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交通事故の慰謝料|加害者が保険未加入でもきちんと払ってもらえる?

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交通事故の慰謝料|加害者が保険未加入でもきちんと払ってもらえる?

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交通事故に遭った場合、慰謝料は基本的に加害者側の保険会社から支払われます。

たとえ慰謝料が加害者個人では支払えないような大きな金額になっても、きちんと一括で全額支払ってもらえるのはこのためです。

しかし中には保険未加入の加害者もおり、この場合は保険会社からの支払いを受けることはできません。

加害者が保険未加入の場合、きちんと慰謝料が支払われるか不安…

加害者が保険未加入で慰謝料が支払われない場合、どうすれば?

この記事では、

  • 加害者が保険未加入の場合、慰謝料はどこから支払われるか
  • 加害者が保険未加入で慰謝料が支払われない場合の対処法はあるか

について解説しています。

交通事故の慰謝料|支払いの仕組み

交通事故の慰謝料はどこから払われる?

交通事故の慰謝料は、通常加害者が加入している自賠責保険会社と任意保険会社から支払われます。

交通事故の賠償金は、加害者個人では支払えないような大きな金額になることもあります。

そのような場合でもきちんと全額一括で支払ってもらえるのは、賠償金の支払元が保険会社だからなのです。

自賠責保険と任意保険
自賠責保険 車の運転手は必ず加入しなければならない。
交通事故の被害者に対し最低限の慰謝料・賠償金を支払う。
任意保険 車の運転手が任意で加入する。
自賠責保険の支払分では足りない金額を支払う。

上の表の内容を図にすると、以下のようになります。

任意の自動車保険と自賠責保険の関係

自賠責保険が支払う「最低限の金額」はその計算方法が国によって定められています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

任意保険が支払う、「自賠責保険の支払では賄いきれなかった金額」は、示談交渉で決まります。

支払いの際は、任意保険会社が自賠責保険の支払分もまとめて一括で被害者に支払います。

加害者が保険未加入の場合、支払いはどうなる?

自賠責保険は強制加入ですので、基本的に加害者が自賠責保険に未加入ということはありません。

しかし任意保険は任意で加入するものですので、加害者が任意保険に入っていないということもあります。

任意保険未加入の人は、割合として10人に1人程度いるようです。

任意保険(対人賠償補償保険、対人賠償共済)加入状況
自動車保険で加入 自動車共済で加入 非加入・その他
割合 74.3 13.5 12.2

損害保険料率算出機構「自動車保険の概況 2017年度版(2018年4月発行)」より

加害者が任意保険未加入の場合、慰謝料や賠償金の支払いは

  1. ① 自賠責保険の支払分は自賠責保険会社に直接請求
  2. 任意保険の支払分は加害者自身に請求

ということになります。

①自賠責保険に直接請求

自賠責保険は強制加入なので、任意保険未加入の加害者でも基本的に自賠責保険には加入しています。

そのため、自賠責保険の支払分は自賠責保険会社から支払ってもらえます。

加害者が任意保険に加入していれば、自賠責保険からの支払い分も任意保険会社を通して支払われます。

しかしこの場合はその任意保険会社がいないので、被害者が自賠責保険会社に直接慰謝料や賠償金を請求します。

②任意保険の支払分は加害者に請求

自賠責保険からは最低限の金額しか支払われません。

そのため、基本的には自賠責保険の支払分を受け取っても、示談で合意した慰謝料金額・賠償金額には足りません。

加害者が任意保険に入っていれば、その足りない金額は任意保険から支払われます。

しかしこの場合はその任意保険会社がいないので、本来任意保険会社が支払うはずだった金額は、加害者自身に請求することになります。

ただ、交通事故の慰謝料・賠償金は高額になることも多く、加害者の資力では支払えなかったり、支払いが滞ったりする可能性もあります。

その場合にはどうしたらいいのか、次の章で解説していきます。

加害者が保険未加入で慰謝料を払わない場合の対処法は?

①分割払いで払ってもらう

加害者に慰謝料や賠償金の支払い意思があっても、支払額が大きいと支払いが難しいことも考えらえます。

そのような場合は、一括払いではなく分割払いでの支払いにしてもらうという方法もあります。

②内容証明郵便を送る

内容証明郵便とは

その郵便を出した人、日付、内容を郵便局が証明してくれる郵便のこと

加害者が慰謝料・賠償金の支払いを踏み倒そうとしている場合は、支払いを求める内容を内容証明郵便として送るという方法があります。

内容証明郵便には、加害者に慰謝料や賠償金を支払わせる効力はありません。しかし、重要な意思表示をする郵便ですので、加害者に対して心理的圧力をかけることはできます。

また、たとえこの郵便を加害者が処分してしまっても、差出人や日付、内容は記録として残ります。

そのため、もし裁判になった場合でも、加害者にきちんと支払いを求めるアクションを起こしていたという証拠になります。

③裁判所に対し財産差し押さえの申し立てをする

示談で決まった慰謝料・賠償金を加害者が払おうとしない場合は、裁判所に対して財産差し押さえの申し立てをすることができます。

差し押さえをするためにはまず、訴訟によって「債務名義」を取得しなければなりません。

その後は債権差押命令申立書を、加害者の住所を管轄する裁判所に提出します。

そして裁判所から加害者や第三債務者に債権差し押さえ命令書が送付され、諸々の手続きが済むと、金融機関に必要書類を確認の上、加害者のお金が引き出されます。

このように財産差し押さえには手間と時間がかかります。

ただし、以下⑤ で解説するように、示談書をあらかじめ「公正証書」にしていれば、スムーズに差し押さえを行うことができます。

④自分の保険から補償を受ける

分割払いを待っている余裕はない、早くお金が必要という場合には、被害者ご自身が加入している保険から保険金を受け取るという方法もあります。

被害者側の保険の種類
特徴
車両保険 自分の車の物的損害を補償する
人身傷害補償保険 ・保険契約者
・その家族
の交通事故でのけがに対する補償
搭乗者傷害保険 保険契約車の搭乗者の交通事故での死傷に対する補償
無保険車傷害保険 ひき逃げ、無保険車との事故で死亡したり後遺障害を被った際の補償

交通事故の加害者になって、慰謝料や賠償金支払いのために保険を使うと、等級が下がってその後の保険料が上がってしまいます。

しかし、被害者になった場合に人身傷害補償保険・搭乗者傷害保険・無保険車傷害保険を使って保険金を受け取った場合、それは等級に影響しませんので、安心してご利用ください。車両保険に関しては、原則として等級がダウンすることになりますので注意が必要です。

⑤事前に示談書を公正証書にしておく

加害者が任意保険に入っておらず、加害者自身に慰謝料・賠償金を請求する場合、支払いの踏み倒しを防止するために示談書を「公正証書にしておく」という方法があります。

公正証書とは、公証人(元裁判官や元検察官など長年法律の専門家であった公務員)が作成した書類のことです。

公正証書の効果
  • 裁判所の確定判決と同じ効力を持つ
  • 公正証書に記載された賠償金を加害者が支払わない場合には、裁判を起こさず資産を差し押さえることができる

上でもご説明した通り、加害者が慰謝料や賠償金を支払わない場合は、加害者の資産を差し押さえるための申請を裁判所に対してすることになります。

しかしこれは手続きに時間がかかる可能性もあり、すぐに慰謝料・賠償金を受け取れないと困るという場合にはあまり理想的な方法ではありません。また、労力もかかります。

しかし示談書を公正証書にしておけば、裁判をしなくてもすぐに相手の資産を差し押さえられます。

公正証書は、公証役場で作成することができます。

ただし、公正証書に効力を持たせるためには、強制執行に対する同意を加害者から得ておく必要がありますのでご注意ください。

まとめ|加害者が保険未加入の場合の慰謝料

ここまで、交通事故の加害者が保険未加入だった場合の慰謝料・賠償金支払いについて解説してきました。

要点をまとめると、以下のようになります。

  • 加害者が任意保険未加入の場合、自賠責保険の支払分は自賠責保険会社に、任意保険の支払分は加害者自身に請求することになる
  • 保険未加入の加害者から慰謝料・賠償金が支払われない場合は、分割払いで払ってもらう、内容証明郵便を送る、裁判所に申し立てて資産の差し押さえをするなどの対処法がある
  • 事前にできる対策としては、示談書を公正証書にしておくという方法がある

交通事故によって損害を受けたり、痛い思いや怖い思い、将来への不安などの精神的苦痛を受けたりしたのですから、たとえ保険に入っていなくても、加害者にはきちんと慰謝料・賠償金を払ってもらわらないと困りますよね。

決められた支払いをしない加害者に対しては、弁護士にも相談して対処を検討している、ということも精神的圧力になります。

支払いが滞っている加害者に対してどうしたらいいかわからない、ご自身で対処することに不安があるという場合は、弁護士への相談も考えてみて下さい。

加害者が保険未加入の場合についてのQ&A

自賠責保険・任意保険とは?

自賠責保険は、車の運転手に加入が義務付けられている保険です。加入者が交通事故を起こした場合、被害者に対し最低限の補償を行います。任意保険は、自賠責保険の支払限度額を超えた部分の金額を補填する役割を持っていて、加入は自由です。

交通事故の慰謝料はどこから払われる?

加害者が任意保険未加入だとどうなる?

加害者が任意保険未加入の場合、賠償金・慰謝料のうち自賠責保険の支払限度額を超えた部分については加害者自身に支払ってもらうことになります。この場合、加害者の資力次第では支払いができなかったり、支払いが滞ったりする可能性があります。

加害者が保険未加入の場合、支払いはどうなる?

保険未加入の加害者が慰謝料を払わない場合は?

任意保険未加入の加害者が慰謝料を支払わない場合は、① 分割払いで払ってもらう、② 内容証明郵便を送る、③ 財産差し押さえの申し立てをする、④ 自分の保険から保険金を受け取るという対処法が考えられます。事前の対策としては、示談書を公正証書にしておくというものがあります。

加害者が保険未加入で慰謝料を払わない場合の対処法は?

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