ほどと同じ例で確認してみましょう。

▼例

  • 入院:30日
  • 通院期間:180日
  • 実治療日数:80日

入院は1ヶ月、通院期間は6ヶ月になります。

表の交わるところは

  • 重傷→→→1,490,000円(149万円)
  • 軽傷→→→1,130,000円(113万円)

やはり、重傷・軽傷に関係なく、弁護士基準による相場が最も高いと言えそうです。

後遺障害慰謝料|計算方法は

後遺障害慰謝料も同じく、3つの基準があります。

金額は計算ではなく後遺障害等級に応じて決まります。

後遺障害等級は1級から14級まで分かれており、後遺障害の程度が重い1級ほど、後遺障害慰謝料も多くなります。

後遺障害慰謝料の金額については、後半で詳細にお伝えします。

このまま読み進めてください。

【完治】180日通院して怪我が治った場合の慰謝料

入通院日数別|通院慰謝料早見表はここから

後遺症もなく完治した場合、受けとる慰謝料は入通院慰謝料のみです。

入通院慰謝料の早見表を用意しましたので、目安にしてみてくださいね。

なお、任意保険会社の基準については現在の状況が分かりません。

おおむね自賠責保険の基準をやや上回るか、同額程度と考えておきましょう。

※いずれも入院月数は1ヶ月または2ヶ月のみになっていますので、もっと長期の入院をしている場合は、この後紹介する慰謝料計算機を使うと便利です。

自賠責保険の基準
<自賠責保険の基準>通院期間180日の入通院慰謝料
入院1ヶ月 入院2ヶ月
10日通院 210,000 336,000
40日通院 462,000 588,000
70日通院 714,000 840,000
100日通院 882,000 1,008,000
130日通院 882,000 1,008,000
150日通院 882,000 1,008,000

※慰謝料の単位は円

自賠責保険の基準では、

  • 通院期間(180日)
  • 通院日数の2倍

どちらを計算に使うのかがポイントでしたね。

100日以降、金額が変わらないのは、通院日数の2倍>通院期間(180日)となるためです。

通院期間(180日)の方が短いので、通院日数が増えようと、計算に使われるのは180ということになります。

弁護士基準
<弁護士基準>通院期間180日の入通院慰謝料
入院1ヶ月 入院2ヶ月
10日通院
※注意※
・軽傷:830,000
・重傷:1,150,000
・軽傷:1,090,000
・重傷:1,540,000
40日通院 ・軽傷:830,000

・重傷:1,150,000

・軽傷:1,090,000
・重傷:1,540,000
70日通院 ・軽傷:830,000

・重傷:1,150,000

・軽傷:1,090,000
・重傷:1,540,000
100日通院 ・軽傷:830,000

・重傷:1,150,000

・軽傷:1,090,000
・重傷:1,540,000
130日通院 ・軽傷:830,000

・重傷:1,150,000

・軽傷:1,090,000
・重傷:1,540,000
150日通院 ・軽傷:830,000

・重傷:1,150,000

・軽傷:1,090,000
・重傷:1,540,000

※慰謝料の単位は円

弁護士基準の場合は、入院・通院の期間の長さで判断するのが原則です。

しかし、気を付けたいのは「通院の頻度」です。

10日通院の部分に「注意」と記載しています。

180日の通院期間に対してあまりに通院日数が少ないとき、入通院慰謝料は減額される可能性があるのです!

減額のルールは、実際の通院日数の3~3.5倍を通院期間とみなすというものです。

つまり、10日通院の場合は通院期間が30日~35日、およそ1ヶ月程度とされてしまうのです

入院1ヶ月・通院1ヶ月の慰謝料は、軽傷で520,000円、重傷で770,000円と30万円以上の大幅ダウン

これは避けたいところですよね。

なぜ減額されるのか…

通院頻度が低いということは、治療通院の必要性がないのでは?と思われてしまう可能性があるのです。

痛かったり、症状に悩んでいるなら、もっと通院するはずでしょう…ということです。

弁護士基準は「通院日数」ではなく「治療の経過」を大事にしているので、「通院期間」で算定しています。

ですから、自賠責保険の基準よりも高い慰謝料獲得が見込めるのです。

言い換えれば、治療の経過が確認できないような通院頻度や、治療の経過を診て意味がなければ、減額されてしまうんですね。

表では通院10日のみを注意としましたが、できれば通院は3日に1回程度が望ましいとされています。

ですので、180日の通院期間のうち、通院日数が60日を満たしていない場合は気を付けましょう。

【後遺症】180日通院して後遺症が残った場合の慰謝料

後遺障害慰謝料の早見表はここから

入通院慰謝料に関しては、完治した場合と同じですので、前章を参照してください。

後遺症が残ったら、入通院慰謝料にくわえて「後遺障害慰謝料」を請求できる可能性があります。

後遺障害慰謝料は後遺障害等級によって基準額が決まっています。

下表を参照してください。

後遺障害慰謝料の3基準
等級 弁護士基準 任意保険基準※1 自賠責基準
1 2,800 1,300 1,100
2 2,370 1,120 958
3 1,990 950 829
4 1,670 800 712
5 1,400 700 599
6 1,180 600 498
7 1,000 500 409
8 830 400 324
9 690 300 245
10 550 200 187
11 420 150 135
12 290 100 93
13 180 60 57
14 110 40 32

※1 旧任意保険支払基準を参照、現在は保険各社が独自に設定

※2 慰謝料の単位は万円

同じ後遺障害等級であっても、後遺障害慰謝料の金額には随分違いが出ます。

もちろん、この金額が必ず認められるわけではありません。

個別の事情を考慮して、増減されうるものです。

入通院慰謝料にこの後遺障害慰謝料が上乗せされますので、受けとるトータルの金額には増額されます。

後遺障害慰謝料(後遺症の慰謝料)の受け取り方

「後遺症が残ってしまいましたね…。」

医師にこのように言われることもあるでしょう。

しかし、実はこれだけでは後遺障害慰謝料が受けとれるかは分かりません。

後遺障害の認定は、損害保険料率算出機構が行います。

医師の診断で決まるわけではありません。

医師から「後遺症が残った」と言われた場合には、後遺障害診断書の作成を依頼しましょう。

後遺障害後遺症は似ているようで違います。

イメージとしては、後遺症のうち一定の条件を満たすものが「後遺障害」と認められるのです。

後遺障害の4要件

(1)交通事故が原因となっている

(2)医学的に適切な方法で治療を続けたが症状が残った

(3)将来的に回復が難しいと推定される肉体的・精神的な症状

(4)症状の存在が医学的に認められ、労働能力の喪失を伴うもの

後遺障害認定されるということは、後遺障害等級がつくということです。

後遺障害等級は1級~14級まであります。

4つの要件を満たしている後遺症が「1~14級」のいずれかに該当すれば、「後遺障害」認定されます。

後遺障害認定の申請をする

  • 認定を受けるための申請が必要
  • 想定している後遺障害等級に認定されない
  • 後遺障害認定は非該当とされることもある

こういった手間や難しさがあります。

医師に後遺障害診断書を作成してもらったら、

  1. ① 事前認定
  2. ② 被害者請求

どちらかの方法で、後遺障害認定の申請を行います。

① 事前認定

→被害者の手間は少ないが、認定を受けるための工夫はあまりできない(加害者側の任意保険会社に申請を任せるため)

② 被害者請求

→自分で工夫して後遺障害認定申請できるが、資料収集も自分でやるので手間がかかる

このようなメリット・デメリットがあります。

どちらの方法で申請するかは被害者の自由ですが、想定している後遺障害等級での認定を目指すなら、被害者請求の方がメリットはありそうですね。

後遺障害等級認定の通知を受ける

後遺障害に認定されると、後遺障害●級という通知を受けます。

  • 事前認定で申請→相手方の任意保険会社
  • 被害者請求で申請→相手方の自賠責保険会社

それぞれから通知されます。

後遺障害等級を元に後遺障害慰謝料などの損害賠償を算定します。

つまり、後遺症が残った場合は、後遺障害等級が決まるまで損害額は確定できないということです。

原則として、示談はすべての損害が明らかになってから行います。

ですから、後遺障害等級認定の通知を受けたら示談交渉を開始するというイメージです。

示談交渉を行う

示談交渉は、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料はもちろん、すべての損害を明らかにしていく工程です。

交通事故というのは、ほとんどが双方に何らかの非(過失)があることが多いです。

過失割合は、そのまま損害賠償の金額にも関わりますので、もめやすいところです。

示談交渉は加害者・被害者双方のみでもできますが、もし意見が合わないことが多かったり、損害額が大きい時は、弁護士に示談交渉を依頼することもできるそうです。

注意点としては、一度示談を結ぶと、その内容は原則変更できないことです。ですから、弁護士に相談・依頼をするなら、示談前にしましょう。

慰謝料計算機でもらえるお金のイメージをつかむ

安心して示談交渉を始めたいなら使うべき!

示談の多くは、相手方(加害者側)の保険会社から、示談内容を提示されることでスタートします。

しかし、書かれている内容が適切なのか判断は難しいでしょう。

180日も治療されたなら、苦しみや痛みは相当なものでしょう。

その苦痛に対してもらえる金額…と言われても、想像できませんよね。

そこで、示談前に使っておきたい便利ツールが「慰謝料計算機」です。

入通院慰謝料、後遺障害慰謝料はもちろん、休業への補償などもラクラク計算できます。

慰謝料計算機で算定した結果は、弁護士基準に基づいています。

ですから、相手方の保険会社の提案額にどれだけの増額の余地があるのかが分かりやすいでしょう。

まとめ

180日間通院した場合、どんな慰謝料を受けとれるのかイメージできましたか?

後遺障害がなく完治された方は、本当に良かったです!

もし、不幸なことに後遺症が残ってしまった方は、後遺障害慰謝料などの補償をしっかり受けとることがスタートラインです!

少しでもスムーズに社会復帰できることを祈念しております。

通院180日の交通事故慰謝料についてのQ&A

交通事故の慰謝料には3つの計算方法がある?

交通事故の通院慰謝料には、① 自賠責保険の基準、② 任意保険の基準、③ 弁護士基準の3つの計算方法があります。自賠責保険の基準では、1日あたり4200円として計算されます。3つの基準のうち、弁護士基準で算定すとき最も相場が高くなります。任意保険の基準は、各任意保険会社によって異なり、現在は非公開とされています。

入通院慰謝料|計算方法は

慰謝料が減らされる時があるってホント?

通院期間に対してあまりに通院日数が少ない時、慰謝料が減る可能性があります。実際の通院日数の3倍または3.5倍が「通院期間」とみなされます。場合によっては、弁護士基準でも、通常時と比べて約30万円近くの減額も起こる可能性があるのです。

入通院日数別|通院慰謝料早見表はここから

後遺障害慰謝料はどうすればもらえる?

① 後遺障害認定の申請をする、② 後遺障害等級認定の通知を受ける、③ 示談交渉を行う、と大きく3つのステップが考えられます。後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じて慰謝料の金額目安が決められています。ですから、後遺障害等級認定の通知を受けてから示談交渉をスタートします。示談交渉でまとまれば、後遺障害慰謝料の獲得となります。

後遺障害慰謝料(後遺症の慰謝料)の受け取り方

「治療/症状」の関連記事

「通院」の関連記事